その男、薮の彼方に消ゆ

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2013年 07月 14日

らっきょうの歌を聴け



その男、らっきょうが好きである。

椎名誠さんのものがたりに「ねぎ臭い男」というのが出てくる。文字通りねぎ臭い息を吐きながら、はぁはぁ言っている気持ち悪い男なのだろう。その男、実在モデルか? 

そう思えるほどに、葱の仲間のものを好む。行者にんにく、にんにく、ねんぼろ(のびる)、にら、新玉葱.....
ようするに、ねぎ臭い男なのだ。葱坊主みたいなくだらない男なのだ。

しかし、その男、売り場でらっきょうのパッケージを前に、硬直している。ほとんどが中国産なのだ。喰える訳が無い。できることなら「チャイナ・フリー」であり続けたい。チャイナ・フリーとは、赤い帝国・中共で生産されたものとは無縁で暮らす、という意味である。粉ミルクにメラミンを混ぜ込む国である。そんな国で作られた食品が、喰える訳が無い。


やむなし。手ずから漬け込むしか道は無い。





こうして、その男、国産(鳥取産)の泥付生らっきょうを手に入れ、漬け込むことにした。毒も共産主義も中華思想も入り込まない、美しくピュアならっきょうを目指して....



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粒の大きなものを選んだ。巧く漬かるのか。



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球根の上下をカット。そして泥や余分な皮を取り去る。べとべとした汁が流れてくるので、塩をまぶして一晩放置する。




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漬け込むらっきょう酢に、問題があるのだ。市販の、あんな甘くてべたべたの汁では、喰えたものではない。これがあまりに不味いので、砂糖を抑え、もっとさっぱりと漬け込もう。酢を選び、たかのつめを加え煮立てる。酢の半分は生のまま、昆布を加えて使おう。




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塩漬が足りないような気がしたが、水気を絞って自作の漬け酢に浸す。一週間後の味見では明らかに塩分不足を感じたが、しばらくこのまま様子を見ることにしよう。
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by yabukogi | 2013-07-14 20:15 | 喰い物のこと
2013年 07月 06日

梅仕事、続編

一週間前に仕込んだ和歌山県産南高梅は、24時間を待たずに梅酢を上げてくれた。一番てっぺんの梅が梅酢に浸された瞬間、カビ発生のリスクは大幅に低減される。ここまでくれば梅干づくりは半分成功、あとは土用干しまで瓶の中に寝かせ、お陽さまを選んで干し上げてやるだけ。

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僕はすっかり調子に乗ってしまって、さらに梅を漬け込むことにした。

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近所の八百屋で求めたのは、群馬産の10kg。安いだけあって、痛んだものもあり、1kgはロスとなった。梅ジャムに挑戦してみようか?



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小さな傷があるものが上段の方に漬け込まれると、梅酢が上がるまでのわずかな時間、空気に触れてしまう。これがカビを発生させる原因になるだろうと、難ありのものから下の方に並べていく。こうすれば、数時間以内に梅酢の中に浸され、カビから逃れられると思ったからだ。




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丁寧にていねいに、すき間無く並べながら詰め込んでいく。体積を節約すれば、それだけ早く、梅酢に沈むことができるのだ。塩分量16%。吉と出るか凶と出るか。





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樽を台所の隅に設置。重しには、2.7Lの水を4本、1.8Lを1本、その上に4.5kgの漬物石。合計17.1kg。これなら明日には梅酢が上がるだろう。

しかし、すこし前に「ウイスキーをペットボトルで買うんだ」とカミングアウトして恥をかいたのだけれど、ペットボトルでなければならない理由に、こんな合理的な要素があったなどと、誰が想像し得ただろう。僕に死角は無い。
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by yabukogi | 2013-07-06 16:42 | 喰い物のこと
2013年 06月 30日

梅仕事、2013

梅雨、と書いて「鬱陶しい」と読むのだろう。


けれど、こんな手づくりの季節と思えば、降りけむる雨も嫌じゃない。


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今年は少し、奮発した。例年、キロ400〜500円ぐらいの「白加賀」あたりで漬け込むことが多いのだけれど、今年はやわらかな果肉を楽しめる「南高梅」の4Lと2Lを求める。




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4Lサイズを漬け込むのは初めて。立派なものだ。




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ほら。プラムとかそんな感じ。




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「づく」の要る仕事は、豆ども(こどもたち)に委ねる。嫌がらず、毎年ちゃんとやってくれる。もちろん、爪を切らせて手を洗わせて。ご褒美に、明日は父親から何か買って貰うのだ。

づく、とは信州のことば(概念)で、やる気や根気に近い意味を成す。やる気と言っても瞬発力的な行動開始の意思ではなく、こつこつと地道な作業を続ける(取りかかる)モチベーションを意味する言葉だ。庭に繁茂する雑草を放置していると「なにをづく無しこいてるだ? あ?」と言われるように。




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2Lサイズの梅を、仕込み完了。仕込みとは、素材となる完熟梅を流水で洗ってさらに拭き取り、これを焼酎(ホワイトリカー)で濡らして塩をまぶす作業。こいつを瓶に密閉して「梅酢」が出るまで待つ。梅酢が出てくればしばらく寝かせ、あとは土用の頃に炎天に晒す。太陽の無慈悲なまでの熱と紫外線に肌を焼かれ水気を絞られ、また梅酢に浸して寝かせる。こうして味わいまろやかになった夏の終わりに、梅干として完成する。

途中、カビの発生が懸念される。これが出ると日光消毒とか面倒くさいらしいが、僕はさいわい、これまでにカビにやられたことがない。




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4Lサイズのスペシャルな梅も仕込み完了。塩で真っ白だけど、これで16%。




2、3日のうちに梅酢が滲出すればカビの心配は無い。言い換えれば、梅酢の中ではどんな細菌も生きられないのだ。さて、これから梅たちは梅漬けから「梅干」へと成長を遂げるだろう。そのいきさつはまた、ご報告しよう。



三年前の梅干づくりの様子を記事にしていた。こんな感じ
>>炎天に干し上げろ

>>僕には梅干がある

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by yabukogi | 2013-06-30 02:19 | 喰い物のこと
2013年 05月 25日

たたかえ悪臭番長


帰宅して自室のふすまを開ける。

むぅっという生温かい空気に包み込まれる以前に、僕の鼻孔は、あの強烈な臭いの、ダイレクトな攻撃を受ける。それこそ、すべての感覚器はもとより全身の細胞に、もの凄い臭いが突き刺さる。ただよう、香る、流れるではなく、もの凄い悪臭が突き刺さってくるのだ。



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先日、庭の行者にんにくを漬け込んだことをご報告したが、どんな巡り合わせなのか、また追加分を漬け込むことになった。


 □■□

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かなりの量である。栽培ものだが、信州産の新鮮なものが届いたのだ。

醤油の在庫が足りないので、一升瓶で買い求める。蜂蜜や黒砂糖も買い足す。梅酒を漬け込むガラス瓶まで動員し、黒砂糖仕立て、蜂蜜入りなどと少しずつ味わいを変えて、ぜんぶ漬け込む。




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いちど湯がいて、と紹介されることもあるが、僕のは、生だ。おとこなら、生でゆけ。

行者にんにくたちよ。
凶暴なまでに野趣溢れる、あのもの凄い臭いを凝縮させて、瓶に眠れ。



 □■□

台所の床下に隠したが、家族たちが臭い臭いと騒ぎ立てる。やくなく自室に移し、大きなポリ袋で何重にも密閉したのだが、それでも激しく臭う。いや、すさまじく臭う。



この臭いの中で、数夜を眠った。
夢の中にまでこの臭いは容赦なく無慈悲に侵入し、幾度も幾度も、僕はうなされた。焼き肉やイタリアンを満喫した翌朝の、「しまった臭せぇ!」という感覚に数日間、悩まされた。口の中や息がにんにく臭い錯覚を覚えてしまうのだ。



 □■□

返り討ちにしてやる。

僕はこの決意を胸に、瓶のひとつを開ける。ひとすくいを小皿に盛る。
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うわ!
なにこれ美味い!




いまの僕は、臭い。はげしく臭い。猛烈に臭い。
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by yabukogi | 2013-05-25 11:38 | 喰い物のこと
2013年 05月 13日

森の泉の行者大蒜

この週末は外遊びを予定していたが、事情があって延期。埋め合わせに、近所の散歩に出かける。

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家から10分ぐらいの丘に立つ。歴史ある観音堂が立っており、まつもとの風景を見晴るかす。正面右の白い稜線は木曽駒ヶ岳。写真では判別できないが、左奥には南アの仙丈ヶ岳や北岳、甲斐駒も顔を出している。ここで珈琲を愉しんだのち、さらに足を進めて丘の裏にある森の奥深く....


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窪地に泉が湧く。鳥のさえずり、風が梢を揺らす音、ひそやかな水の流れの音。



3年前、ここで行者にんにくの株を、すこし掘り上げておいた。泉の周辺にはいくつかの群落があっったのだが、採り尽くされてしまったようでもう残っていない。



そうだ、僕が掘り上げたやつは、庭の片隅に定植したのだった。これをすっかり放置していた。



柿の樹の下、茂みの陰に....

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青々と葉を延ばしてる。移植しておいて良かった、とふと思う。



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元気な株から一番外側の葉っぱだけを失敬する。



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洗って水気を切って....



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たまり醤油に漬け込む。

時々取り出しては薬味に使い、残ったたまり醤油は調味料として活用しよう。
こうして穏やかな日曜日の時間が過ぎて行った。
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by yabukogi | 2013-05-13 07:12 | ぶらぶらと歩くこと
2013年 02月 09日

悪魔のピクルス。ピクルスの悪魔。


山へも出かけず、安曇野の工房と自宅を往復するだけの、穏やかな日々。
夜になると僕は、美味いものを探し、つくり、味わい尽くす。


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青唐辛子のピクルス。悪魔のピクルス。
秋の初め頃に仕込んでおいたものが、たまらないほど美味くなっていた。


でっかい青唐辛子に、ワインビネガー、リンゴ酢、そしてスピリタス。その他、塩、生にんにく、黒胡椒、ローレル。

出来上がったのは、ピクルスの悪魔。そのまま食するには、辛すぎるし、しょっぱいし。




そこで、こんな風に。
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白ワインで蒸し上げたオイスター。そんなにむっちむちじゃないけれど、ぷりぷり。
刻んでオイスターに添え、屋外で冷やしておいた『真澄・あらばしり』とマリアージュ。





昨夜は、大量に買い込んでおいた100円オイルサーディンと....

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トランギアのアルコールストーブを自作ストームクッカーもどきにセット。
ミニトラのパンには、にんにくオイルとサーディン。温める前からすごく良い香りが漂う。


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ぐつぐつ言い出したら、弱火に。あぁ...はやくたべたい。


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悪魔のピクルスを刻んで、青ネギも刻んで。


ほうら、アップで。
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久しぶりにビアを、ラガーをぷしゅっと開けようかと数秒悩んだけれど、安いニッカの井戸水割りで。
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by yabukogi | 2013-02-09 15:35 | 喰い物のこと
2012年 12月 09日

なんてシルキーな夜だろう



やあみんな、もちろん絹ごしだろう?


僕は豆腐が好きでね。
もちろん地元の名店と言われる豆腐店の豆腐、一丁300円ぐらいする品物が最高だけれど。でも現実にはスーパーで売ってる輸入大豆(ただし遺伝子組み替えでない)を使った、一丁29円の絹ごしの方が多いんだ。


冷や奴?
うん、でも今は、湯豆腐か「温奴」だね。

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これが、或る夜の僕の夕食。
たった、これだけ。


虐待を受けてる?

....そうかもしれない。




信州松本の冬は、すごく寒いんだ。暖房器具の無い部屋(当地では珍しいことだけれど)で暮らしていると、寝る時にはダウンの上下を着込んでバラクラバを被る。

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もちろん、テントの中でもね。



とにかく、こんな凍てつく季節には、絹ごし豆腐を皿にあけてレンジに放り込む。中まで温まったら、大好きなペッパーソースを、たらぁり。緑色の、いのちを震わせるような美味しいソースなんだ。
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このソースがね、29円の豆腐を感覚的には2,900円也の素晴らしいご馳走に変えてくれる。


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秋深まる頃に手に入れた、地物野菜の青唐辛子。この夜の絹ごし豆腐に添えられていたものは、青唐辛子をジューサーでカットして、塩とリンゴ酢に混ぜただけのシンプルなもの。素材の味わいを引き立たせてくれる。


この他にも、いろんな品種のペッパーたちが、いろんな姿で保存されてる。

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ほら。




あなたも、どう?
冬の、シルキーな夜。
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by yabukogi | 2012-12-09 09:35 | 喰い物のこと
2010年 12月 13日

稲核菜を漬ける

奥多摩のグリズリーとか南アのイエィティとか、それはもう恐ろしげな呼ばれ方をしてるけれど、根は優しくて大飯喰らいの工場長さんの好物に、稲核菜の漬け物がある。稲核菜は「いねこきな」と読み、梓川のすこし上の方にある稲核集落の地名で呼ばれている。松本盆地から上高地に向う道が山間部に入って、梓川にそってぐねぐねしはじめるあたりだ。

この稲核菜、もともと松本盆地周辺では広く栽培されていたらしく、うちのバア様も「むかしはこればかりだった」と感慨深い。というのも、いつの頃か稲核菜よりも柔らかく(筋っぽさの少ない)野沢菜が北信濃から広まり、そして流行り始めた。食べやすく美味だというので、どこの畑でもみんな野沢菜を播くようにになったそうだ。いわば野沢菜に駆逐された観のある稲核菜、信州の伝統野菜のひとつとして保存に努める農家もあると聞く。稲核集落自体が標高の高い山間地なのだが、さらに山の上の畑に稲核菜を播くのだとか。野沢菜その他アブラナ科の別種と交配してしまうのを避けるためという。



冬の気配がいよいよ厳しくなってくると、僕の遺伝子に残されている漁労採集生活の記憶だろうか、保存食を仕込んだりする「づく」が出始める。ある日、梓川の畔の友人の農地で収穫された稲核菜をたんまり頂いてきた。さっそく漬け込む。

昨今は漬け物と言えば浅漬けが多いようだけど、この菜は古漬けにしなくてはいけない。ごりごりと筋のある独特の歯ごたえに加え希少極上の風味を愉しめるからだ。そう、古漬けであるからには数ヶ月を乳酸菌がはびこる漬け汁に眠って完成させる。この間に発酵から生じた酸味と旨味をまとった、これぞ漬け物、冬の信州ならではの味わいである。




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稲核菜は、野沢菜よりやや背が低い。根は肥大し赤紫色のカブとなる。

>> ふふ、美味い漬け物の話さ...
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by yabukogi | 2010-12-13 16:00 | 喰い物のこと
2010年 10月 30日

その男、鰊を炊く。

秋が深まると、その男は鰊(ニシン)を炊く。鰊は「春告げ魚」とも言われるように春に美味い。これを昔ながらのやり方で干物にしたら初夏であり、熟成させても夏が旬と思える。けれどもその男、なぜか寒くなると食べたくなる。


鰊は本来、かちかちに干し上げた本物の身欠き鰊を使った方が美味い。北国の海風に長期熟成された本物ならではの旨味である。それも脂身の少ないものが風味はまさる。京都のめし屋では、この本来のかちかちの本物をていねいに炊いた煮物が味わえるのだが、その男には京の都で美食を愉しむゆとりもない。本物のかちかちを手に入れて、手間ひま掛ける「づく」も足りない。




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そこでソフトタイプの身欠き鰊に手を出してしまう。しかしこれはこれで熟成させていない分あぶらが酸化していない。だから脂をしっかり味わえるのが嬉しい。江戸前のにしん蕎麦にも、たぶんこのソフトタイプの方が合う。柔らかな僕にも、ソフトな鰊が似合うのだ。

>炊いてみろ男
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by yabukogi | 2010-10-30 16:11 | 喰い物のこと
2010年 10月 17日

飽食パラダイス2010

秋の深さは、たとえば蛇口の水の感触で、そのまま冬の近さを教えてくれる。


山の生き物たちも、せっせと冬の長い眠りに備えて栄養と脂肪を貯め込んでいることだろう。僕にももうすぐ冬が来るのだ。凍てつく信州の空気の中に、数ヶ月を過ごすのだ。


高菜漬けのストックが切れた。庭の青唐辛子で味付けしてみよう。

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 ◆付記
 僕の食卓に、高菜漬けは何が何でも必要で、白いご飯の時と豚骨ラーメンのトッピングには欠かせないのだ。さらに言うなら、ギアラックの片隅の食料ボックス、ただの段ボールだけれども、この中には【マルタイの棒ラーメン屋台九州味】が1ダースくらいは常備在庫されていなければならんのだ。

 >> 読むと太るかもしれない
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by yabukogi | 2010-10-17 14:48 | 喰い物のこと