その男、薮の彼方に消ゆ

imalp.exblog.jp
ブログトップ

タグ:戸谷峰 ( 8 ) タグの人気記事


2013年 06月 24日

緑の戸谷峰・六人坊・烏帽子岩

2013年6月23日。僕は全身が緑色に染まるぐらい、あざやかなみどりの中を漂っていた。


c0220374_623182.jpg

少し高い所へテントを担いで。そう予定していたけれど、結局裏山のあまり高くない所を半日で周回することにした。日曜日の朝ご飯を済ませ、台所を片付けてから家を出る。パックしたのは2リットルの水とカップラーメン、そしてトランギアのアルコールストーブ。ほかにはウインドシェルと予備の革手袋ぐらいだった。




家から15分ぐらい、カブを走らせる。三才山トンネル手前で国道254号の道ばたに駐輪すると、戸谷峰に向う2組ほどのハイカーがいた。彼らは最近整備された別コースを歩いたのだろう。山中でもてっぺんでも、出会うことは無かった。

c0220374_63057.jpg

野間沢橋脇の鉄階段。ここが戸谷峰の旧入り口。中部電力の鉄塔巡視路を歩かせてもらう。



c0220374_631710.jpg

緑がしたたる。ニリンソウの群落が見られる、湧き水のある谷。時期が遅いので花はもうない。



c0220374_644566.jpg

足元に、オトシブミがたくさん。踏んでしまうと可哀想なので、この日、いくつかを道の外に放ってやる。



c0220374_65950.jpg

どこもかしこも、いのちの気配に、満ち満ちていた。幼樹が葉を広げ日光を受け取ろうとしている。数十年後、巨樹に育っているだろうか。



c0220374_652716.jpg

朴の木のアトラス。独りで全天を支えているようなその姿に、僕が勝手に名付けた。



c0220374_66911.jpg

山頂近く、広葉樹の尾根。林床のニリンソウにも、もう花はない。



戸谷峰山頂には誰も居なかった。西側、安曇野は靄っている。槍も穂高も見えない。
c0220374_664074.jpg




c0220374_673424.jpg

山頂を後にして、尾根の道を戻る。いつもは鉄塔のコルから野間沢橋に降りてしまうのだけど、この日は稜線伝いに六人坊、三才山と回ることにしていた。踏み跡はとっても薄くなる。それでも迷うことはないトレース。




c0220374_6131747.jpg

ギョリンソウの群落。




c0220374_675953.jpg

六人坊山頂には、三角点と手書きのプレート。




c0220374_684473.jpg

わずかに歩けば三才山。ここから急斜面を這い降りると、眼下に国道の橋が見える。するといきなり、蝶ケ原林道に飛び出す。ここが三才山峠。




c0220374_69155.jpg

峠の様子。右奥の斜面から林道に降りた。




c0220374_610924.jpg

しばらくは蝶ケ原林道を歩く。途中、東側にすばらしい岩壁がある。




c0220374_6103846.jpg

登ったことはないけれど、そそられるリッジ。あのテラスからの眺望を想像するだけで、お腹の下あたりがヒュンとなる。




c0220374_611184.jpg

岩壁の下で、ランチタイム。

c0220374_6113465.jpg


c0220374_6115297.jpg

ヌードルをすすりながら、この日の前半に歩いてきた山並みを眺める。





少し歩いて、烏帽子岩への入り口。美ヶ原高原ロングトレイルに入る。トレイルはさらに、武石峰から美ヶ原方面へと続いている。 

c0220374_613332.jpg

武石峰からの降り口(右)と烏帽子岩への入り口(左奥)。




c0220374_6143175.jpg

烏帽子岩。でっかい岩壁の基部から突き出したピナクル。松本市街地からも眺められる。背景は女鳥羽川・地獄谷の森。




c0220374_6163151.jpg

男性用の眼鏡を拾った。持ち主が困っているだろう、権現社の石灯籠に置いておいた。




c0220374_61648100.jpg

烏帽子岩からも、濃淡あふれかえるみどりの中を下っていった。




c0220374_726461.jpg

山腹を巻くように下り、次第に開けた沢のような地形に変わる。そんな一角に、湧水を汲むことができる。僕は飲んだことがない。また秋深くには涸れてしまう。




c0220374_6171659.jpg

国道を往くクルマの音が聞こえ、畑の脇を過ぎ、車道を歩く。国道に出てしばらく登っていくと、僕の赤いカブが待っていてくれた。






c0220374_6175668.jpg

帰路、いつも詣でる御射神社さんの秋宮に寄る。このお宮で、山の神さまである烏帽子大権現さんをお祀りしてるのだ。


山の神さま、ありがとう。
[PR]

by yabukogi | 2013-06-24 07:29 | 筑摩山地・美ヶ原
2013年 01月 02日

烈風戸谷峰

元日深夜、エスパースの中で眼を覚ます。僕の部屋は寒くて、冬はこのテントの中で寝ているのだ。島々谷の一角にある或る尾根に出かけよう、そう考えてパッキングも済ませてあったが、部屋の中は闇の底。「もうひと眠り...」とまたまぶたを閉じた。


東の窓が明るみ、1月2日の朝が訪れた。僕はテントを抜け出し、ストームゴージュを履き、ソフトシェルを羽織り、バラクラバとグローブを身に着け、パッキングの済んだパックを担いだだけでカブに股がった。実際には茶漬けをすすり歯磨きとトイレも済ませて。


行き先は、島々谷ではなかった。すぐ裏山の、戸谷峰。

戸谷峰は美ヶ原の北側の山群のひとつで、松本市街地からその大きな姿が望まれる。目立つ割に静かで篤志家たちに知られる程度の里山だったが、松本市が【美ヶ原高原ロングトレイル】として遊歩道を整備し始めてから、いくらか歩く人が増えたようだ。トレイル整備に伴ってコースが付け替えられたらしい、これが気になって新しいコースを辿ってみよう。


従来は国道254の「野間沢橋」という橋のたもとの鉄バシゴから、みちが付けられていた。中部電力の送電線巡視路を利用して赤松の尾根を登り、稜線のコルに立つ鉄塔からわずかな距離で山頂に至る。

一方、新しい道は500mほど松本市街地寄りの「三才山ドライブイン」の真横に標識が建てられている。0815時、路肩の草地に原付バイクを押し込み、高度計をセットして歩きはじめる。



c0220374_22452796.jpg

新しい道は、どうやら古い山仕事の作業道を辿っているようだ。土留めに積まれた石、埋もれた丸太など単年度に整備されたものとは思われない丁寧さ。そのうえに長く使われ、営々たる歴史の重みのようなものを感じさせる。



みちは、戸谷峰山頂から真南に伸びる小さな尾根に絡んでいるいるようだ。気温は0度で温かいのだが、風がとにかく強い。頭上から折れた枝が落ちてくるぐらい、強い。森が、山が揺さぶられている。そんな風が唸る森の底に、真新しい道標が違和感を覚えさせるほど唐突に出迎える。
c0220374_2322840.jpg




雪は少ない。暮れの29日の積雪の直後、激しい雨に変わって半ば融けてしまったのだ。そこへ大晦日の寒気が入ってクラストしている。
c0220374_2324411.jpg

森の上を凄い風が疾ってゆく。葉を落とした広葉樹の森は風を遮ってはくれず、僕の身体は時折持ち上げられたり、押し倒されそうになったり。




c0220374_2343017.jpg

標高1500m、山頂下の斜面。鹿道が走る。



c0220374_2382699.jpg

平坦に見えるけど、斜度は40度近くある。山頂方向の空が青く抜けてきた。ジグザグとトレースの無い斜面に高度を稼ぐ。



c0220374_2392486.jpg

東西に伸びる稜線の一角に出た。西側、四賀金山から整備されたコースを合わせる。



c0220374_23105690.jpg

金山方向。かなり急なアップダウン。数年前にここを降りて稲倉峠まで歩き通したことを思い出す。



c0220374_23122129.jpg

0934時、山頂にて。1時間20分で到達。他のハイカーの姿は無かった。風が強く、雪に刺したポールが吹っ飛ばされるほど。



c0220374_23154964.jpg

安曇野方面には雪雲。北アはもの凄い荒れ模様。島々谷のあの尾根に向かっていたら、ここ以上の風に叩かれたことだろう。山頂でのラーメン、と用意はしてきたが、とてもとても無理。ラーメンがナベごと飛んで行ってしまう。



山頂には1分も居なかった。東側の急斜面を降りて、野間沢橋への下山路をたどる。



c0220374_23183234.jpg

靴はハンワグのSUPER FRICTION GTX。ここまでのキックステップも最高。寒さを感じる瞬間も無く最高。というか、靴を履いている、石ころの上を歩いている、クラストした雪に蹴り込む、という神経質な感覚はない。実際には丁寧に雪面をプレスしているのだけれど、感覚的には無造作に足を出すだけで良かった。もう最高。もう一足買っておきたいぐらい、最高。



c0220374_23295532.jpg

アトラスと僕が名付けた朴の樹に挨拶する。5月まで、彼は眠り続ける。ここから送電線巡視路をくだり、野間沢橋に降りたのは1030時。誰にも会わず、風の歌を聴いただけだった。



c0220374_2332232.jpg




三才山集落にある御射神社さんの秋宮に詣でる。浅間温泉に鎮座まします神さまの、秋から冬にかけてのお社だ。
c0220374_23391090.jpg


柏手を打ってこうべを垂れ、この一年の山遊びの無事を、祈った。




マップはヤマレコのページに。
[PR]

by yabukogi | 2013-01-02 23:46 | 筑摩山地・美ヶ原
2011年 01月 02日

樹霜咲く戸谷峰

c0220374_15413077.jpg


正月二日は遠見尾根をゆるゆる歩いて、鹿島槍北壁でも眺めて来ようかとたくらんでいたが、元日の祝い酒が過ぎたようだ。出発予定の時刻になってもシュラフから出る気になれず、だらけたまどろみにしがみついている。いま運転したら酒気帯びだよと理由をつけて、さらに数時間を眠る。

朝も遅く目覚めたらすっかり酒は抜けたようだ。飲み直そうと酒肴の準備をはじめる。これがその男の新年なのだ。風雪叩き付ける稜線でもない、ダイヤモンド・ダスト煌めく空の下にいるのではない、ぬくぬくとコタツから離れられないねこと同じである。

しかしこれでいいのか。数分だけ自問自答を重ね、封を切りかけた【真澄あらばしり】を冷蔵庫にもどす。パッキングは昨夜に済ませてある。着替えと、ヤカンからテルモスに湯を注ぐだけで出かけられる。とはいえ09時から北ア方面に向えるはずもなく、裏山へとカブを走らせる。

>>その先の、雪へ!
[PR]

by yabukogi | 2011-01-02 14:07 | 筑摩山地・美ヶ原
2009年 12月 08日

戸谷峰 09/12/08

樹を見に行った。

霜が降りた朝。こどもたちが保育園の庭の氷を割って遊ぶ朝。つめたい空気を感じていたら我慢ができなくなって、家から8キロ走った尾根の取り付きに向かう。ここは標高1,000m。山頂は1,629m、ゆっくり歩いて2時間の里山の登り口である。

c0220374_15565720.jpg


山の半分は、落葉松と赤松が生える。山の残り半分は、広葉樹に覆われていて、ツキノワグマもカモシカも暮らしている。ツキノワグマにはまだ会えていないけれど、2007年の暮れに大きなうんこを見た。カモシカは、いつもうんこばかり見ていたが、今日、その主に出会えた。

...そして続きは
[PR]

by yabukogi | 2009-12-08 16:12 | 筑摩山地・美ヶ原
2009年 05月 18日

戸谷峰 09/05/18

いつも来る場所のひとつ、戸谷峰。

ニリンソウの咲き具合を見ようと、2009年5月18日、バスに乗ってぶらぶら出かけた。広葉樹の森を抜け、赤松の尾根を登り、鉄塔のコルを過ぎるとニリンソウが待ち受ける。このときはタイミングよく、満開だった。

c0220374_1244930.jpg




群生地からひとまたぎで山頂に至る。

c0220374_125669.jpg


低山ながら、安曇野の平野を挟んで稜線と向かい合う、この眺望。うーん、いい山だ、ここは。

左端は蝶槍の上に南岳、獅子鼻の岩は南を向いてるためか、黒々としている。中央奥に中岳が白く、あの岩塊斜面はまだ雪に覆われているとわかる。大きく常念岳が大喰岳を隠し、右奥に槍ヶ岳が見えている。写真右端には北鎌独標。独標下の白いラインは常念一ノ沢の雪渓部分。5月の中旬でも、「笠原」から「最後の水場」までたっぷり雪があるのだ。
[PR]

by yabukogi | 2009-05-18 20:00 | 筑摩山地・美ヶ原
2009年 02月 19日

戸谷峰 09/02/19

戸谷峰は、三才山トンネル西の【野間沢橋】というところから取り付くのだけれど、ほかにもコースがある。これは、品庄沢という小さな谷を詰めて、そしていくつかの薮尾根を辿って歩いた時のこと。


c0220374_14101710.jpg

下界には春の兆しが見られた日。でも常念も槍も、真冬の姿で聳立していた。


c0220374_14103122.jpg

ひどい薮漕ぎを覚悟でいたが、赤松林のトゲトゲ下草を除き、おおむねは歩きやすい広葉樹林だった。



この翌日、僕は怪我をして遅い冬眠状態となったのだ。
[PR]

by yabukogi | 2009-02-19 19:07 | 筑摩山地・美ヶ原
2008年 06月 10日

戸谷峰 08/6/10

c0220374_7351740.jpg


c0220374_7352811.jpg

[PR]

by yabukogi | 2008-06-10 20:00 | 筑摩山地・美ヶ原
2008年 04月 28日

戸谷峰 08/04/28

【過去の記録を追加】

08年04月23日、夜の早い時刻に最後の1本を味わう。毎日40〜50本は欠かさなかったショートホープとのお別れである。


翌々日から、熱が出た。
ふらふらといつまでも下がらずに、数日続いた。


もう我慢ができなくなって、家に、市街地にいたら煙草を買いに行ってしまいそうで、裏山に、逃げた。

c0220374_1443119.jpg



この日のことは、実は記憶に無い。前後する日々も、忘れ去ってしまったようだ。ニコチン切れが、それほど苦しかったのだ。


c0220374_14456100.jpg


山頂に続く尾根の一角に、コバイケイソウが芽を出していた。なにか象徴的では、ある。
[PR]

by yabukogi | 2008-04-28 20:00 | 筑摩山地・美ヶ原