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その男、薮の彼方に消ゆ

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2011年 03月 03日

0.9mm、至福のランチ

ディ・チェコ No.9カッペリーニ 

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アルコールストーブなど軽量ストーブを携え、ソロ用のポットひとつで短時間に出来上がる献立について実践、考察する。

今回は、ディ・チェコ(イタリア)の極細パスタをスープ仕立てで味わおう。ちなみにディ・チェコの場合はNo.11とNo.12を「スパゲティーニ」と表記しているから、このNo.9という細いパスタはスパゲッティーではなく、正しく「カッペリーニ」と呼びたい。記念すべき【One Pot Cookingシリーズ】第一回はこのパスタである。



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これまでクスクスやマカロニをいろいろ試してきた結果なのだが、いまひとつ「がっつり喰った」感に欠けるのである。かといって茹で時間10分近いスパゲッティーを使用するにはためらいがある。まず茹でた湯の処分の問題。次に所要時間の問題。最後に使用する燃料の問題。湯の問題は「スープにすりゃあ良くね?」で解決。所要時間は10分を長く感じるか否か。しかし燃料の問題は大きい。手製の超軽量小型アルコールストーブだと、継続燃焼時間が最大10分という場合もあるだろう。これは高所で風がある状況下だと短縮される。え? 高所ではアルコールストーブを使わない? いや、これがいいのだ。風防さえしっかりしていれば。とにかく、この0.9ミリのカッペリーには、2分で茹で上がるのだ。しかもスープ仕立てで食して美味しい。嬉しいではないか。






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 ご参考 >>ディ・テェコのラインナップ(by日清製粉)



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材料
.............................................................
ディ・チェコ No.9カッペリーニ 100g
無印良品 オニオンスープ + ミネストローネ
味源 国産たまねぎスープ
グリコ 粗挽きウインナー某
水 400ml
マコーミック フライドオニオン(丸い容器)
.............................................................



【点火】
アルコールストーブに点火する。どのストーブでも良い。さらに言うならばアルコールストーブでなくても良い。ガスでもガソリンでも。んだが、ミニマムでデリィシャスを旨とするこのコーナーでは、シンプルな手順を推奨したい。茶室でのふるまいと同じく、静かに、そして単純に。


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トランギアのTR-B25であれば数秒で炎が安定するだろう。湯が湧くまでは、いくつかの仕事があなたを待っている。FDスープの袋を開ける。ウインナーソーセージを取り出す。カトラリはあるだろうか? 僕は過去に数回、カトラリを忘れて困ったことがある。ある時などはやむを得ず、笹を拾ってラーメンをすすった。すると笹の箸の中からワームが顔を出し「あついぞばかやろう」と叱られたことも。もし忘れていたら今のうちに落ちている小枝を探し、オピネルで丁寧に削っておこう。




【麺、投入】
カッペリーニを投入する。あらかじめ、ふたつ折りにして携行していることには理由がある。パッキングしやすいこと、ポットで茹でる際に具合がいいこと。茹で時間が2分ないし3分と指定されている。手際よく行いたい。


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余談だが、かつてマルタイの棒ラーメンを携行した際、パッキングが拙くて、麺が粉々に砕けていたことがある。僕はザックに座る癖があって、固い物に挟まれた麺が砕けたのだ。長くても5-6センチぐらいになってしまったラーメンというものはおそろしく食べ難いもので、スープに絡まないから、ぼそぼそである。たしか黒戸尾根の七丈小屋前でのこと、尾白川・大武川の水源を汚す訳にも行かず、泣きながら喰った。だから麺は折れない方がいい。

ここではSPの焚を使ったが、500mlぐらいのポットだと、100gを超えるカッペリーニを茹でるには厳しかろう。80gぐらいに抑えねばなるまい。軽量化を進めると、満腹も得られないのか...。軽量化を進めると身体にも同じようなはたらきがあるかも知れない。




【FDスープ投入】
スープを投入する。それも素早く、だ。初期の試作でもたついていたら、スープが固形のまま残った。カッペリーニの塊の中から忽然と現れる半戻しのFDスープというものは、容易な5.9レベルのつもりで臨んだらいきなり5.13aが立ち塞がるようで、つらい。スープがしっかり湯を吸収し、固められた野菜の繊維がほぐれて溶けてくれなくては困るのだ。ならば、とスープを先に投じて後から麺を入れれば良いではないかとのご指摘もあろう。しかしこれは愚策である。スープ状態のとろみをまとった湯は、カッペリーニをやさしく茹で上げてくれないのだ。今度は固まりになってそこだけ極アルデンテという、これも味気ない思いをすることだろう。

白状してしまうと、この時はがっつりと満足感を得たいがために、カッペリーニ150gの麺を使用している。400mlの湯で調理するためには、100gが限界なのだ。これを無謀にも1.5倍にしたことにより、僕は困難を受け入れざるを得ない。麺を茹でる、スープを戻す、しかもこの後にウインナーソーセージが待っている。小さなソロ用クッカーの中に、こんなにも多くのものを詰め込んでいは、そもそもいけないのだ。

FDスープの素は2種類をブレンドしている。さらに「国産たまねぎスープ」まで予備に控えている。まずFDだが、同じもの2個でもいい。汗をかいた身体が欲する塩分を与えてやってくれたまえ。ここは下界ではない。はるか登り上げてきた稜線なのだ。あなたの家族や医師は違うことを言うだろうが、我慢することもあるまい。なお、夏の赤岩尾根とか黒戸尾根とか飛騨沢の詰めとか果てしなく水分と塩分を放出した後ならば、予備の国産たまねぎスープを加えてやって欲しい。なお国産たまねぎスープに関しては製造・販売元のサイトがあるのだが、そのサイトがあまりにもアレなのでリンクは控えておく。




【ウインナーソーセージ投入】
さてウインナーソーセージである。これも、ベーコンの塊だろうが魚肉ソーセージだろうが、あるいはチョリソーだろうが、構わないのだ。このランチできちんと動物性タンパク質を摂ることが重要なのだ。小声になるが、僕は固茹で玉子を入れたい。昔は駅の売店で売っていた記憶があるが今はどうだろう。とにかく、肉系のものを投じる。スープにコクが出て満足感が違う。さらにこの夜のテン場で、シュラフの中の爪先が冷えるようなこともあるまい。あなたが充分なフィルパワーの充分なダウン量のシュラフを担いできたならば心配はないだろうが。(註:体温の維持にはタンパク質の摂取が必要なのだ)

ソーセージのボイルは、これはかつて薫製職人から聞かされたことなのだが、沸騰していない湯で3分ぐらいがちょうど良いそうだ。旨味成分がいちばん愉しめるのだという。なお肉系食材の担ぎ上げには、腐敗防止のための対策を充分にご考慮ありたい。本稿の主旨からやや逸脱するが、もし肉のブロック状の食材をお考えなら、こういう手もある。出発前の晩、肉塊をコンソメで柔らかくなるまで炊き、ビネガーを加えて冷ましておく。バルサミコ酢を少量垂らしてもいい。この塊を肉汁とともにジップロックなどで密閉しておくのだ。もちろん衛生的に調理することは大前提だが、常温で二日ぐらいは楽勝である。酢の香りを伴うが、洋風のこしらえをすることで食欲も湧いてくる。





【完成】
景色を眺めたり鼻毛を抜いたりしている間に、2分ぐらいは過ぎてしまうものだ。人生に等しく、茹で時間というものは過ぎてゆく。カッペリーニは、もう茹で上がっているだろう。いきなりフォークなり箸なりを突っ込んで味わおう。だが、FDスープがちゃんと戻されているか、カッペリーニが固まりになっていないか、塩加減はいいか、お確かめいただきたい。ここではトッピングにマコーミックの「フライドオニオン」を載せている。これもお好みで、ガーリックチップ、香辛料など選択しよう。そうだ、いつもタバスコが欲しい、と思うのだ。山で飯を喰う時、もし誰かのザックからタバスコ瓶が出てきたら嬉しいだろうな。あるいは皆に喜んでもらえそうだな。よし、そうしよう。

by yabukogi | 2011-03-03 10:30 | One Pot Cooking


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