<   2012年 11月 ( 6 )   > この月の画像一覧


2012年 11月 25日

中央分水嶺・三峰山 

c0220374_1546429.jpg

三峰山山頂、1,887m。天竜川水系と信濃川水系を分つ稜線上にある。背後の水平な地形は美ヶ原の高原台地、左奥の白銀は白馬方面。



少し身体を動かしておこうと、雪道具を携えて裏山の一番奥まった場所に向かう。前日朝に自宅から眺めれば、確かに白い。どうやら雪を冠ったようであるから、足慣らしにちょうど良いだろう。山靴はハンワグのSUPER FRICTION GTXを履いて、念のために爪と刃も用意する。

2012年11月25日。のろのろと布団から抜け出して、身を切るような寒さの中にカブを走らせる。車輪が二つ足りないためかヒーターは効かないし(そもそも窓ガラスが無い)、ハードシェルの下にダウンを着込みバラクラバ+ゴーグルで、まるで稜線に居るかのようだ。僕の場合、山は近いのだけれどこうした事情で登山口までが最も寒い。


扉温泉近くのある場所にカブを置かせてもらい、装備を整える。といってもグローブを換え、ダウンとシェルをザックに押し込むだけだ。




c0220374_154741.jpg

半年前にも使った道なき尾根を、今回も歩く。前回は芽吹きの季節だったが、いまは一面の落ち葉の上を、白い息を吐きながらハイクアップ。林床に雪は無かった。



鹿の鳴く声を幾度も聞く。僕の接近に驚いて、仲間に警告を発しているのだろう。



c0220374_15474040.jpg

稜線のトレイル(美ヶ原高原ロングトレイル)に出ると、北側だけ樹氷が。これが、下界からこの山を白く見せていたのだ。ちっ、期待させやがって。

前回は西側の二ツ山方向に向かったのだが、今回は東に取って三峰山を目指す。




c0220374_15494123.jpg

笹にも氷の針が。


c0220374_155064.jpg

白き花を咲かせたダケカンバ。




ところどころにくるぶしぐらいまでの雪が残っていたが、そのまま歩き続けて山頂手前に至った。


c0220374_1550383.jpg

三峰が示すように、たしかに三つのピークがある。



c0220374_15485184.jpg

陽が当たる尾根道には、雪がない。正面に三峰山本峰を仰ぐ。



c0220374_15562260.jpg

標高が上がるにつれ、風が強くなってくる。八ヶ岳(権現編笠)、富士、南アルプス。




さらに木曽の山々、御嶽、乗鞍。鉢伏山の右には霞沢岳から穂高、槍、常念、そのまま白馬小蓮華まで白龍がうねるがごとく。スカイブルーが眩しい。まさに、パノラミック・トレイルだ。


c0220374_15543244.jpg

風が鳴る山頂。模型飛行機を飛ばしている人たちがいた。ビーナスラインがまだ走れるようで、すぐ下の駐車場に何台か停まっている。風が冷たく、早々に山頂を後にすると、三人のハイカーとすれ違った。山慣れた人たちのようだった。



c0220374_15545937.jpg

扉峠方向に下り、トレイルを外れて枝尾根の樹林帯に潜り込む。鹿道の上にあぐらをかいて、さあ、ラーメンタイムだ。




地形図を睨みながらそのまま枝尾根を、倒木を跨ぎ薮を漕ぎ、扉温泉を目指す。一度は鹿道に引き込まれて尾根を外しかけて慌てる。この登り返しでは倒木が多くて、かなり汗を絞られた。


c0220374_1557516.jpg

尾根末端の南側急斜面を本沢に降り立つ。堰堤のすぐ下で朱沢と合流。徒渉して少し歩くと、鎮座まします山の神。ここで渡り返しコンクリの橋を過ぎ、林道へ。



c0220374_15583561.jpg

林道に飽きる頃、ダム湖の堰堤上を歩き、この日の小さな旅が終わりを迎える。



c0220374_15591941.jpg

古めかしい橋を渡れば、カブにキックを見舞って走り出すだけだ。



c0220374_160419.jpg

山間部を抜け、松本市街地を見晴るかすような場所に出る。安曇野の向こうに神々の座をもう一度仰ぎ、部屋のこたつを思い浮かべながら家路を急いだ。




前日に白く仰いだ山に、雪はほとんどなかった。
思い描いていた物事が実際にその場面になってみれば期待と違っている、それが人生というものかもしれない。それでも期待はずれという落胆に陥らず、それなりに楽しませてくれるのが山遊びの奥深さなのだろう。





c0220374_1720980.jpg




【追記】
お尋ねもあったので、コース状況のことも少し書いておく。

■扉温泉〜分水嶺までの尾根
ここはコースではないので、読図や薮漕ぎに慣れた人でないと、辛い。登りならばルートを誤ることは無いだろうが、下りに取れば枝尾根に引き込まれるだろう。歩きやすく気持ちのいい尾根だが、道はないということをご理解ありたし。


■分水嶺〜三峰山手前
おおむね稜線上か、稜線の北側に付けられている。春先などは残雪が凍っていたりするだろう。一部笹が伸びていたが、コースを埋めるほどではなかった。


■三峰山直下
痩せ尾根を通過する箇所あり。諏訪側が崩れているところもあったがトラロープなど設置済み。積雪期は少しおっかないか。実際、以前3月末にアイゼンが無くて怖い思いをしたこともある。


■三峰山〜扉峠方面
ビーナスラインを東側に眺めながらの草原と樹林帯のトレイル。よく歩かれているようで、緩やかにアップダウンが続く。


■扉峠南からの尾根
薮、倒木ともにしんどい。GPSがないと枝尾根に引き込まれる。僕もそうだった。万一尾根をロストした場合、左右の朱沢・本沢どちらも沢を下れなくもないが、廊下やノドのような箇所もあるので落石も多く危険(以前に遡行して確認済み)。正確に尾根の末端までトレースする自信が無ければ歩かない方が良い。この場合は扉峠から扉温泉まで車道が走っている。

■尾根の末端から扉温泉へ
たっつーさんのご指摘によれば、こんなマイナーblogにもサイレントな女性ファンのお方がおられるらしく、この尾根の末端辺りの歩き方のご説明が不足している旨、苦言を頂戴した。

この尾根を幸運にも迷わず、1572、1536高点と通過してくると1536から真西方向で、薄川の朱沢と本沢の合流点に至る。末端に向けて傾斜がきつくなる尾根筋から、南側の広葉樹の斜面で、堰堤のある本沢の広い河原が見えてくる。この堰堤を目標に降りて行くと、すぐ下が朱沢との合流点。このとき、北側の朱沢側には降りない方が良い。崖になっていて懸垂ロープが要る。

沢の合流点からは右岸(北側)に歩きやすい平坦地がある。やがて林道のようになり、左岸にねる沢(電子国土での表記。このページに張ったYahoo地図では「わるい沢」と表記されている)が入ってくる箇所手前が、山の神様のご神木。コンクリートの橋がねる沢にかかっているので左岸側に渡り、林道がダム湖まで続いている。
[PR]

by yabukogi | 2012-11-25 16:51 | 筑摩山地・美ヶ原
2012年 11月 24日

やあみんな、虫は好きかい?


先日、虫のことを書いて、いや正確には「食虫」習慣のことを書いてひんしゅくを買った。気分を悪くなさった方もおられるかもしれない。すいません。


今日も虫のことを書くよ。虫じゃなくて、蟲かな。だから、この先は、気をつけて。まさか、何か食べながらこんなblogをご覧になってる、ってことは有り得ないと思うけど、一応念のためウインドウを閉じてブラウザのキャッシュを消去して、っていう勧告はしたよ。じゃあ、始めようか。





c0220374_15454927.jpg

先日の【蜂の子】の佃煮、一気喰いしたんだ。酒のアテに。

その夜は全然眠れなくて、明け方まで眼が冴えてしまって身体が火照って、それはそれは辛かった。翌日も微熱っぽくて、信州の冬だというのに暑苦しく感じてしまって、大変だったんだ。だから蜂の子を大量に食べるのは、やめた方が良いかもしれない。残念だけど。




冬が来ると、ある虫たちのことを思い出す。

c0220374_15493458.jpg

これはとても大きな個体だ。マルハナバチ? と錯覚したぐらい。北アの稜線に上がる有名登山口のトイレの壁にへばりついている。背景から紅葉真っ盛りだと解るけど、寒さに震えてるんじゃなくて、彼は死んでるんだ。たくさんの仲間たちと一緒に。餌が良いから、新鮮な餌がたくさんあるから、夏の間は大繁殖。それが秋深まってハイカーが減って寒さが募ると、こうして屍を晒してる。



その繁殖力、そして幼虫の栄養価に着眼した偉大な人が居る。

数年前に中公文庫で読んだ記憶があるんだけれど、西丸震哉さんの著作のどこかに書いてあった。さきの大戦に口惜しくも敗れ去り、我が同胞は飢餓の危機にさらされていた。そのころ、公的な研究機関に所属していた西丸先生、この生き物の幼虫を大量に養殖し、蛋白質に満ちた真っ白なその幼虫を加工して、食用にしようと研究なさっていたそうだ。たしかに養殖はきわめて容易だろう。北ア稜線の山小屋のトイレだって、凄いからね。新鮮な餌さえあれば、蜂みたいなのが毎日湧き出てくる。

とにかく、食用化計画が実現したのか? そんなことも含めて興味ある方は、お調べになってみるといい。




北アの稜線で思い出した虫がいる。続けるけど、いい?
もしご自身の記憶や体験に引っかかる出来事があっても、僕には責任を取ることが出来ないよ。じゃあ、続ける。







c0220374_1645376.jpg

こいつらは、小さな甲虫だ。体長が1センチにも満たない。北アルプス南部では、夏の間、たくさん見かけられる種類だ。名前は知らないけれど。



ただの甲虫?

でもね、数が多いんだ。



c0220374_1663638.jpg

これは、集めたんじゃない。自然に吹き溜まったとか、軒先から落ちてきたとか、そういう結果だ。

こいつらが、理由は知らないのだけれど、天気がいいと山小屋の屋根に、大量に集まってくる。数万、数十万という数だ。山小屋では、屋根の上で布団を干すことがあるのだけれど、小屋番が屋根を歩くとシャリシャリと潰れる音がするぐらいの数だ。そして屋根のトタンの上で、みんな死んでるんだ。ころころと。雨樋が、詰まってしまうほどに。



なぜ彼らは屋根に集まってきて、そこで死んでいくんだろう?

けれど重要なのは、その理由じゃない。結果と言うか、その先の話だ。





稜線の山小屋では、幸運にも近くにポンプアップする沢があるような恵まれた小屋は別として、飲用水を天水に頼っている。雨が降り始めると屋根の雨樋からタンクに水を引いて貯めておくんだ。もちろん、途中には網をセットして、雨樋にあったゴミが混入しないようになっているし、タンクの水には消毒剤が加えられているけれど。


ある種の、ジュースだね。味わい深い。



だから、衛生的にはまったく問題がないけれど、山小屋で天水を買う、ということはこういう場合もある、ということを理解しておいた方が良い。ジュースは嫌だ、という方は、ペットボトルを買うか自分で担ぎ上げる方が安心なのかもしれない。


僕?

ぜんぜん平気。湧かしもせずにごくごく飲んで、ぜんぜん平気。
[PR]

by yabukogi | 2012-11-24 16:25 | 書くまでもないこと
2012年 11月 18日

トランギア、ゴトクその後

自作の「ストームクッカーもどき」のゴトクが、最適化を終えて満足できる感じになったのでご報告。

c0220374_2265726.jpg


以前に、トランギアのアルコールストーブ用の風防+五徳を、ストームクッカーもどきの構造で自作した。その際、ナベをホールドするゴトクが暫定仕様であった。アルミの薄板を適当に曲げてナベを乗せていただけなのだ。アルミ板なので熱による劣化が予想され、数回調理を行うと文字通り崩壊の運命を辿る。そこでこのゴトク部分を、スティール、できればステンレスで置き換えられないかあれこれと試作を重ねる。形状、サイズ、あるいは材質にくわえ加工の難易度も検討、結果的には今回の仕様で最適化が叶った。備忘録程度だが整理しておく。





c0220374_1564552.jpg

最終バージョンはこれ。高さ違いの2種類で、304ステンレスの0.4ミリ厚の細板から作成(左奥)、0.8ミリ厚の鉄製(右手前)。元材料は金属加工スクラップだが、ホムセンにある材料でも可能だろう。



2種類あるのは、理由がある。

風防よりも径が大きいナベを使用する場合と、小さいナベを使用する場合で両バージョンが必要になったのだ。僕の場合、野外調理に使用するナベをチョイスする場合、外径120〜130の大きなナベ(ミニトランギア、エヴァニュのチタン/セラミック2など)と、外径95のMLV550ポットのどちらかになることが多い。大きなナベではラーメン(最近はもっぱらマルちゃんの『正麺 豚骨味』)かうどん。小さなナベでは湯沸かししてFDスープやミニパスタ。となると風防も両バージョンを作成してやれば良いのだが、この手間を惜しんでゴトクで使い分けることにした。


c0220374_274740.jpg

たとえば写真のケトルなど、風防よりも大きな鍋を乗せる場合、ナベ底が高い方を使用する。5ミリから7ミリ程度すき間を空けて、燃焼ガスの出口を作ってやるのだ。出口が広すぎると風の吹き込みに負けてしまい、炎が煽られてしまう。


c0220374_29125.jpg

一方、SUS304のものは、風防上縁のツラから約3ミリ低い位置にナベ底を保持する仕様。MLVの550mlポットに合わせてある。ポットの外径が94ミリ、一方の風防の開口径が110ミリなので、ポット底を下げてやらないと風の影響を強く受けてしまうからだ。


ずっと昔、自動車マフラーF社の設計技術者に聞いた話。エンジンから出てくるエグゾースト(排気ガス)をどんな形状のパイプで取り回しキャタライザ/サイレンサに送るか、出口をどうするか、えらく悩むそうだ。ヌケが良すぎるとパワーもヌケるし、悪くてもピークが取れない、このバランスこそがエンジニアの仕事領域なのだとか。同じことで、アルコールストーブの燃焼も、吸気と排気の微妙なバランスに妙があるのだろう。僕にはとても極められないが、屋外の「風」という定数化できない条件下で湯沸かし、炊飯、ラーメン、うどんと燃焼実験を重ねるしかないのだろう。



ゴトクは3個あれば仕事をしてくれる。が、僕のような粗忽者(まぬけなおっちょこちょい)はこれを紛失して困ることもあるだろう。なので常時4〜5個を携行している。携行と言ってもトランギアのストーブの中が定位置。予備の分は放り込んだままアルコール漬けだ。
c0220374_2222194.jpg






こんな自作遊びを楽しませてくれる空間。

c0220374_230561.jpg

火の取り扱いには、十分ご注意を。僕は消火器を置いている。
[PR]

by yabukogi | 2012-11-18 02:37 | 山の道具のこと
2012年 11月 11日

試みた男たち

わたしたちは、どこから来たのか?

この命題は、おそらくヒトをヒトたらしめている。猫は、こんなことを気にしない。そして多分、上高地の猿たちも。




最初の人類がアフリカで誕生し、進化を続けた。そしてアフリカを出て各地へ少しずつ散らばって行く。北京原人とかジャワ原人とかはそんな仲間なんだろう。


その一群に、いまから数十万年前にアフリカを出てヨーロッパや中東へ向かった集団が居た。ネアンデルタール人と呼ばれる古い人類の集団だ。


僕が世界史の1ページ目かなにかで読んだ記憶では、彼らは現生人類(ホモ・サピエンス)の登場に合わせるかのように、消え去った。つまり、滅んだ。


滅び去ったものへの郷愁というのだろうか。

どのようなドラマがあったのかは知り得ないが、そこにロマンティックな感情を抱いてしまうのは自然なことだろう。中生代の恐竜たち、あるいはニホンオオカミ、ニホンカワウソ。僕は同じように、ネアンデルタール人はその遺伝子を残すこと無く消え去ったという認識を持っていた。2008年8月12日の【ナショナル・ジオグラフィック】掲載の記事を見てみよう(以下、すべてナショジオの記事から)。


ネアンデルタール人と現生人類の交配はなかった
August 12, 2008

雑な要約だが、「ネアンデルタール人のミトコンドリアゲノムの配列解析が完了」し、「少なくとも母系においてはネアンデルタール人と現生人類の混血を示す遺伝子マーカーがない」ことが判明したそうだ。ミトコンドリアのゲノム解析に限ってではあるが、我々の中にネアンダルタール人の遺伝子は受け継がれていなかったのだ。



ところが、数ヶ月後の記事では異なることが書かれている。


ネアンデルタール人のゲノム情報が公開
February 13, 2009

「ネアンデルタール人のドラフトゲノム解析が終了」した結果、「現生人類とネアンデルタール人のゲノムが99.5%同じ」であることが解ったそうだ。「現生人類とネアンデルタール人の系統樹は約45万年前に分岐」してまったく別々に進化の道を辿ったのだが、「両種の間で交雑はなかったか、あってもまれであった」らしい。

おや? 完全否定ではなくなっている。



その1年後。


ネアンデルタール人、現生人類と交配
May 7, 2010

「遺伝子解析により、現生人類(ホモ・サピエンス)とネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)の異種交配を示す確かな証拠が発見された」そうだ。その時期や場所についての考察が示され、「ネアンデルタール人と現生人類は一晩だけの関係だったのかもしれないし、異種間のあいびきを何度も重ねていた可能性もある」としている。



おいおい。やっぱりやってたのか?

近縁種であるから、ヒトとチンパンジーほどは離れていないのだろうが。



さらに1年半後の記事。


ネアンデルタール人は異種交配で絶滅?
November 28, 2011

ゲノムをめぐる研究はさらに進む。成果も上がってくる。すると....

遺伝子混合が何世代にもわたると、個体数が圧倒的に少ないネアンデルタール人のゲノムはしだいに減り、現生人類の中に吸収されていった。」らしい。カモとアヒルを混ぜて飼ってたら、いつかみんなアイガモになりました、という訳か。

「交配が進むのは“当然の成り行き”だ。科学では最もシンプルな説明が求められる」からだそうだ。この、アリゾナ州立大学人類進化・社会変化学部のマイケル・バートン博士のコメントが突き抜けている。

“現生人類の男性がネアンデルタール人の女性に出会ったら、必ず交配を試みたはずだ”






うおおおお。現生人類の男性の方から試みたのだろうか? 近縁種とはいえ、異種だぞ。


 おい異種ベイブ
 こっちへ来いよプッリーズ。



いや待て。6万年前の中近東だ。アフリカから出たばかりの現生人類だ、今のアフリカ系の人々のように、肌が黒くてスタイリッシュだったはずだ。ブルースも、ロックもジャズもレゲエも、アフリカに起源があることを忘れてはいけない。そんな現生人類は、旧人類であるが故に素朴なネアンデルタール娘には、眩しすぎたことだろう。


 ねぇブルァザ。
 背が高くて肌が黒くてあなたすてき。
 愛して。




マイケル・バートン博士が指摘しているように、男性のサイドからのみ、試みられたのだろうか? この点がすこし、引っかかった。








僕の学生時代。

僕はサービス業のバイトで、夜のホールに過ごしていた。ホールというより今のクラブのようで、ダンサブルな音楽が流れ、一段高くなったステージ状の台では若い女性たちが踊っていた。扇子のようなひらひらしたものを手に、ボディにやたらコンシャスな服に身を包んで。髪型は片側に寄せたストレートの長い髪。

そこにも、試みる男たちがたくさん居た。男たちは、やたら高級な外車で店に乗り付け、デザイナーの名前のブランドの概ねモノトーンの服をまとい、踊りに来た女性たちに話しかけていた。ねぇ、どう? その女性から微笑をもって断られると、隣の女性へ。ねぇどう? 


シャイで内気な僕は黙々と仕事をしていた。目の前に座るお客の女性に話しかけられても気の利いた会話を進める勇気などあるはずも無く、からかわれても返す余裕も無く、ましてや... そう、バーの奥で無表情にシェイカーを振り、黙ってバカラのグラスを磨いていたんだ。


たしかTVのOAでも同じだった。その番組に応募した若い男女が自己紹介やフリータイムの間にコミュニケーションを深め、後半では男性が「お願いします!」っと告白するのだ。すると同じ標的(女性)を狙っていた別な男性が「ちょっと待った!」と妨害を始めるという、なんとも原始的で本能的な試みの状況が電波に乗せられ全国に流れていたのだ。

きっと、試みる男たちの時代だったんだ。


最近になって、この記事が掲載された。


ネアンデルタール人の謎、解明進む
October 15, 2012

研究、解明はさらに進む。「ネアンデルタール人は、3万7000年前まで現生人類と異種交配を行っていた」のだという。そして「アジア人と南アメリカ人に、ほかの地域と比べてネアンデルタール人と共通する遺伝子要素が多い」ことが解ったのだと。

やはり、アフリカを出た現生人類の美しくて黒い男たちは、試みていたのだ。うぶなネアンデルタール娘に出会うと、情熱的なささやきとシルクのような愛撫を与え、ふたり夢見ごちて想いを叶えていたのだ。ちくしょう。




あれから、永い年月が過ぎ去った。

6万年前にアフリカを出た現生人類が、中近東でネアンデルタール娘を口説いてから、ではない。六本木や湾岸で、なんとかオムとかを着た男たちがワンレンの女たちに試みてから、だ。


もう試みることも無くなった僕は考えていた。なぜ、試みの痕跡を思い出したのだろう? たとえば、青山墓地近くの駐車場の片隅にたくさん捨てられていたピンク色のゴム。たとえば、夜明けの非常階段に落ちていた黒いレースの下着。たとえば、たとえば....




きっと、こころが濁ってきたのだ。僕には試みは必要ないし、そんな機会も情熱も無い。

毎朝の写経に、ここ数年のあいだ写し書いている『般若心経』だけではなく『大般涅槃経』を加えてみよう。
[PR]

by yabukogi | 2012-11-11 17:18 | 書くまでもないこと
2012年 11月 10日

その男、弁当ライフ。


現場へは、弁当である。
僕はコンビニを利用しないので、毎朝、つくる。
ちびどもの朝飯を整えながら、詰める。



c0220374_15393576.jpg

自家菜園の男爵芋の手製コロッケ、市販のフランクフルト、庭の梅の樹の、自家製梅干し。ミニトランギアで。




c0220374_15405220.jpg

ツナ入り玉子焼き、ウインナ、庭のジャガのフライ、唐揚げは市販の冷凍品。この日もミニトラ。




c0220374_154953100.jpg

ミョウガ、きんぴら、ポークビッツ、スパゲッティ、おでんの鍋から失敬した煮玉子、青唐辛子を叩き込んだ味噌。メスティン。




c0220374_1542397.jpg

塩麹に漬けた天竜清流豚の肩ロースのソテー、目玉焼き、庭のミョウガの梅酢漬け(果てしなく美味なり)。トランギアのメスティンに詰めて。




c0220374_15444772.jpg

プレーンの玉子焼き、フランク、冷凍唐揚げ、シシトウのソテー、メスティンに詰めて。




c0220374_15454167.jpg

食べ残しみたいな天然塩シャケのカマ焼き、フランク、冷凍唐揚げ、ミョウガ、シシトウ、またもやメスティン。




c0220374_15472751.jpg

長谷川平蔵さん好物の海苔入り玉子焼き、シシトウ、自家製ハムもどき、冷凍唐揚げ、フランク、メスティンに。




c0220374_15513918.jpg

大豆(うちのちび)の好物、納豆の入った玉子焼き。これは彼の離乳食として僕が開発した一品なのだが、彼は小学校入学するまで「玉子焼きに納豆はデフォ!」と信じて疑わなかったらしい。何かの機会にプレーンの卵焼きを食し、「なにこれ納豆入ってないし、だめじゃん」と発言。僕の責任である。で、スパゲッティ、青唐辛子の佃煮、大町豚のヒレカツ、ポテト。この日は大豆のための弁当をこしらえる必要があって大豆好みの構成に。エヴァニューのチタン・セラミックコートに。




c0220374_1556251.jpg

青唐辛子とポークビッツ、自家製ハムもどき、庭のミニトマト、煮込みハンバーグ但し牛豚ミックス、エヴァニューに。




c0220374_1557254.jpg

フランク、青唐辛子(大)のソテー、信州牛の甘辛煮、塩麹に漬けた天然秋シャケの炙り焼き、ミニトラの缶で。




c0220374_1559325.jpg

ミョウガ、青唐辛子、庭のミニトマト、冷凍のシュウマイ、焼きたらこ、梅干し。ミニトラで。




c0220374_160337.jpg

ブロッコリ、ミニトマト、自家製梅干し、焼きたらこ、ウインナ。ミニトラに。




c0220374_1618100.jpg

目玉焼き、フランク、梅干し、焼き...た..らこ.....、何この色温度。ブルー強すぎ、不味そう。エヴァニューで。




c0220374_1631078.jpg

ミョウガ、梅干し、フランク、味噌漬けのシャケはらす焼き、煮玉子、焼き.... たらこ...。脱力感たっぷりにメスティンで。





c0220374_15483038.jpg

青唐辛子、きんぴらごぼう、冷凍唐揚げ、玉子焼き、梅干し、ミョウガ、ここ一番。


効いたのか?
[PR]

by yabukogi | 2012-11-10 16:17 | 喰い物のこと
2012年 11月 03日

ワンダフル・バグス

やあ皆んな。

虫は好きかい?
虫が好きでも、食虫する人は少ないよね。

先日、不用意にこんな写真を掲げてしまって、済まなかった。

羽翅、節、殻、つまり、さくり、かりり、昆虫を視覚と味覚、何よりも舌触り、歯ごたえで愉しもうという日本の伝統的食文化だね。そう、僕たちは偉大なる縄文人の末裔なんだ。





これは、イナゴ、つまり成虫を味わうのだけれど、イナゴ以外では、幼虫や蛹(さなぎ)も味わうことがある。たまらないよ。




信州では、蜂の子を愉しむ。
地蜂といって、スズメバチの仲間なんだけれど、巣を掘り出して幼虫から成虫まで、一網打尽。

 食 べ 尽 く す の さ 。

c0220374_15542792.jpg

穫る作業はなかなか骨が折れる。肉片に綿を着けておいて待つ。こいつらが飛んでくる。脚のトゲに綿が絡まる。そのまま飛んで巣に帰るのを追跡して、特殊な煙で眠らせて、おしまい。途中の薮漕ぎは、きついよ。


上の写真は、掘り出した巣からほじくり出して鍋に叩き込んで、佃煮にしたんだ。凄いよ、ローヤルゼリーの風味をまとって、たくさん食べたら、ぜったい眠れない。こっそり書くけど、びんびんさ。

生食をいつか.... という夢もあるけど、こいつらは昆虫や屍肉を漁る奴らだから、体内に飼ってる細菌類がハンパ無い。たぶん一発で病院行きだろう。勇気が要るね。




素材感を大切にしたい場合は、塩味だ。
こうなると、バグじゃなくて「ワーム」かもね。

c0220374_15543616.jpg

うじ●し、とか言ってはいけないよ。蜂の子だ。塩味は「煎る」感じで調理するんだけれど、見た目で「げえぇっ」って言う人が多いね。信州ではそんな罰当たりなことを言わないけれど。





グッナイ。すてきな夢を。
[PR]

by yabukogi | 2012-11-03 16:18 | 喰い物のこと