その男、薮の彼方に消ゆ

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2012年 10月 22日

サーディン、愛してる。

以前に、サバ缶のことを書いた。

正しくは、サバ缶への想い、について。でも誤解しないで。サバだけじゃない。僕は光り物なら何でも好きなんだ。そう、イワシだって。

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オイル漬け、いいね。千円近いやつもあるけど、これは100円ぐらいのをまとめ買いしたんだ。

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ペルー産のイワシ。つまりははるか東太平洋で、つめたいフンボルト海流が育んだ、海の恵みだ。

昨シーズンの冬。凍てつく上高地にて吊り尾根颪(おろし)の寒風に吹かれながら、これを味わったんだ。メンバーはみんな半端じゃないセレブでグルメな人たちだったけれど、こいつにはガツンとやられたらしい。みんなその夜、テントの中でうわごとのように「サーディーン!」って叫んでたから。


僕の食べ方は、こうなんだ。
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缶を開けてストーブの上に載せる。ガスじゃダメだよ、火力が強すぎる。こんな時は、アルコールストーブに限る。本当はさんぽ師匠のカーボンフェルトストーブを使いたいのだけれど、魚臭い油にまみれてしまう。


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ニンニクをスライス。乾燥ニンニクより、ぜったい生のやつがいい。国産でね。


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油がふつふつ騒ぎ出すと、吹きこぼれる。弱火にしよう。そう、だからアルコールストーブなんだ。


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ペッパーソースは、たっぷり。自家製のペッパーソースを仕込んであるんだけれど、この日はジンを飲み過ぎてて、自家製のことを忘れていた。昼間のジンは、効くんだ。


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ぐつぐつ言ってる。たまらないね。このとき、ねこが、僕の背後に座って様子をうかがっていた。



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ウマー。ポッカレモンを数滴垂らすと、香りもいい。

小さな缶詰。ニンニクの欠片。ペッパーソース。これだけあれば、テント場で飲む酒が、いっそう美味くなる。
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by yabukogi | 2012-10-22 00:00 | 喰い物のこと
2012年 10月 21日

あいしてる湖州軒

ある秋の週末のことだ。


松本城公園では、『そば祭り』が開かれていた。国宝の天守閣を囲む公園に、全国各地の新蕎麦や郷土食のブースが出る。市民もこの日を楽しみにしているようで、お城に向かって(登城でもするかのように)そぞろ歩き、また大勢の観光客が駆けつけて賑わうのだ。


僕はたまたま用事があって『そば祭り』会場を訪れ、その瞬間から、居場所を失った。ひとごみとか、賑わいとか、苦手なのだ。なるべく人影の少ない桜の樹の下にけつを据えて、知人がぽんと恵んでくれたワンカップ酒を呷る。

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【山清】という信州の蔵元で、かろやかさ、そしてきりりとした表情に個性が光る地酒をかもしている。安曇野の銘酒【廣田泉】と並んで、僕の人生には欠かせないもの。ふだんは安い紙パックだけどね。


酒のことはともかく、『そば祭り』が行われている公園で居場所も無くワンカップ酒を引っ掛けると、僕は本格的に飲みたくなってしまった。酒を。いや、酒は良いとして、そば祭り会場を離れて、なにか食べたくなった。蕎麦以外のもの、たとえば焼鳥とか寿司とか。


そこで、松本城公園を後にして、市街地にやっていそうな飲み屋を捜し始めたのだ。

お昼だった。平日なら上土の『しづか』が開けている。板長のSさんの前に座ってうなぎの白焼き! だがこの日は日曜日だった。うむむ、どこかやってないかい? 酒を飲みたくて、いや、何か食べたくて、店を探し続け、歩き続けた。うむむ、ちょうどよく飲ませてくれる、いや食べさせてくれる店が無い。

 しかたない。酒屋で立ち飲みか。
 それとも帰って、家で飲むか。

諦めてとぼとぼと帰りかける。やがて、さっきいた松本城の近くで、一軒の中華料理屋が暖簾を掲げてているのを見つけた。『湖州軒』だ。

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何度も通りかかったことがある小道だったが、『湖州軒』には入ったことが無い。うん、餃子もいいね。


2、3の常連さんらしいお客が、カウンターで飯を喰っていた。僕ははずれの方に腰をかけると、こんちはと小声で挨拶し、酒を頼む。お燗つけます? と訊かれ、いえ冷やでと返す。するとコップと徳利が出て来た。

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二代目だろうか、きびきびとしてシャープな動きの兄さん。おやっさんは常連さんと冗談を言い合っていた。


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僕の餃子。二人前だけど、僕のだ。肉汁ジューシーで味わいテイスティ、歯ざわりかりりと好ましくて食感ワンダフルな、僕の餃子だ。君のじゃない。




あいしてる、湖州軒。








店舗外観の写真をご覧になって、深川の『二笑亭』を思い出してニヤリとなさった方とは、きっと僕も友達になれると思う。
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by yabukogi | 2012-10-21 07:09 | ぶらぶらと歩くこと
2012年 10月 14日

豚骨街道を、南へ走れ

僕が住む信州まつもと平を南北に貫くのは、国道19号線。


なぜか、この街道沿いに数件、豚骨屋の暖簾(のれん)が見られる。当地で豚骨といえば南浅間松本駅前、諏訪の【狼煙】に尽きるが、たまには浮気して慣れぬ暖簾をくぐるのも悪くないだろう。


 ■□■

松本市街地から南下を始めてすぐ、南松本エリアの高宮で【二代目丸源 松本店】の看板を見る。

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ひときわ眼を引く看板に誘われてカウンターに座ると、多様なラインナップを展開させた豪華なメニューがあった。ふむ。必ずしも豚骨専門という訳でもないようだ。ファミリーなど「とんこつは、いやぁ」というニーズにも応えているのか、味噌や醤油を使ったものもあるようだ。つまり、僕のようなガチな豚骨原理主義者をターゲットにした店ではない。

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僕は「きゃべとん」をオーダー。ボリューム感を押し出した構成、グルタミン酸の利いたスープ、これが現代的な豚骨の在り方なのだろう。また食べたいか? と問われればイエス。でも厚化粧の女、という印象は否めない。



 ■□■

さらに街道を南下すると、JR篠ノ井線を陸橋で跨ぎ、かつての善光寺街道・村井宿に近づく。街道の西側には【山岡家 松本店】
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「とんこつ」のノボリにさそわれて暖簾をくぐる。どうやらチェーン店のようだ、ラインナップは豊富だ。


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豚骨ラーメンなのに太い、それこそスパゲティーか? という麺。呆れてすすり上げ、替え玉を待つ。そう、スープの味は悪くないのだ。すると替え玉は縮れの無い極細麺、しかし黄色い。まあ、これもチェーン店、ファミリー展開の現実か。



 ■□■

国道19号、村井宿にはもう一軒の豚骨屋がある。地元・安曇野豊科に鼻息の荒い豚骨屋【きまぐれ八兵衛】の姉妹店がオープンしたらしい、という噂を聞いたのはずいぶん前のこと。ようやく訪れる機会ができた。

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松本市村井、【きまはち商店】。週末だけあって、駐車場も混んでいる。待つこと30分。


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おぉぉぉぉぉ! スペシャルなトッピングに隠されてメインキャストたちが目立たないが、正統派の「白い豚骨」のようだ。替え玉が写っているのは、混雑時には初期オーダーで「かため」を頼んでおくのがクセなのだ。


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白く、まっすぐな細麺。この星の小麦がこね伸ばされた、由緒正しき至宝ともいえる麺。スープも十分に乳化、北部九州の街のラーメン屋の換気扇から流れ出る香りと同じ香りが漂っている。これぞラーメン。これぞ豚骨。やや調味料の痕跡が強いが、味わい自体は素朴にまとめ上げられている。そのポテンシャルは、相当のものだ。


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この一杯は、僕の豚骨になった。

また来よう。



 ■□■

街道をさらに南下する。松本市から塩尻市に変わった直後。
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塩尻市広丘吉田の【博多龍神】。替え玉二つまでが無料とは!

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ややおとなしめのあっさり豚骨を背脂で補う戦法か。うん、原理主義的に異端のレッテルを貼るほどではないが、くせがなく(常人にはしっかり豚骨臭い)守備範囲の広いスープが、どんぶりにたたえられている。及第点は楽々クリアしている。うん、また来たい店だ。

【追記:2013/01/05】
一昨日この「博多龍神」前を通過したら、違う店舗に変わっていた。同じくラーメン屋ではあったが、まったく異なるコンセプトの様だったので立ち寄らず、すぐそばの「スシロー」で昼飯にした。残念なことだ。



 ■□■

国道19号線。松本から塩尻に移動するだけで、これだけの豚骨のれんをくぐらなければならない。なんと危険な街道であることか。
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by yabukogi | 2012-10-14 17:37 | 喰い物のこと
2012年 10月 10日

なんて刺激的な夜だろう

やあみんな。元気かい?


僕? 
元気だよ。みなぎってるさ。
今夜は、素敵な素敵な、スローフードの話。
秋深まる前に、信州ならでは、の味わいなんだ。

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え? 
あ。写真を間違えたね。

これはある種の節足動物を佃煮にしたやつ。
今夜の話題とは関係ない。
僕が間違えたってわけだ。ごめんなさい。


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おっといけない。これもミステイクだ。
生筋子をたっぷり買い込んでだし醤油に漬けて、200gぐらいをどばっと熱い飯に載せた話。
しかも裏山の岩尾根のテラス、メスティンで飯を炊いて。それはまた今度。


今宵は唐辛子さ。刺激的なんだ。


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青唐辛子を、何種類か植えたんだ。
それに、近所で手に入れたやつも混ぜて。
こいつらを刻んで、ごま油で炒めてね。

似合わない?

そうかもしれない。
でも僕は、世間で言われるほど甘い男じゃない。
ビターでスパイシーで、刺激的でタフな男なんだ。

僕のくちびるが忘れてしまったもの、三つ。

恋のささやき。
両切りの、ピース。
そして、熱いブルース。

だからこそ、ホットな刺激が恋しくなるんだ。

そう。今夜は、ホットだよ。




刻んでごま油で炒めるんだ。
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泪が、止まらない。
リビングに居る子どもたちが泣き出すぐらいだ。

砂糖と蜂蜜をたっぷり入れよう。甘みが辛さを引き立たせてくれる。

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火から下ろして、味噌と混ぜる。
味噌は、味噌屋でしゃもじで掬ってもらった、生きてる本物の味噌。
だから火を通して焼いてはいけないんだ。

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ふふ。
いい感じ。

こいつを瓶に詰めて、キャップを緩めて密閉せずに数日置いておこう。
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盛るよ。
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うわぁ。
これは大変なものを作ってしまった。
我が国の米の需給バランスを崩しかねない。


あの人の手に渡ったら、まずいことになる。
あの人は盛るからね、凄いね。
ご一家、一世帯でコメの消費の1%ぐらいを担ってる。
次元が違う。

毎食、どんぶりの上に、真っ白なジャンダルムだって。
僕なんか、小槍か孫槍にも届かない。





あぁぁ。食後しばらく、喉も胃も熱い。
なんてホットな夜だろう。

え? 今夜の名盤は何かって?
うん、ドアーズのジャケットに手を伸ばしかけたけどね。


ふふ。こんな夜は、クラプトンさ。
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by yabukogi | 2012-10-10 21:05 | 書くまでもないこと