その男、薮の彼方に消ゆ

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2011年 09月 25日

地熱で蒸しあげた鶏卵の美味さよ

温泉場で風呂番をして居る青年が、僕を呼ぶ。

「いまさん、これ喰ってみろや」


手にすると熱い玉子。温泉卵であろう、そう期待して殻を割ると、予想だにしない煮染め色があらわれる。その魅惑的なまでの照りの誘惑に、僕はあわててかぶりつく。



こ、これは!

口いっぱいに広がるのは、地熱の持つちからそのままをまとった香ばしさ。



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蒸気噴く熱砂に二昼夜を眠った鶏卵は、言葉にあらわせぬぐらい、美味い。






秋空を見上げ、くたびれた旅がらすにも、ふと里ごころ。
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by yabukogi | 2011-09-25 12:30 | 喰い物のこと
2011年 09月 11日

HANWAG SUPER FRICTION GTX

冬用の山靴を新調した。


ここ数年愛用していた、ハンワグ社の【クラックセーフティGTX】というブーツは、それはそれは素晴らしい山靴で、どの程度素晴らしい山靴かというと、以前に「ハンワグ社がこのモデルを作らなくなったら、僕は山へ行かない」とか、「買い替えるならクラックセーフティ以外の選択肢は、無い」と公言してきたぐらいだ。


そんな素晴らしき山靴のクラックセーフティGTXとの出会いは、地元の山道具屋【ブンリン】の大将が僕の山行スタイル等から提案してくれたもので、はじめて足を入れた瞬間、オーダーメイドかと思ったほど。爪先も踵もくるぶしも、しなやかに包んで当たる箇所も無い。以降おもに残雪期から初冬の北ア稜線を中心に履き込み、靴擦れや肉刺(まめ)といったトラブル知らず。文字通り、僕にとって最高の山靴なのである。


もっとも、山靴というものは「足形」が要。そのメーカー、モデルが採用している足形が合っているか否かで運命が別れ、天国にも地獄にもなる。僕の場合、ハンワグ社の足形が骨の形状と合致していたのだろう。それでも一度、僕は足底筋膜炎を発症させたことがある。どうやら土踏まずのアーチを支える高さが足りなかったようで、これはインソールで対応している。症状はスポーツドクターの指導を受け、ストレッチとトレーニングで改善。インソールの方は間に合わせで工夫を施してみたらジャストな結果が出て、これは本稿末尾に記す。


僕が愛用してきたクラックセーフティというモデル、かの有名な【町内の山】の池上先生が「劔岳スペシャル」と命名なさったように、斜度のある雪渓など雪上歩行、岩稜踏破に威力を発揮する。どんな威力かというと履きやすさ歩きやすさは勿論、軽さなのだ。僕の実測値で片方760gである。加えて小さなホールドでも無造作に足を置いていける、トゥ側のグリップというか信頼感が抜群なのだ。もっとも高所恐怖症で壁からはとっくに遠ざかってる僕が言うのだから、眉に唾して読んでいただくべきか....。さらに書くとガチに硬いシャンクが入っているにもかかわらず、ソール底面形状が緩くカーブしており前後の重心移動がラク、表銀座のような一般道歩きもさほど苦にならない。それでいてフラットフッティングで雪面をプレスする際にも、傾斜に前歯を蹴り込む時でも一発で決まる、絶妙なカーブなのだ。


冬靴の前置きが長々と【クラックセーフティGTX】のことで申し訳ないが、要するにハンワグの足形が僕にジャストフィットで、そのものづくりの哲学とか姿勢が好ましくて、冬靴もHANWAGという選択はしごく自然な流れだったのだ。


冬靴と言っても、正月に北穂の小屋をベースに、なんて度胸も装備も熱い血潮も無い僕のことだ。八ヶ岳辺りかせいぜい西穂のあたりまで行ければラッキー、厳冬期モデルは必要ない。そこでクラックセーフティにインサレーションを仕込んだかっこうの【SUPER FRICTION GTX(スーパーフリクションGTX】をチョイス。このモデルよりワンランク上にゴアテックスデュラサーモ内蔵の【FRICTION GTX】があるが、僕にはオーバースペックと思えたのだ。もうひとつ、北陸では『北鎌のスネーク』とか『槍のカマイタチ』の異名を取るがこのブーツを履いていて、前から欲しかったのだ。そんなこんなで、またもやブンリンの大将のお手を煩わせ、僕の新ブーツが届いたというわけである。


スペックとかインプレッションについてあれこれ書こうとしていたが、ドイツ本国のハンワグ社サイトのAlpin/Rockカテゴリ、あるいは総代理店のタカダ貿易サイトを眺めてみると、EclipseやFrictionをはじめ、ニューモデルではコーデュラナイロン素材の質感も全体のデザインも一新されている。すると、これは想像だがクラックセーフティがタカダのサイトからも「カタログ落ち」しているように、今後のラインナップは新素材・新デザインに集約されていくのだろう。そう考えれば今回スーパーフリクションを入手できたのは、機会としては最後に近いのかも知れない。この仮定だとインプレにはあまり意味が無いようなので、差し控えておこう。




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山から帰って洗って干されたクラックセーフティと。




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ハイトがこのように。くるぶしから足首をホールドしてくる感覚が、たまらん!




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ソールパターンはVibramのドロミテを採用、上のクラックセーフティより泥や雪のヌケが良さそうだ。




インソールについて。
僕はSOLBOの【DSIS ソルボウォーキング】というインソールを入れている。廉価な割になかなかの衝撃吸収性能、これに2種類の下駄を履かせている。

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青いやつはホムセンで売っていたゲルっぽい素材のインソールをカットしたもの、透明なのはダイソーにあったカカト用のもの。


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数ミリの厚みで土踏まずを下支えしてくれるだけで疲れ具合が格段に違う。いつもよろよろのふらふらなのはこいつらのお陰、なかったらとっくに動かなくなってることだろう。
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by yabukogi | 2011-09-11 14:33 | 山の道具のこと
2011年 09月 08日

秋の朝、sanpo stoveで。

腕のアラームが鳴る。そろそろ鳴ると意識のどこかで待機していたのだろう、すっとまぶたが開く。息子の大豆8歳が、半開きになった僕のシュラフに足を突っ込んできている。9月のひんやりとした朝、こいつも寒かったようだ。


僕はシュラフから抜け出しながら、まだ小さな大豆をシュラフでくるんでやる。大豆の足のぬくもりに感じる、秋の訪れ。僕は家に居場所が無く、そのためか布団を与えられていない。山でも使っている擦り切れたリッジレストとくたびれたシュラフ、そして大豆のぬくもりだけが、僕を癒してくれるのだ。


飯を炊き、おかずを整え、大豆たちに喰わせる。学校に行くせがれたちを見送って台所を片付ける。つづけて洗濯物を干し終えた僕は、近所の浅間温泉に向う。



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▲お気に入りのストーブに錆を浮かせてしまった...
道具というものは使ってナンボ
ロクに手入れもせず仕舞い込んだままにしていたバチが当たったようだ


温泉街の一角に源泉を汲める場所があって、微かに硫黄臭の混じるお湯を頂いてくるのだ。このお湯を携え、大きな欅(けやき)のある公園にケツを据え、珈琲を楽しもう。

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▲浅間、湯のまち、山手の飲泉所
この界隈の佇まいが、好きだ



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▲貴重な源泉を分けていただく



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▲浅間温泉ホットプラザ

お湯を汲んだら、ひとっ風呂浴びたくなって来た。こんな時のためにタオルと替えの下着は、もちろん常備である。サウナと露天風呂にほぐれ、弛み、溶ける。ふうふう汗が乾くのを待ちながら、さて珈琲である。




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▲欅の樹の下に、ケツを据える


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本日の珈琲セット。
MLVの550チタンポットに、野外で珈琲を楽しむための一式が押し込められている(リンク先は現行モデル、僕のは旧モデル)。ストーブは、我らがストーブマイスターsanpo師匠の【Sanpo CF Stove】。
この他に、源泉の入ったナルゲン、アルコール燃料の容器、珈琲粉の容器がある。


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朽ちかけた切り株の上にオープンした、ささやかなカフェ。これがポットから出てくるのだ(シリコンマット以外)。写っているスタンド(ゴトク)は【Sanpo CF Stove】のものではなく、僕の苦肉のオリジナル。ひとつ上の写真のように、ポットの中の隙間にマグや珈琲ドリッパーと共に押し込むため、こうした奇妙な形状をしている。



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屋外、湯が湧くまでのひとときというものは、何故こんなにも豊かでこころたのしい時間なのだろう。生産的ではないけれど、無駄ではない、深い時間。ポットの蓋がことりと鳴るまで、ぼうと空を眺めているだけなのに。




その後、いつもお世話になっている山道具屋の【ブンリン】へ。
以前に頼んでおいた冬靴を買い求めに行く。この冬靴のことは、今度書こう。




帰宅後、縁側でストーブにCRC5-56を吹き付け、錆を落としたことは言うまでもない。ぴかぴかである。
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by yabukogi | 2011-09-08 21:11 | ぶらぶらと歩くこと