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2010年 02月 25日

かりかりの東天狗岳

世界の果ての壊れた冷凍庫から這い出した僕は、つぶやいていた。

ゲイター完了なう。アイゼン確認なう。2010年2月21日朝。八ヶ岳稜線のところどころには赤いひかりが当たっているものの、黒百合のテン場には、まだ夜の澱(おり)のようなものが残っている。朝日が届くまでにはまだ時間があるだろう。既に支度をすませたHirob氏、kool8氏とうなずき合って、中山峠からではなく、静かなスリバチ側から東天狗山頂に向かうことにした。


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▲東天狗への登りから西天狗を振り返る。

続き
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by yabukogi | 2010-02-25 12:34 | その他の山域
2010年 02月 23日

-18度C、黒百合平

左腕にはめたBARIGOの液晶バックライトを点けようとするが、グローブをはめた指先では上手くボタンが押せない。ヘッデンを点して照らそうと試みるが、こちらもスイッチがON側に動いてくれない。ついにはグローブを外してようやく時刻を見ることができた。午前3時45分。シュラフの首の周りもネックウオーマーも、吐息が凍って真っ白になっている。砂糖菓子のようだ... 一瞬そう思って、馬鹿らしくなる。グローブを脱いだ素手を無意識に、シュラフカバーの上に置いてしまえば、そこは砂糖菓子どころかボコボコの鉄板が凍ったよう。触った瞬間に痛みが走る。ゴアのカバー表面は、内部から吸い上げた水蒸気が凍って針のように立ち上がっている。嫌な予感がして、がりがりに固まったその裏側を触る。やはり、凍っている。放出できなくなった水蒸気が、シュラフカバーの裏側でも結露、凍結し、シュラフは凍ってはいないものの濡れていた。この濡れが足先の冷えを招き、僕を目覚めさせたのだ。加えてもうひとつ、日中から履きっぱなしだったネオプレンのソックスを脱ぎ忘れていた。このネオプレンの内側も汗で濡れている。これは山用のではなくマリン関係で使うものらしい、安物なのだがゆったりとしたサイズが気に入って、今回担ぎ上げたものだ。


数分躊躇してから諦めたようにネオプレンを脱ぎ、シュラフカバーもべりべりと外す。見回すと、テントの中は氷漬けといえばいいのだろうか。エスパースのダブルウオールの内側も、頭に近い位置のスタッフバッグも、みな霜に覆われている。2010年2月21日、僕はみじめなほど寒い朝を迎えようとしていた。後になって聞くと、テントの中でマイナス18度Cを示していたという。

寒いだけの続きだ
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by yabukogi | 2010-02-23 09:58 | その他の山域
2010年 02月 19日

四次元にむせび泣く

そのザックに、装備は収まる。いや、収まるはずである。


明日から山に行こうと、湯気を立てて仕事を片付けながら、なぜかパッキングも同時進行している。そう、問題はパッキングである。装備を吟味してザックに押し込める、アレである。仕事の追い込み中だから、きっちりパッキングしている余裕など、あるわけがない。だから入れては出し入れては出し、なにやらここには書きにくいひとの営みのようでもある。


3年前に装備を整え直す機会があったとき、ザックの大きさを決めた。38リットルである。38という数字ありきではなく、某・国産Dax社製のこのモデルを凌ぐ背追い心地のザックには、まだ出会えないでいるのだ。とにかく、これが良くって38になった。どこか長所ひとつを取り上げて相棒にするというのは、気持ちいいことだ。泣き顔が可愛いから所帯を持った、そんなところか。この38リットル、山小屋泊まりか、冬の日帰り用にちょうどいい。なのだが、僕はこれを春夏秋のテント泊に使っている。昨年北アの稜線テント泊で出かけたときは余裕だった。教科書には50リットルぐらいを用意しなさい、などとあるようだが、そんなことしたら僕には担げなくなる。喰い物なんかあれもこれも持ちたくなって、空いたスペースにビア缶突っ込んだりして、足腰の弱い我が身にはしんどいことになるのだ。僕の所属する【純情幕営団】は虚弱を以て会員資格とするから、これはこれでいいのだが...。


さておき、結果的に、まずキャパシティの上限をザックの大きさで決めてしまったのだ。実はこれが凶と出る。

どうせロクな続きじゃない
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by yabukogi | 2010-02-19 21:21 | 書くまでもないこと
2010年 02月 16日

ある日ジャグジーで

その男、この週末あたり雪の八ヶ岳で幕営ができそうである。
ある土曜日、ぼちぼち準備を整えていて、あ... と絶句する。


男は、ちかくの山道具屋【ブンリン】で買ってきた2本のポール(ストック)を眺めていて、使い方を知らないことに気が付いたのだ。そう。男は、2本のポールを操って歩いたことがないのである。気が付いた男は、蒼ざめたまま立ち上がると、ラックからポールを手に取った。廊下に出て、歩く真似をしてみる。腕を振ってみる。自然に腕と足が交互に動いたことに満足した男は、ポールをラックに戻した。

くだらない話だ
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by yabukogi | 2010-02-16 17:26 | 湯けむりのこと
2010年 02月 13日

その男、ナイトメア。

夢だとわかっていた。

夢だと判りながら、音も気配もない世界で、恐怖という圧力だけが僕にのしかかってきた。その朝早く、僕は畑薙のダム湖の上にいた。奇妙なことに、愛車の赤いリトルカブに跨がっていたのだ。なぜ舞台は、もう10年以上むかしに行った場所だったのだろう。理由もわからないまま僕は、大井川の上流のダム湖の上空遥か、あの恐怖の吊り橋を、カブで渡っていたんだ。

続きはロクな結末じゃない。
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by yabukogi | 2010-02-13 13:30 | 書くまでもないこと
2010年 02月 08日

湯多里山の神/豊科

大町も白馬も、いちめんの雪景色だった。


松本市街地に、雪はない。けれども近隣から届く雪のニュース映像に誘われて、ちびどもが騒ぎ出す。そぉりっ、そぉりっ、そぉりっ。前の晩からあまりにうるさいのでそり遊びに出かける。


安曇野を北へ。松本から池田町あたりでは日陰にうっすらと残る雪だったが、大町に入ると畑が真っ白、そこは雪国だった。木崎湖では国道の両側に高い雪の壁が現れ、さのさか峠を越えると、雪はいっそう深くなる。僕らは空いているゲレンデを探しあて、スキー・ボード客の邪魔にならない斜面で遊ぶことにした。

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ちびどもはまるで仔犬だ。走り回って滑って転んで大騒ぎ。僕は並走したり引っぱり上げたりと何十回も斜面を走る、走る、走る。ときどき、滑る。

たいした続きじゃない
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by yabukogi | 2010-02-08 11:53 | 湯けむりのこと
2010年 02月 02日

さらば愛しきひとよ

特別な理由があるわけじゃない。僕は酒と食、そして運動について、すべてを見直すことにしたのだ。


いや。強がるんじゃない。シンプルな理由だ。ある時期、足の靭帯や関節が痛み出して、その原因が美食飽食と酒への執着にあることは間違いないのだ。実際、白衣を着た医師が、僕の目の前でいくつかの数値を指摘し、運動が不足しています、また肝機能の低下が目立ちますねとつぶやいたのを確かに聞いたじゃないか。


シンプルで立派な理由じゃないか、生まれ変わるのに。


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そして続きが...
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by yabukogi | 2010-02-02 12:32 | 喰い物のこと