その男、薮の彼方に消ゆ

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2011年 10月 29日

その男、入浴中。

ある日。


北アルプスの山懐。
某温泉某湯、秋深く、正午。


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写真奥の崖から、こんこんと湯が湧き出している。
湧出口から浴槽まで、落差にしてほんの数メートル。
加水なし、もちろん循環なんて無し。



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うぅぅ、たまらんっ!










註:アホ面を一部隠しました。また回転しました。アホは治ってません。
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by yabukogi | 2011-10-29 15:35 | 湯けむりのこと
2011年 10月 25日

森に移ろう時の狭間に

幾十日という時間が、この森に流れた。


僕が最初にここを訪れたのは、蝉時雨が降り注ぐ、真夏の或る日。沸き立つような入道雲がもうすぐ大粒の雨を落としてくるだろうと案じながら、僕はこの森のはずれに立った。その日、ひとり表銀座の稜線からてくてく歩き通して稜線から降りてきた。まだ時間があるからと何気なくこの森に足を踏み入れ、森の奥にあるひと抱えもある楢(なら)の巨樹に魅入っていた。見上げた梢の先に、真っ青な真夏の空。おや、夕立雲は去ったらしい。



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(これは再訪した折りのこと)


この森のことが気になって、九月に入って再び訪れる。そしてしばらく、僕はこの森で過ごした。いや、正確には、今もこの森に居る。



楢や楓(かえで)にわずかに針葉樹が混じるこの森の一角に、ふしぎな窓がある。

見上げると、ある一カ所だけ梢が途切れ、空が見えているのだ。かつてこの場所を占める一本の樹があったのだろうか、そしてその樹が倒れあるいは伐られ、森の天井に穴が開いたのだろうか。


僕はこの穴を「窓」と呼んだ。



森の窓。9月29日。まだみどり濃く、葉もみずみずしい。

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一本の樹が倒れたというのは、間違いだった。林床のどこにも、切り株も倒木も無かったのだ。




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10月に入ると、窓辺も急に色づきはじめた。そういえば肌寒いような日が続き、すすきの穂が広がりはじめていた。


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森は、いつの間にか、秋の装いへと姿を変えていた。夏の間中、秋の初めにも聞こえていた甲高い鳥の声は聞こえず、猿たちの騒ぐ気配と、栗鼠たちが走り回るかさかさという音だけが、森を渡ってくる。



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この前日、熊の気配を感じた。地面に残された足跡とふんが、彼らが旺盛な食欲で秋の豊穣を拾い廻っていることを知らせてくれる。




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輝くように晴れた朝。いつの間にか10月も下旬に入っていた。楢の梢は彩度を下げて、枯れかけた葉をかろうじて枝先に残している。幾日か続けて、霜を見た。






ある夜、激しい雨と強い風が森を揺さぶり山を鳴らし、沢を轟かせた。


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空の色彩は、秋のものではなくなっていた。うら寂しいばかりに枯れかけた葉を残した梢は、冬の訪れにおののいているように見えた。



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まもなく11月を迎える。森から栗鼠たちの気配が消えた。しかし熊たちは盛んに歩き回り、どんぐりを探し求め、きのこに齧りつく。

幾十日という時間だけが流れ去った。森の秋はいつの間にか終わりを告げ、静かな、長くきびしい冬の始まりを迎えていたのだ。


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僕はもうしばらく、この森が雪に覆われ、北ア・常念山脈の山々が閉ざされる日まで、眺めていよう。
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by yabukogi | 2011-10-25 18:13 | 北アルプス・常念山脈
2011年 10月 25日

仰向けの朝、肉球は


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by yabukogi | 2011-10-25 07:27 | ねこのこと
2011年 10月 11日

悪夢の果てに

遅くまで朝寝に微睡(まどろ)んでいると、夢の中にずしりと来た。


胸が突然に締め付けられ、重苦しい気配が部屋に満ち充ちる。壁が、天井が、殺気を孕んで膨れあがる。

悪霊か、はじめはそう思った。

数百年を未だ浮かばれぬ落武者か?
越後の名も無き岩壁で墜死した先輩のKか?
雪の飯豊から十数年を経ていまなお還らぬ岳友のMか?

僕の夢である、よもや乙女のふるえる魂ではあるまい…



アジアの怪しげな草の実を喫んだ訳でもない。自家製の酒を飲んだりもしない。ましてやしばらく家を離れていたから、家人に一服盛られたとも思えない。やはり、祟られて見舞われる金縛りというやつに違いあるまい。






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ぬこの仕業か!


ひさしぶりの帰宅であった。長らく家を空けて仕事に明け暮れていたのだ。ふと思い立って家に帰り、惰眠をむさぼろうとしたところに不意討ちであった。ぬこの野郎は僕の朝寝を察知して、そっと気配を消してやって来たのだ。僕が夢の世界に旅立ち、胸郭が規則正しく上下する頃を見計らって、来たのだ。


可愛い奴め。
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by yabukogi | 2011-10-11 15:46 | ねこのこと