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2013年 03月 18日

かきめし〜瀬戸内咆哮編〜

冬が終わろうとしている。

つまり、牡蛎のシーズンが終わろうとしていることに、気付かされるのだ。もっとも、夏になれば、パリのセーヌ河岸で牡蛎を楽しむ、そんな若き日のヘミングウエィみたいな趣向も悪くない。

が、僕はパリどころかグアムにもハワイにも、ナリタにすら行ったことがない。



この冬は、鍋物で3回ほど牡蛎の姿を見た。出汁も出ていた。しかし僕の舌も胃袋も、牡蛎にはたった一度しか出会えなかった。


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そうか。奴らが居る限り、牡蛎は喰えんのだ。
豆ども(こどもたち)の居ないところで、存分に牡蛎を楽しむことにしよう。



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キッチンで牡蛎を洗う。三陸ものを探したが売り場になかったので、瀬戸内産を買い求めたのだ。

笊に開けて水気を切っている間に、ミニトランギアのナベで酒、醤油、白だしのつゆを温める。煮立ったところに牡蛎の身を放り込み、3分間だけ、加熱する。白出汁を使ったのは、ネコの手も借りたい師匠からの助言だ。



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火が通ったようだ。



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煮汁に漬けておくと身が痩せてしまうので、煮汁を密閉容器に分けておこう。容器は冷蔵庫へ。



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身は、冷やしてからテルモスのフードコンテナーJBI-380に。飯を炊く現場まで保冷しておく。


 ■□■

さあ、邪魔な奴らがが居ないフィールドで、牡蛎を楽しむのだ。


PRIMUSのAluTechポット1Lには無洗米、ブナシメジ。ここへ...
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密閉容器に分けておいた牡蛎の煮汁が入る。一滴も、無駄にしない。そしてトランギアのストーブに炎が点されるのだ。



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ぶくぶく...。ううぅ、香ばしい。


後半は約束通り、弱火で12分。
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火力調節蓋を細く開け残し、最適な火力を得る。陽光の下、青い炎は見えない。


うむむ。
待てないが、待つのだ。


12分を経て、火から下ろす。蓋を取り、冷たいまま運んできた牡蛎の身を投じる。
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あぁっ。なんというビジュアル。なんという香り。ここからさらに15分蒸らさねばならないと言う地獄の待機時間。



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そして、時は満ちた。



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盛れ。かぶりつけ。味わえ。噛み締めろ。呑み込め。ほら、もうひとつ!




そして、蒼空に向かって叫ぶがいい。
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by yabukogi | 2013-03-18 06:00 | 喰い物のこと
2013年 03月 16日

貝めし〜北海旅情編〜


十代の終わりから何度か、僕は各地を放浪の旅に過ごしていた。

北海道の函館から歩き始めたその年の旅。小樽、札幌を過ぎて旅の費用は尽き、帰京するか否か、悩みながら海辺を歩いていた。寝床はテントだからなんとでもなる。しかし空腹だけは我慢ならず、真剣に、旅を止めて帰ろう、そう思い始めた頃だった。

ある小さな港町の水産加工場で、僕は臨時の職を得た。

きっかけは、ひとりの小柄なおばちゃんが、街道を歩いていた僕に話しかけてくれたことだった。でかいザック、たしかMILLETのフレームが入ったやつだった。そんな姿を見ることも少ない北海道の浜辺で、おばちゃんは僕に冷たい飲み物と飯を恵んでくれて、「あたしが居る加工場を紹介してやろうか?」と連れて行ってくれたのだった。

聞けば、夏にホタテの赤ちゃん貝を採ったり選別したり、人出が足りなくなるそうだ。

仕事場は港の倉庫のようなところで、テント暮らしで良いと言う僕のことばは退けられ、空いている倉庫の宿直室のような部屋をあてがわれた。水平線を窓から眺める、快適な部屋だった。朝は夜明け前に起きるが、夕方は早く解放され、僕は窓からの眺めに飽きもせず、時の移ろいを愉しんでいた。

ここでの日々を書けば、ひとつの物語になるだろう。でもそれは本稿の趣旨じゃない。



港町で暮らした日々で、僕はホタテ貝の炊込みご飯をよく作った。自分の分だけでなく、大きな釜でも炊いた。目の前の海の豊穣な恵みに慣れ親しんでいるはずの漁師さんやおばちゃんたちも、僕が炊いた炊込みご飯を「美味い美味い」と、誉めてくれた。そんなこと、すっかり忘れていたけれど、缶詰売り場でホタテの貝柱缶を見つけた時に、どどどどって、思い出してしまったんだ。

次なる缶詰炊込みご飯は、貝柱。貝めし。




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売り場で見つけた【ニッスイ 貝柱ほぐし身】缶。これを、「かにめし〜安曇野望郷編〜」の時と同じよう、わさび漬けと一緒に炊き込んでみよう。


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安曇野コシヒカリ2合を研いでおき、Primusのアルテックポット1Lで段取りする。缶詰をオープンしたら、貝の煮汁だけを、ナベへ。


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旨味の補強に、こんぶ茶をひと匙投入。


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醤油ではなく、蕎麦つゆをたらりと。味の加減は「かけ蕎麦なら、薄くね?」っていう感じ。



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ここへ。

悪魔の晩餐会の主役ともいうべき、わさび漬け。人類三大発明を凌駕する、文明の英知の結晶。
たっぷりと、さあ!



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今宵も働け、僕のトランギア。
青き炎を噴き上げ、美味なる飯を、炊き上げろ!


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クッカーの右、缶詰を、ござんなれ。
貝柱は缶の中に鎮座ましまし、投入の瞬間を静かに待っている。


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強火で約10分、弱火で12分。ここで消火するのだが、貝柱ほぐし身を、湯気立てる飯の上に、ほらっ!





蒸らしを終えて、貝柱ご飯、食卓へ。

ちびどもが蹂躙を始める。
サファリパークの「エサの時間」のようだ.....

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僕が盛る頃には、貝柱は姿も影もなく、旨味をまとった味わいの飯が残るのみ。

嗚呼、それでも美味い!



誰も居ない日を選んで、もう一度こしらえ、味わってみよう。(号泣
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by yabukogi | 2013-03-16 17:19 | 喰い物のこと
2013年 03月 10日

かにめし〜安曇野望郷編〜

ソロクッカーに生米と缶詰を放り込んでの「炊込み炊飯」は、なおも続いている。

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先般は、【いわし味付け】缶詰+梅干し最高! と書いた。もうこれは僕のエンディングノートに書いておこう、僕の墓石は【いわし味付け】缶のデザインにしてくれ、と断言できるレベルだった。


ところが、味わいの更なる遠くの地平線というものがあった。

求道とは、かくも遠い道なのか...。いや、醍醐味と言うべきか。僕はさらに美味いものを見つけてしまったのだ。もう「いわしめし」とか単なる山食のひとつじゃね? と表現をトーンダウンさせていただきたい。



やはり、缶詰なのだ。そして、安曇野の味わいがプラスされたのだ。どのくらい美味かったかをお伝えしたくて、これを書く。


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わさび漬け。安曇野の清らかな湧水が育んだ山葵を惜しげもなく使用している、飯の友だ。わさび漬けのことは、あの工場長さんと「断然、小口だ」「いや、望月だ」と果てしない論争を重ねてきたので、ここでは繰り返すまい。とにかく、わさび漬けなのだ。今回は「葉わさび」を使用した。

そして缶詰は、蟹である。カニである。海の底のいやらしい節足動物である。


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アルミ・ハードアノダイズドされたソロクッカーに、1合の米、【マルハ まるずわいがにほぐしみ】である。実は、かに肉は、蒸らしの時に混ぜ込む方が美味いのだが、写真を撮っていない。


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ここへ、わさび漬けをひと箸、放り込む。そう、酒粕ごと。



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塩気を足すのに、塩、こんぶ茶、醤油、粉末鰹だしのいずれが好ましいか? これは好みの問題もあろうが、僕はそばつゆ。それもいつものじゃない「安曇野そばぶるまい」のうんまいつゆ。

トランギアのアルコールストーブに、火が点される。音もなく立ち上がる炎が、揺らめきながら味わいの予感を奏でる。






蒸らしの時間中。

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待てんのだ。湯気に混じる酒粕の香り... トランギアのアルコールストーブは弱火にされながらも、小さな炎がナベ底をちろちろと炙っている。その熱が酒粕の芳醇な香りを撒き散らしているのだ。これが「飲め」「呑め」と囁きかけてくる。

我慢できず、わさび漬けを肴にちびりちびり、やり出す。


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炊けぇーた。もの凄い香り、ビジュアル、僕の胃袋がふくれあがり裏返り、僕を呑み込もうとしている。


マグに盛り、訳の解らない叫びとともに、海苔を振る。

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くああぁあぁ。

混ぜる。

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もう.... これは.......








蟹肉は、蒸らし時にそっと載せ、いただく時に混ぜる方が断然良い。ただし缶詰のスープとわさび漬けは、トランギア点火時に投入のこと。
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by yabukogi | 2013-03-10 10:03 | 喰い物のこと
2013年 02月 18日

いわしめし〜梅の章〜

いわしめし。
前稿で僕は、この極上の山飯との出会いを書いた。


いわしの缶詰をめしと一緒に炊込む、というシンプルな手順によって、腹もこころも満たしてくれる至高の山の飯。しかし、前項はあくまでも『序章』に過ぎず、僕も続編を予告している。その続編である。


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今回使用した材料と道具。ソロハイクを想定して1合炊きとし、ナベもPRIMUSのAluTechポット0.6Lとした。気付いたのだが1合の米を水に浸しておくのに、250mlのフードコンテナがぴったり。缶詰はマルハニチロの【いわし味付け】とした。小さな容器に、塩こん部長と梅干しが写っている。



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いわしの煮汁はもちろん、ナベに投入。



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ここへ手作りした梅干しを放り込む。

梅干し。偉大にして愛すべき食材。
実は、いわしの持つ本来の「生臭さ」を消し去るのは、ショウガではなかった。僕はショウガが大好きだ。寿司屋でも「あの野郎ガリしか喰わねぇっ、けっ!」と言われるぐらいショウガを好む。しかし、これはジンジャーの独特の風味をもっていわしの風味を覆い隠す、言うなれば分厚いカーテンでしかない。

対して、梅干しを放り込むことでその成分は生臭さを分解し、隠すのではなくてより好ましい風味に変えてくれるのだ。カーテンで閉ざすのではなく、心地よい陽射しがカーテンと窓を開かせるように。ぜひ、お試しあれ。



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今回はソロクッカーを使用しているので、風防の上縁より3ミリ低い位置にナベ底をホールドしている。
  >>参考記事『トランギア、ゴトクその後』

ぐつぐつ、ぶくぶく。
胃袋がよじれあがるような芳香を吹き出しながら、やがてナベは静まった。蓋を開ければ....

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あぁ... 10分の蒸らしを忘れるところであった。


待つに待てぬこの時間。僕に出来ることと言えば、マグに満たしたウイスキーを呷ることだけ。いわしがここまで暴力的な存在であったとは.... チャンドラーなら、なんと書いただろうか。



あえて感情を押し殺し、GSIのネスティングボウルに、盛る。敢えて、叫んだり微笑んだり、高揚したりはしない。落ち着いて、かつて僕がアイスマンと呼ばれていた頃のように無表情に、盛り、もみ海苔を振る。

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山飯の最終兵器。
僕が密かに「ツァーリ・ボンバ」と呼ぶように、ここから向こう側の味わいというものは、存在し得ない。最後の晩餐には、かつて存在した紡績通りの一龍軒の豚骨ラーメンと決めていたが、この気持ちすら揺らぎかねない。はてしなく、美味い。いわしの缶詰、安曇野コシヒカリ、塩こんぶ、麺つゆ、そして梅干しが、響き合う。もみ海苔を振ることで、涅槃の味になる。
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by yabukogi | 2013-02-18 20:18
2013年 02月 18日

いわしめし〜序章〜

いわしめし。

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シンプルで、得も言われぬ味わいをまとった、究極の山飯が存在した。



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缶詰コーナーやワゴンで売られている、イワシ缶。多くの場合、プライス88とか、100とか、お手軽。風味ラインナップも味噌、黒酢、しょうが、レモンなどと幅広く、選択に困るほど。

今回はたまたま手元にあったキョクヨーの【いわし味付・生姜煮】を使用した。脇役としてはこれまた美味しい【くらこん・塩こんぶ】、パッケージの塩こん部長が愛らしい。2合のコメを研ぎ、水は通常の炊飯時より少ない300ccとした。この水分量には訳があって、要は味の調節のためだ。缶詰の「煮汁」はもちろんのこと、少量の「麺つゆ」を加えてある。使用する缶詰の銘柄や塩加減で変わるだろう。

もっとも、ソロハイクでは1合炊きが多いだろう。幸せなカポーやあの工場長さんなら2合炊きか。ふだん使いのナベで「どこまで水を...」と覚えておく。



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材料が、ナベの中に投じられた。ナベはPRIMUSのAluTechポット1L、火器はトランギアTR-B25プラス、自作ストームクッカーもどきを使用。麺つゆ追加による味付けの加減だが、これが重要。僕の場合このタイミングで、かけ蕎麦のつゆなら、ちょい薄くね? 程度、下界でならややしょっぱく感じる。またこの時、日本酒を加えれば、尚のことよろしい。



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前半は火力調節をしない強火で炊く。


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風防の上縁部。ナベ底を舐める炎の様子がうかがえる。
ぶくぶくと音がすれば、腹が鳴り出す。たまらん。



沸騰したら、理想的には1〜2分をそのままの火力キープ。さらに...


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火力調節蓋を細く開け残し、装着。素早くナベをゴトクに戻す。


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タイマーで12分。ただし炊き込み系の場合は焦げ付きの蓋然性が高まるので、10分過ぎからは慎重に香りをチェック。逆に言い換えれば、お焦げが好きなら香ばしい匂いとちりちりの音を聞いてからナベを降ろせば良い。



蒸らしの10分間が、長い。

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蓋を開ければ、そこはパラダイスだった。もっともいわし殿には不幸な墓穴なのだが、これが生きることの残酷さなのだ、許せ。



ひとくち、いわしの身をむしる。骨ごと味わう。うぅ、たまらん。もみ海苔を振るのを忘れていて台所に立った瞬間、大豆と小豆がこのポットを発見し、中身を奪い合い、僕の口にはわずかしか回らなかった。




その後、3回の実験を重ねる。そこで得られた知見のいくつかを。

(1)いわしは、プレーンな醤油味の方がいい。
生姜煮がよろしくない訳ではなく、醤油味でしかできない高度なバリエーションを発見したためだ。このあたり、まだ写真も撮っていないので、近日公開。


(2)トッピングは、ぜったいに海苔。
針ショウガ、アサツキ、青じそ(大葉)、七味唐辛子なども試してみたが、断然ぜったい、もみ海苔。


(3)お焦げ、最高!
この「いわしめし」は、ご飯ではなく、肴だ。池波正太郎さんの物語の中で、「鮒飯を肴に熱いのを...」などのような表現に出会うことがある。飯を肴に酒を? と永年疑問に思っていたのだが、この「いわしめし」のお陰で「すっと腑に落ちた...」感がたまらない。


テントを張る。荷物の整理。
マウンテンブーツを脱いでクロックスに足を突っ込む。
担いできたビアを「ぷしゅっ!」。

その傍らでトランギアをセットし、広口ボトルかなにかに入れておいた生米やいわし缶を投入。点火。
ビア2本が空になり、ウイスキータイムが始まるだろう。空はまだ茜に染まらず、ただ金色のひかりの兆し。このタイミングで、いわしめしが炊きあがる。

まずはいわしの身をむしゃむしゃやりながら、ウイスキーが進む。飯粒を美味い美味いと言いながらかき込む。時折マグに手を伸ばしてモルトとの相性にうなずく。

最後のお焦げ。ナベ底のお焦げ。これを噛み締めながら、景色を眺める。するといつの間にか稜線を隠していたガスが取れて、彼方に、にょっきりと槍の穂先。

うん、今回のハイク最高! ってね。
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by yabukogi | 2013-02-18 11:55 | 喰い物のこと