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2012年 05月 24日

もっと炎を

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近頃、夜の帳(とばり)が降りると庭に出ている。



黙ってウイスキーを舐めながら、炎を見つめる。

数十万年前。
僕たちの祖先がどのように暮らしていたのか、詳しくは知らない。
しかし、洞窟や岩屋に雨露を避け、炎を囲んでいたことだけは間違いないだろう。


炎は、暖を取り食物を暖め、炎を囲むメンバーの顔を照らした。
同時に、飢えた肉食獣を遠ざけ、メンバーが喰われることが無いよう守った。


そう。
ヒトの暮らしには、本来、屋根と炎があれば、それで良かったのだ。
言葉と道具の獲得という定義があるかもしれない。
しかし、ヒトとサルを明確に分つもの、それは屋根と炎だと思う。


黙ってウイスキーを舐めながら、邪魔な物が多すぎる、と思う。
家の中にも、世の中のあれこれも。
それらは自分たちで選択して手に入れた物たちなのに。

炎を眺めながら、ヒトならぬ人の世の複雑さを思う。
屋根と炎と、このふたつさえあれば良い筈なのに。






或る日。
豆たち(ちびども)の昼食にスパゲッティを茹でようとしていた。
すると、「ご、はん。ごぉはんっ」と叫んでいる。
米飯を喰いたがっているのだ。

慌てて米を段取りし、庭の楢の樹の下にトランギアのストーブを据える。
ここへ、ミニトランギアのナベを載せてやる。

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このあと、沖天の太陽の下で酒を飲みたくなって、火を熾す。
ウイスキーの肴には、山の空気か焚き火があれば、何も要らないのかもしれない。




晩飯の支度は、この炎でまかなおう。


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ミニトラで牛肉を煮ている。
味付けは新タマネギを加えて、トマトとブイヨンだ。
メスティンには、米。
アルミ箔のボールは、ジャガイモをくるんだもの。

おっと、これも焼いてしまおう。
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火がいい熾(おき)になってきた。
ケトルに湯を沸かし、ウイスキーを舐め続ける。

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ケトルはいくつかあるが、結局トラのケトルが、一番気に入ってるようだ。
焚き火に載せると、いい具合に煤が付き、愛着も深まる。



おや?

邪魔な道具が云々、とつぶやいたのは、誰だ?
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by yabukogi | 2012-05-24 19:56 | 書くまでもないこと
2012年 05月 20日

中央分水嶺・二ツ山--鉢伏山

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笹の海を蛇行しながら続くトレイル。この稜線は、この道は、雨のひと粒の行方を分ける列島の背骨。




二ツ山(1,826.4)は、美ヶ原南方のピーク・三峰山(1,887.4)と鉢伏山(1,928)を結ぶ中央分水嶺の一角。下諏訪からの道もあるらしいが訪れる人は少なく、静かなトレイルを黙々と歩ける貴重なお山。ここにきて松本市などが【美ヶ原高原ロングトレイル】というかたちでコース整備を行い、観光資源として広く世に知らしめようとしている。となるとこの夏あたりから歩く人も増えそうだし人気も出そうだ。4年前に一度来ているが、静かないまのうちに、ぼけっと足を運んでみようと考えていた。

 ⇒関連記事【美ヶ原トレイル構想】



いつものように地形図を眺めながらハアハアしていると、松本市入山辺奥の扉温泉を起点とした、コンパクトな周回コースが浮かんだ。扉温泉から南南東へ、道のない尾根を歩くと中央分水嶺に出る。ここから二ツ山--鉢伏山と歩き、鉢伏からは扉温泉に下る道(わさび沢コース)がある。


ヤマレコでルートの計画を設定してみると、1,000m強の累積のぼり、距離11.69kmのぐるりっぷが描けた。これはいい!



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2012年5月20日日曜日。6時前に出発して0630扉温泉。久しぶりに足を入れたハンワグのクラックセイフティーで歩き始める。



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鉢伏山へのわさび沢コースは、扉温泉【明神館】の先に看板が出ている。0640、ここからぬるぬると高度を上げるのだが...



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白樺の林があって、コースはここからわさび沢方面に一度下って行く。が、今回の僕の計画は左へ逸れ、この尾根をのぼり上げてゆく。0645、写真の奥に向かってハイクアップ。道はないが薮もなく、傾斜は苦しいが快適な尾根歩き。




1,413高点まではひたすら登る。徐々に傾斜が緩んでくると、白樺と楢の林の中に平坦な場所がいくつもあった。尾根の登りだから迷うことは無いが、鹿道が複雑に入り乱れているので変な方向のトラバース道に誘い込まれないように、ときおりコンパスを見る。

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▲1300m付近、明るい広葉樹の中を行く。



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0725、高度1,350mで、尾根の西側に湧水が見られた。想像通り鹿の足跡が錯綜し、水場兼ヌタ場になっている。個人的にはセイシェルがあれば躊躇はしないだろう。



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尾根は緩やかになり、1,502高点までは人工物も無く、鹿の踏み跡があるだけ。
来てよかった、としみじみ思える。
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▲0815時、1,502高点


境界標識とピンクテープが現れると、美ヶ原高原ロングトレイルに設定されている分水嶺は近い。
0820時、ポンと明瞭な「道」に出て少し驚かされた。

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▲三峰山(東方向)へのトレイル


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▲二ツ山・鉢伏方面へのトレイル


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分水嶺を歩く。左が太平洋へ、右が日本海へ注ぐ。
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二ツ山の登りにさしかかる。
一時間近く、登る。標高差300m程度だが、なまった身体は休息を求めてくる。やがて...



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0910、樹林が疎らになり笹原の海に漕ぎ出す感覚を味わう。



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すぐに二ツ山(1,826.4)の山頂。完全に平坦な草地があって、不心得者がステルス野営をするのではないかと心配になってしまう。風上になる西側に立ち木もあり、適切にガイラインを取れば耐風も問題あるまい。せめてペグを刺す時に植生を痛めないように、天候急変等、万が一のビバークの際にはご留意ありたい。



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二ツ山山頂にはふたつの三角点がある。東側の1,826は現在運用されていないようだ。0913時。


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▲0915時、100mはなれた西側には国土地理院のポールが立てられている。






さあ、ここからだ。笹の海に刻まれたひと筋の道を行く。

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▲鉢伏山まで、この風景を行く。


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▲三峰山が背後にそびえる。中景右のピークが二ツ山。


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▲諏訪湖が見えてきた


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1014時、鉢伏山頂は近い。
標高1,850m付近に雪田の消え残りを見る。ここまで、誰にも会わず、会話も無く。



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1025時、鉢伏山(1,928)山頂。数人のハイカーと挨拶を交わした。南寄りに展望台とベンチがあるので、そこで昼食タイム。


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ラーメンはマルちゃんの「正麺」豚骨。(冷蔵庫にチャーシュー、半熟玉子、青ネギの入ったタッパを忘れたので、やむを得ず、)アマノフーズのFD「豚キムチ」スープの素を加えた。


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穂高方面は霞んでいたが、肉眼では前穂北尾根、北穂東稜のラインなども見えていた。霞沢岳が見えたことは、嬉しい。





1100時、撤収して下山開始。


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1110時、扉温泉方面への分岐。遠い水平のスカイラインは、美ヶ原の高原台地。


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沢沿いの穏やかな道をたどる。



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1217時、「明神館」脇に帰り着く。約6時間(ひるめし含む)のまろやかなハイキングだった。





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▲往路の道無き尾根、【山旅ロガー】でのトラック(50m測定モード)
新緑の樹林帯の尾根でもかなり正確に拾っている。



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▲下山時のわさび沢コース(一般道)でのログ(地形図は拡大させている)
沢の中を下っているとき、衛星をロストしたようだ。植生にヒノキが多かったのだが、これも関係しているかもしれない。

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【美ヶ原高原ロングトレイル】は整備が始まったばかり。すでに笹の刈り払い、道標の設置などが行われていた。しかし歩く人が少ないと、また笹も茂ってくるだろう。願わくば初夏、または秋の頃、どうかこのトレイルを歩く人が増えてくれないだろうか。空気が澄んでいれば槍穂高のギザギザも、南アルプス、八ヶ岳の秀峰も眺め回せる良いコースだと思う。浅間温泉、美ヶ原温泉、そして扉温泉、崖の湯温泉と組み合わせて、信州のいで湯と高原トレイルを楽しんでいただけたら、おいらも嬉しっす。
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by yabukogi | 2012-05-20 16:23 | 筑摩山地・美ヶ原
2012年 05月 14日

古い山城にて

いろいろと考えを整理したくて、散歩に出かけた。

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【平瀬城】という、山城跡がある。
僕は歴史にも(何もかもだが)明るくないので、詳しくは知らない。むかし戦国の頃、甲斐の武田晴信は、越後の上杉勢に備えるべく、信濃の国の北方面へ進出を企てていた。そこで安曇野界隈の諸勢力を叩いたり懐柔したり、つまりは戦や駆け引きを繰り返した。そんな動乱の歴史の一幕に、小笠原氏の臣である「平瀬氏」が立てこもり滅んだのが、ここ平瀬城ということらしい。


そんな461年もむかしの出来事にこころを遊ばせるゆとりも無く、僕は裏山の一角からこの山城跡に向かった。

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地形図右に描かれている車道から、破線表示のあたりを歩いて「沢の湧き出し」を通り、途中から尾根に乗って「712.7三角点」で眺望を楽しみ、北側の「露岩のピーク」を確認してから尾根伝いに戻っている。どんな様子だったのだろう。



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地形図では破線の小道があることになっているが、ここは完全に獣道と化しており、鹿や猪たちのトレースが交錯しているのみ、道形すら無い。


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沢を横切るところでは湧水が見られ、ふと、あの山城まではこの水を引いたのだろうか? と思いがよぎる。戦国の頃だからどの程度の土木技術があったのか、僕には知る由もないが、たとえば太い竹をたくさん連結して樋にすれば... それとも雑兵小物たちが桶を担いで何度も往復したのだろうか。



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天井は、さまざまな緑。新芽と若葉で、視界はあまり利かない。



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尾根に乗ってから、こんどはこの尾根を下る。道は無い。山城は、西に向かって長くのびた尾根の、先端のピークに築かれている。



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目の前に、竹やぶが現れた。不思議なことである。この辺の広葉樹林の中で、いきなり篠竹の固まりを見ることは無い。ご近所のかからさんと言うお方が、ある古城跡にお出かけになった時の記述を思い出した。


【引用はじめ】

本堂の左側へ、竹林に入って行く細道がある。道標はないがここが入り口だろう。
細竹の林は、矢竹として植えられていた名残かもしれない

【引用おわり】


なるほど。戦の折、ことに篭城ともなれば「矢尽き...」ということのないように城の一角に矢竹の薮を生やしておくことは、じつに理に適っている。以前に松本城の関係者から聞いた話では、松本ご城下のさむらい屋敷でも矢竹を植えさせたうんぬん。



竹やぶはかなり密生していたが、これをくぐり抜ける。そのまま尾根を歩いてゆくと、塹壕のような切り通し状のものがいくつも現れた。ちょうど尾根そのものを断ち切るように、いくつも。

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これは他の山城跡でも見たことがある。3キロほど離れた【伊深城】や【稲倉城】でも。尾根伝いに背後から攻め込まれては敵わんと、空堀を切ってあるのだろう。この先、この空堀は稜線に突き上げるルンゼのように「主郭」と思われる尾根の先端台地手前まで数カ所を見た。




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主郭に出るところは、ちょっとした土の壁になっている。ここを、灌木を引っ掴んで登ると、城跡の台地だった。



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平坦面には説明板。

小笠原長時の重臣で天文二十年十月二十四日 武田晴信に徹底抗戦し落城 城将平瀬八郎左衛門以下二百四名 討死する

あっさりと書かれているが、僕にはじんときた。


若い頃に読んだ、池波正太郎さんの『真田太平記』。
その書き出しは信州高遠の高遠城のいくさの場面。織田勢に攻め滅ぼされるのが武田勢(仁科五郎盛信、信玄晴信の息子)と、ここ平瀬城とは立場が逆になるけれど、山城を守ってやがては攻め込まれ、そこに屍の山を築いたことには変わりない。勝敗はいくさの常、敗れれば皆で三途の川のほとりに立つだけ。そう解っていても、或る日ここで二百と四つの断末魔が... と思えば、傍らにある石碑に彫られた【鎮魂】のふた文字が重たい。


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その先に広がる草地には、三角点。


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今日は常念も稜線の山々もまぶしい。後立山の北には、白馬三山も見えていた。



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湯を沸かし、珈琲を、インスタントだけれど淹れて味わう。

そうだ。僕は今日、考え事をしたかったのだ。
下手の考え休むに似たり、だったか、結局何も答えは出てこない。
それでもお山を眺めて、何度もため息をついて、結局は出てこない答えを待つのにも飽きて、帰ることにした。


この山城が築かれた尾根のひとつ北にも、かつて砦があったそうだ。何かあるかな、と薮をくぐって訪れてみたが、露岩のあるピークで鹿の角をひとつ、拾っただけだった。
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by yabukogi | 2012-05-14 16:43 | ぶらぶらと歩くこと
2012年 05月 06日

草餅男、慟哭の日曜日


山での行動食について、ささやかな考察と実践を試みた。


行動中に口に放り込むものを、甘納豆と炒り豆と定め、長く愛用していたのだが、これだとボトルを取り出してぐびぐび流し込んでやる必要もあり、もっと滑らかなものを求めていた。そんなおり雪の上で【草餅】を味わう機会があり、なんじゃこれは、凍ってもおらぬしドリンクも不要、おまけに腹持ちよろしい、歩きながらもぐもぐできて残ったパッケージは嵩張らない。まさしくザ・キング・オブ行動食と位置づけたのだった。

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考察はさておき、実践である。

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ヨモギの若い芽をたっぷり摘んでくる。土手や田畑の角っこなど、わんこの放尿ポイントには注意したい。


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洗って洗って洗いまくって、ゴミや枯れ葉を取り除く。根っこや軸も取り去る。これを沸騰した湯に放り込み、60秒茹でる。


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茹でたあとは流水にさらして、残ったゴミを取る。手のひらに取ってしぼるしぼる、絞り上げる。


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牛刀で叩いて繊維を断ち切り、当たり鉢にあける。ごりごりごりごり。


粉の準備だ。

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米の粉ともち粉を4対1で混ぜる。こうすると、時間が経過しても固くならない。そこに熱湯を少しずつ注ぎ、混ぜる。よく言う「耳たぶの固さ」だって。


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こねた生地(まだ生である)を鶏卵大に丸め、薄くのばす。1センチ厚ぐらいか。


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こいつらを蒸し器に入れて、15分ぐらい、蒸し上げる。あまり重ならないよう、十分に熱が回るように。この時は蒸し器が塞がっていたので、ナベにざるを置いた。


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ガラスのボウルかどんぶりへ。よくつぶしたヨモギを加えて、へらなどで混ぜる。好みで砂糖と少量の塩を加えても良い。


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あら熱が取れたら...


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丸めて平たくして、小豆というかあんこを包む。今回、大豆(そい8歳)が小豆を担当、小豆(あん6歳)がきな粉(大豆)を担当。何がなんだか、わからん。


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翌朝になっても柔らかく、美味しく頂けました。




え? 連休のお山? 

もし僕が雪焼けしてるようなら、あるいは庭にテントを干しているようなら、涙を流しながら草餅を作ったりは、いたしません。
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by yabukogi | 2012-05-06 09:04 | 喰い物のこと
2012年 05月 04日

牛筋男、悶絶の休日

世の中が連休に沸き立っている。
しかしその男の手帳に、連休の二文字は無い。
小間切れの休みだけが、いくつか通り過ぎてゆく。


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牛すじ肉を買ってきた。
もちろん国産・信州牛である。
炊くのだ。


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たっぷりの湯を沸かす。ぐらぐらと。
そこへ牛すじ肉を、ぼんっと放り込む。
下茹でである。
こうして灰汁と血の臭みを抜く。

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再沸騰したら、それでいい。
流水でさらし、素材を洗う。



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ひと口に切る。
繊維を断ち切るように、それでいてこりこりした食感も少しは残したい。


最初は強火で炊く。
ふたはしない。
すじ肉の中に残された灰汁を、出し切る。

灰汁が出なくなるまで、小一時間。
付きっきりで灰汁を取り、湯を足す。


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灰汁が出なくなってから、砂糖と酒を加える。
酒は料理酒ではなくて、日本酒。
嫁とばあ様には喰わせる気がない、だから日本酒。


このあと、火を止めて、冷ましてから味噌を溶く。
できることならその後、数時間を放置する。

どこまで真実は知らぬが、味噌に潜む菌が
肉の繊維の奥まで入り込む。
そこでいくつかの作用をやらかす。
その時に蛋白質の組成が分解されて、すじ肉が柔らかくなる。

そして、濃厚なこくと旨味を、まとう。



ふたを開けると、白く脂が浮かんでいる。
冷ましたために固まったのだ。
この塊をいくつか捨てて、醤油、追加の味噌、砂糖などを。

ここはお好みで、甘くしっかり照りのある味わいにするか、
辛めでべたつかない男の肴に仕上げるか... で変わるだろう。
大切なことは、醤油なり味噌なり、
塩分のきつい調味料を一度に加えぬことだ。
せっかく柔らかくなりかかったすじ肉が、固くなってしまう。

生姜を入れる、
いや、盛りつけ後に行者大蒜(ギョウジャニンニク)のおひたしを添える、
あるいは牛蒡やこんにゃくを一緒に炊く、など、それぞれである。
僕は素直に牛筋の味わいを求めた。
このとき、オイスターソースの隠し味を、欠かせない。


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牛蒡と炊いても良かったなあ...そうひとりごちたが
庭に張ったエスパースの中、
あぐらをかいて酒を酌み、肴にしよう。
(注釈:4月末からエスパースを張って、寝ている。
 布団を与えられていないので普段からリッジレストにシュラフなのだ、
 寝床が板の間から芝生に変わっただけなんだ)




しかし、あるじが出てきて、しゃあぁ!と言う。
俺の縄張りだ、出て行け、ということか。
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その男、居場所が無い。
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by yabukogi | 2012-05-04 08:39 | 喰い物のこと