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その男、薮の彼方に消ゆ

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2011年 09月 08日

秋の朝、sanpo stoveで。

腕のアラームが鳴る。そろそろ鳴ると意識のどこかで待機していたのだろう、すっとまぶたが開く。息子の大豆8歳が、半開きになった僕のシュラフに足を突っ込んできている。9月のひんやりとした朝、こいつも寒かったようだ。


僕はシュラフから抜け出しながら、まだ小さな大豆をシュラフでくるんでやる。大豆の足のぬくもりに感じる、秋の訪れ。僕は家に居場所が無く、そのためか布団を与えられていない。山でも使っている擦り切れたリッジレストとくたびれたシュラフ、そして大豆のぬくもりだけが、僕を癒してくれるのだ。


飯を炊き、おかずを整え、大豆たちに喰わせる。学校に行くせがれたちを見送って台所を片付ける。つづけて洗濯物を干し終えた僕は、近所の浅間温泉に向う。



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▲お気に入りのストーブに錆を浮かせてしまった...
道具というものは使ってナンボ
ロクに手入れもせず仕舞い込んだままにしていたバチが当たったようだ


温泉街の一角に源泉を汲める場所があって、微かに硫黄臭の混じるお湯を頂いてくるのだ。このお湯を携え、大きな欅(けやき)のある公園にケツを据え、珈琲を楽しもう。

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▲浅間、湯のまち、山手の飲泉所
この界隈の佇まいが、好きだ



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▲貴重な源泉を分けていただく



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▲浅間温泉ホットプラザ

お湯を汲んだら、ひとっ風呂浴びたくなって来た。こんな時のためにタオルと替えの下着は、もちろん常備である。サウナと露天風呂にほぐれ、弛み、溶ける。ふうふう汗が乾くのを待ちながら、さて珈琲である。




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▲欅の樹の下に、ケツを据える


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本日の珈琲セット。
MLVの550チタンポットに、野外で珈琲を楽しむための一式が押し込められている(リンク先は現行モデル、僕のは旧モデル)。ストーブは、我らがストーブマイスターsanpo師匠の【Sanpo CF Stove】。
この他に、源泉の入ったナルゲン、アルコール燃料の容器、珈琲粉の容器がある。


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朽ちかけた切り株の上にオープンした、ささやかなカフェ。これがポットから出てくるのだ(シリコンマット以外)。写っているスタンド(ゴトク)は【Sanpo CF Stove】のものではなく、僕の苦肉のオリジナル。ひとつ上の写真のように、ポットの中の隙間にマグや珈琲ドリッパーと共に押し込むため、こうした奇妙な形状をしている。



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屋外、湯が湧くまでのひとときというものは、何故こんなにも豊かでこころたのしい時間なのだろう。生産的ではないけれど、無駄ではない、深い時間。ポットの蓋がことりと鳴るまで、ぼうと空を眺めているだけなのに。




その後、いつもお世話になっている山道具屋の【ブンリン】へ。
以前に頼んでおいた冬靴を買い求めに行く。この冬靴のことは、今度書こう。




帰宅後、縁側でストーブにCRC5-56を吹き付け、錆を落としたことは言うまでもない。ぴかぴかである。

by yabukogi | 2011-09-08 21:11 | ぶらぶらと歩くこと


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