その男、薮の彼方に消ゆ

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2010年 11月 29日

布引温泉・御牧乃湯

千曲川のほとりの、鄙びた湯に浸かる。

同じ信濃の国でありながら、僕の住む松本安曇野あたりの風景と、東信の東御小諸あたりではまったく印象が変わる。この辺は浅間山がぽんぽん吹き出した軽石やら溶岩やらが積もったり流れたりしてできた地形だそうで、千曲川に面して大きな岩壁があったり崖ができていたり、真っ平らな松本盆地の地形に慣れ親しんだ身には不思議でたまらない。そんな川沿いの崖地形に隠れるように、【布引温泉・御牧乃湯】が湧いている。



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ある日、この湯に浸かりたくてわざわざ訪れた。【道の駅 みまき】に隣接している。御牧という名が付いていたり牧ケ原という地名がある。牧はお馬さんを育てる牧場に他ならない。都から奥州まで伸びる古代の街道【北国街道】に面した信州各地では、交通機関としてのお馬さんを飼育していたのだそうだ。北国街道では宿場ごとに十頭の馬を置け、という規定があって、浅間山麓、千曲川べりでも古代からお馬さんが草を食む光景が見られたのだろう。で、このお馬さんをとても大切にし、役目を終えたら棄てずにさばいて味わったというのが、馬刺や桜鍋の起源となる。北アのお山の帰り、湯けむりと生ビアと馬刺を楽しまれる方は多いだろうが、古代の制度には感謝した方がよろしかろうと思う。

>>さて、湯じゃ
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by yabukogi | 2010-11-29 17:01 | 湯けむりのこと
2010年 11月 24日

宿酔のロープウエイ

少し空気がきれいなところで宴会でもやろうと、北八ヶ岳に出かけた。しとしと雨の降る夜の松本を後にして、じゃぶじゃぶと降り続ける蓼科の高原に向い、顔が角張るぐらい角瓶を愉しんだ夜。そして降り積もった新雪をぱふぱふ鳴らして少しだけ歩いた至福の時間。2010年11月22日から翌23日のことだ。



21時、家事を終えて家を出る。空からは、雨。ジャケットのフードを被り、松本駅までの3キロを歩く。22時過ぎの中央線上り電車は、飲んで帰るサラリーマン、OLさんばかり。やがて茅野駅に下車。仲間が迎えに来るまで2時間はある。



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>> 雪景色
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by yabukogi | 2010-11-24 14:18 | その他の山域
2010年 11月 21日

裏山のふるい峠ふたつ

ぐるりと山並みに囲まれた信州では、人も物資も風聞も、すべて峠を越えて来た。海から来る塩も隣村から来る嫁御寮も、どこかしら峠を越えて。そんな街道の峠、村境の峠を合わせると信州だけで数百を数えるという。


僕の住むあたりの裏の丘に、こんな古い峠がいくつか残されていて、わずかな時間にふらりと歩ける。か細い道は落葉か薮に埋もれて歩く人影もない。これがかつての峠道か。都へと続く幹線道路か。峠に立てば風が泣いている。無常感に抱きすくめられ、嗚咽したいほどの寂寥感。歩き馴れたいつもの散歩道ながら、そんな風景のなかに過ごしてみた。



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こころ弾む散歩道という風情でもなく、棄てられ忘れられ朽ちかけている、ひとのいとなみそのものが埋蔵されているような道と峠なのである。仕事が区切れて半日の癒しを求めた僕が向ったのは、愛すべき羽毛布団でもなければ湧き出る露天風呂でもなく、こんな裏山の一角だった。



峠に向うあたりは、ごく普通の田園である。畑には野沢菜や白菜がゆたかに育ち、農家の軒先には干し柿の色が鮮やかである。しかし、小道が松林、落葉松林にかかると、風景はとつぜん寂しさに包まれる。さらに一歩を進めていいのかためらわれるほどの静けさ、わびしさ。百舌鳥のひと啼きか、寒烏のけたたましい叫びが似合う。

>> 寂しい続き
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by yabukogi | 2010-11-21 09:39 | 筑摩山地・美ヶ原
2010年 11月 15日

朝飯は、どんぶりだ。

庭の楢の木が、葉を落とすのだ。
ひらひらと風に舞う落葉が、ささやくように歌うのだ。

 秋の日のヰ゛オロンのためいきの...

朝から、やるせない夢心地だけが僕を包む。
なぜかぼんやりしてしまって、そのくせ、食べる。食べる。
山にも出かけず食べる。



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或る静かな朝のことだ。ラーメンを茹でた。え? 朝からラーメン? そう思われる方も多いだろうけど、僕は朝ご飯といえばラーメンだ。本音は炊きたてのご飯だけど、次はラーメンだ。マルタイの棒ラーメン。僕だけじゃない、僕の周りの連中にもたくさん居る。山のテン場で、まだ暗いうちに地面にケツを据えて、ずるずるずるっとマルタイをすするんだ。本当は前の晩の残り飯を雑炊にすることが多いのだけど、時間がある時は余裕かましてラーメンだ。ひと袋二人前がデフォルトだ。で、この朝は下界の朝だったから、具が入る。肉の塊みたいなやつは、ニッスイの「Newバーガー」という俵型のフィッシュソーセージで、焼いて美味しい。コーンは缶詰のもの。ニンニクチップは八ヶ岳産ホワイト6片種の揚げたて。もちろん揚げたオイルはスープにたらりと落としてある。右下に高菜漬けが見えるけど、これがあるとラーメンがぐんと味わい深くものに変わると、前にも書いたことがある。ネギがないのは、青ネギを切らしていたから。キクラゲがないのは忘れていたから。紅ショウガは、ふだん家に置いてない。

>> ラーメンだけじゃない。
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by yabukogi | 2010-11-15 14:35 | 喰い物のこと
2010年 11月 13日

秋深き窓辺に

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うるせぇずらだれだぁカシャカシャならすのはまぁず。
(まことに騒々しいことである、誰であろうカシャカシャと不快な音を鳴らすのは。いったい、まったく...)

>> んにゃっ!
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by yabukogi | 2010-11-13 13:24 | ねこのこと
2010年 11月 12日

美ヶ原トレイル計画、近況

以前に、美ヶ原トレイルを整備して観光資源に役立てましょう、という当地での取り組みをご紹介した。と書けば体裁はよろしいのだが、ローカル紙に記事が載ったついでに、僕が歩いた8割ぐらいの区間のことを少し思い出して書いただけだ。

2010年01月19日 【美ヶ原トレイル構想

その後、徐々にトレイル構想のルート取りや整備・利用開始の見通しなどが明らかになってきたので、備忘録的にここに書いておく。僕は走れる体力もないし走らせてくれない内臓脂肪はあるしで走れないが、走る方はイメージトレーニングなさるがよろしかろう。僕に同じく(内臓脂肪はともかくとして)走らない方は、おだやかな陽だまりハイクなのか高原のそよ風ハイクなのかはともかく、お出かけになる日を思い描かれたらよろしかろう。そんな折り、ぜひとも当地の温泉地になどお立ち寄りいただき、できれば湯は立寄ではなくお宿をお求めになって逗留していただき、のんびりと信州の城下町を味わっていただきたいものである。その際に「美味い店は?」というお尋ねがあれば、僕の友人が経営する店に限ってご案内もやぶさかではないし、ご馳走いただけるならその場に臨むことも拒むものではない。


さておき。

ルート取りはまだ詳細が確定していないようなのだが、第一報でお知らせしたコースと明らかに変わったと思われる区間があるので、ご案内しておく。

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【2010年9月1日 広報まつもと】より

>> 読むかい?
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by yabukogi | 2010-11-12 12:21 | 筑摩山地・美ヶ原
2010年 11月 10日

その山靴に、肉を盛れ。

僕の山靴、ハンワグ【クラックセーフティGTX】がだいぶくたびれてきた。


購入してから2年半、僕はそんなにがっつり歩かないけれど、いや歩けないけれど、ソールの減りが著しい。ポリウレタンだろうか、ミッドソールも少し削れはじめており、来年あたりパカッと逝きそうである。山でパカッとなるのも激しくアレだから、買い替えか少なくともソールの張り替えに出さなくてはと心づもりしていた。なお、僕が買い替える時にクラックセーフティ以外の選択肢はない。



しかしこの靴では冬の稜線には厳しい。まあ僕がそんなところに出かけることもなさそうだが、今シーズン、正月の西穂とか赤岳ぐらいには出かけたい。そんなこともあって、パカパカ問題が浮上する以前に【シリウスGTX】というモデルに目を付けているのだ。

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このシリウス、眺めてくれたまえ! こんなにも萌えるデザインのブーツが、この星の上にふたつとあろうか。ほしい。いまのクラックセーフティはソール張り替えで甦らせ、さらに高所用にシリウスの布陣で臨めば、僕の人生はどんなにか彩りと輝きに満ちてくることだろう。




僕は毎日のように、ある山道具屋の前を通る。松本の老舗で【ブンリン】というのだけれど、僕はほとんどここで買い物をする。もちろん、いま履いているクラックセーフティもここで求めた。んで、次はシリウスが欲しい。激しく欲しい。ブンリンの店頭には置いてないようだけど、大将に「シリウスはお幾らでありますか」と尋ねればすぐに答えてくれて、「明後日入るよ」などとなるはずだ。だいたいこの店は無茶苦茶幅広いラインナップとか豊富なサイズ選択とかは望めないまでも、大将の見識とお人柄、そして雪と岩に立ち向うべく選び抜かれたギア類にテレマーク滑り系装備、そしてハイカー向けの必要にして充分な品揃えが例えようもなく好ましくて、許されるならば毎日店番の手伝いをしたいぐらいなのであるが、そんなことは許されるはずもなく、前を素通りするばかりである。そんなことはどうでもよろしく、いくつかの目論みが上手くいって数万のへそくり余剰金ができれば迷わず「シリウス一丁!」となるわけだが、ほかにも出費を強いられるアレコレがあって悩みは深く望みは低い。


 ■□■


いやまて、クラックセーフティだ。
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先週末のハイキングから帰ってクラックセーフティを洗いながら、半年前の出来事を思い出していた。GWの鳳凰に出かけて春の湿った雪の中を歩いた際、爪先に冷たさを感じたのだ。ブーツの中で足の指が濡れたような湿ったような、もしかしたらゴアのメンブレン内に浸水したかのような...。

観察してみるまでもなく、サイドラバーに深いクラックが入っている。この靴にクラックが入るとは洒落にもならないが、とにかく左右ともこまかい亀裂がある。このクラックが指先の濡れのような感覚と因果関係があるのか、正確には判らない。明らかなのは、新雪の中をもふもふきゅうきゅう歩いても、冷たさはなかった。だからアッパーのファブリックに乗った粉雪の冷たさではなく、シャーベット状の雪解けが浸水したと解釈する方が自然である。



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亀裂を放置しておく訳にもまいらぬので、何かリペアを施そう。パテ状のゴム材で塗り込めるようなイメージでホムセンをうろうろしてみた。まずは接着剤エリアで、セメダイン社の【クツ底の肉盛り補修剤・シューズドクターN】というものを確保。こいつは、すり減ったカカトなどをこの硬化ゴムで盛り上げてやるための用品だ。このほかにクルマのリペアでもゴム系の補修剤あるだろうと探してみると、ガラス窓のシールとか防水パッキン用のシリコン系ゴム充填剤があった。また職人さんが防水工事で使うのだろうか、でっかい容器のものもある。相当悩んだが、靴には靴用と割り切って上記の【シューズドクターN】でトライする。



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メーカーサイトに「黒いマヨネーズ状」のような表現が見られたが、ほんとうだった。黒いマヨネーズ、不気味である。


薄くていねいに延ばす。亀裂の奥まで塗り込み、さらに表面をならす。小春日和の窓辺で作業していると、温まったためか気泡が出てきた。これを潰しながらていねいに塗る。初回で完全に埋めきれなくても、2度塗りでいこうと決めていたから、表面の平滑度はあまり気にしなかった。見た目よりも完全なシールが優先される。で、塗りならす。


このゴム剤は、空気に触れると硬化すると書かれている。部屋の中で24時間放置しよう。乾いたらもういちど塗るのだ。



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少年時代に、ウルトラマンを観ていて、僕は「ダダ」がいちばん怖かった。ほかのおどろおどろしい姿をした怪獣は何ともなかったけれど、ダダだけは、しんそこ恐ろしかった。真っ赤なくちびる、白っぽいフェイス、そして真っ黒なヘッド。その形相は、夢の中まで僕を追いかけてきたのだ。そして補修を終えた愛着の一足を眺めていて、僕は絶句してしまう。


  こ、これは... ダダ。


 ■□■


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僕のクラックセーフティ。まぬけな持ち主のせいでウルトラ怪獣のような姿にされてしまったけれど、もうひと冬を働いてくれ。まもなく里山にも雪が降りてくる。笹が埋もれれば僕も動き出す。そう、北ア前衛のえげつない藪山探訪には、君が必要なのだ。



ちなみにダダは、ウルトラマンのスペシウム光線を受け、もうもうと煙を上げながら墜落死するのである。




【追記 2010-12-08・事後報告】
この肉盛りしたハンワグ・クラックセイフティーを、新雪の北八ヶ岳に履いてみた。
・11/22夜、ざんざん降りの雨の中を自宅から松本駅まで4キロ歩く。
・11/23午前、新雪の坪庭--北横岳のスノウハイクでぱふぱふやる。
・11/23午後、帰路はシャーベット状の溶けた雪の中をばしゃばしゃやる。

これで浸水した感覚は一切なし。下山後の温泉施設で仔細にチェックしてみたが、乾いていた。やはりサイドラバーのクラックから浸水した水が、メンブレンのすぐ上の層まで沁みてきて、これが冷たさを演出してくれていたのだ。というわけで、来春の張り替えまで、もう少し働いてもらうことにする。
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by yabukogi | 2010-11-10 10:56 | 山の道具のこと
2010年 11月 07日

燕雪尾根ハイキング

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2010年11月6日、快晴。


ご近所のカワムさんと新雪の燕岳を日帰りハイキング。稜線に雪と氷と戯れて、至福の一日を過ごす。



歩き慣れた合戦尾根をふぅふぅ這い上がり、雪が出てきて無邪気にはしゃぎ、穏やかな(それでも冷たい)風に吹かれて槍ヶ岳を眺め、あたたかい飯を腹に収めて、またひとの棲む街に戻る。たったそれだけのことながら、この一日のおこないがしつこい肩こりをほぐし、腰痛を癒し、脳天からびりびり飛んでる青白い火花を消し去ってくれるのだ。

>>ぐわ、冬の北ア!
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by yabukogi | 2010-11-07 08:41 | 北アルプス・常念山脈
2010年 11月 02日

烏帽子から遠く眺めて

先日、ブナ立尾根から烏帽子岳へと歩いた折りのこと。

尾根の樹林帯を歩きながら振り返ると、ずいぶん遠くまでを見晴るかすことができた。最初は菅平の向こうに四阿山が見えたぐらいで喜んでいたのだけれど、標高を上げると...


  おんや。あれって、妙義じゃねぇかい?


山の先輩に、展望オタク、山座同定マニアのひとが居て、たぶん一度も間違えることなく、遠くのお山のシルエットを「なにである」と断定していた。僕にはそんな芸当はできないけれど、むかしむかし、それも北関東などは父に連れられて少年時代に、会津の藪山は死んだ山友と肩を並べて歩いたエリアである。もし同定が叶えば、その時の懐かしい想い出も甦ってくるかも知れない。


「カシミール」というソフトウエアがあって、標高データを読み込ませると、任意の地点からのマウンテンビューを正確に描画してくれる機能がある。これを使えば山座同定もきちんと検証できるのだけれど、僕はMac環境のためこのソフトが使えない。そこで何枚もの10万分の1地形図を広げて長いモノサシを当てたりしながら、以下のような同定を試みた。たぶん大間違いが多数あるはずなので、願わくば誤りをご指摘いただきご叱責を賜りたい。



烏帽子岳から東方面を見ると、地図上はこんな位置関係をもつ。(1)から(3)の順に見てみる。

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【クリックで別ウインドウに拡大表示】


■東南東方向■■

まずマップ上の青矢印(1)。東南東を眺める格好。北ア稜線上の烏帽子からは軽井沢の方角になる。つまり、視線は妙義などの西上州の山をかすめたのち、関東平野の平坦地に消える。こちら方向には【四阿屋山1,387m】という里山があって、ランドマークになる。別な方角(2)で百名山の【四阿山2.354m】があるが、似た名前の別なお山である。このように把握すると、浅間山の南斜面のスロープの上に、裏表の妙義山が並ぶはずで、実際そのように見えていた。微妙なのは、書き込みで【赤久縄山1,522?】としたあたりで、ここには荒船山の東側にあるいくつものピークが顔を出すのか、神流川左岸(北面)の赤久縄山あたりが見えてくるのか、こころもとない。

>見えますか?
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by yabukogi | 2010-11-02 10:22 | 山から眺める山