カテゴリ:喰い物のこと( 70 )


2012年 11月 10日

その男、弁当ライフ。


現場へは、弁当である。
僕はコンビニを利用しないので、毎朝、つくる。
ちびどもの朝飯を整えながら、詰める。



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自家菜園の男爵芋の手製コロッケ、市販のフランクフルト、庭の梅の樹の、自家製梅干し。ミニトランギアで。




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ツナ入り玉子焼き、ウインナ、庭のジャガのフライ、唐揚げは市販の冷凍品。この日もミニトラ。




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ミョウガ、きんぴら、ポークビッツ、スパゲッティ、おでんの鍋から失敬した煮玉子、青唐辛子を叩き込んだ味噌。メスティン。




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塩麹に漬けた天竜清流豚の肩ロースのソテー、目玉焼き、庭のミョウガの梅酢漬け(果てしなく美味なり)。トランギアのメスティンに詰めて。




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プレーンの玉子焼き、フランク、冷凍唐揚げ、シシトウのソテー、メスティンに詰めて。




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食べ残しみたいな天然塩シャケのカマ焼き、フランク、冷凍唐揚げ、ミョウガ、シシトウ、またもやメスティン。




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長谷川平蔵さん好物の海苔入り玉子焼き、シシトウ、自家製ハムもどき、冷凍唐揚げ、フランク、メスティンに。




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大豆(うちのちび)の好物、納豆の入った玉子焼き。これは彼の離乳食として僕が開発した一品なのだが、彼は小学校入学するまで「玉子焼きに納豆はデフォ!」と信じて疑わなかったらしい。何かの機会にプレーンの卵焼きを食し、「なにこれ納豆入ってないし、だめじゃん」と発言。僕の責任である。で、スパゲッティ、青唐辛子の佃煮、大町豚のヒレカツ、ポテト。この日は大豆のための弁当をこしらえる必要があって大豆好みの構成に。エヴァニューのチタン・セラミックコートに。




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青唐辛子とポークビッツ、自家製ハムもどき、庭のミニトマト、煮込みハンバーグ但し牛豚ミックス、エヴァニューに。




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フランク、青唐辛子(大)のソテー、信州牛の甘辛煮、塩麹に漬けた天然秋シャケの炙り焼き、ミニトラの缶で。




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ミョウガ、青唐辛子、庭のミニトマト、冷凍のシュウマイ、焼きたらこ、梅干し。ミニトラで。




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ブロッコリ、ミニトマト、自家製梅干し、焼きたらこ、ウインナ。ミニトラに。




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目玉焼き、フランク、梅干し、焼き...た..らこ.....、何この色温度。ブルー強すぎ、不味そう。エヴァニューで。




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ミョウガ、梅干し、フランク、味噌漬けのシャケはらす焼き、煮玉子、焼き.... たらこ...。脱力感たっぷりにメスティンで。





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青唐辛子、きんぴらごぼう、冷凍唐揚げ、玉子焼き、梅干し、ミョウガ、ここ一番。


効いたのか?
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by yabukogi | 2012-11-10 16:17 | 喰い物のこと
2012年 11月 03日

ワンダフル・バグス

やあ皆んな。

虫は好きかい?
虫が好きでも、食虫する人は少ないよね。

先日、不用意にこんな写真を掲げてしまって、済まなかった。

羽翅、節、殻、つまり、さくり、かりり、昆虫を視覚と味覚、何よりも舌触り、歯ごたえで愉しもうという日本の伝統的食文化だね。そう、僕たちは偉大なる縄文人の末裔なんだ。





これは、イナゴ、つまり成虫を味わうのだけれど、イナゴ以外では、幼虫や蛹(さなぎ)も味わうことがある。たまらないよ。




信州では、蜂の子を愉しむ。
地蜂といって、スズメバチの仲間なんだけれど、巣を掘り出して幼虫から成虫まで、一網打尽。

 食 べ 尽 く す の さ 。

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穫る作業はなかなか骨が折れる。肉片に綿を着けておいて待つ。こいつらが飛んでくる。脚のトゲに綿が絡まる。そのまま飛んで巣に帰るのを追跡して、特殊な煙で眠らせて、おしまい。途中の薮漕ぎは、きついよ。


上の写真は、掘り出した巣からほじくり出して鍋に叩き込んで、佃煮にしたんだ。凄いよ、ローヤルゼリーの風味をまとって、たくさん食べたら、ぜったい眠れない。こっそり書くけど、びんびんさ。

生食をいつか.... という夢もあるけど、こいつらは昆虫や屍肉を漁る奴らだから、体内に飼ってる細菌類がハンパ無い。たぶん一発で病院行きだろう。勇気が要るね。




素材感を大切にしたい場合は、塩味だ。
こうなると、バグじゃなくて「ワーム」かもね。

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うじ●し、とか言ってはいけないよ。蜂の子だ。塩味は「煎る」感じで調理するんだけれど、見た目で「げえぇっ」って言う人が多いね。信州ではそんな罰当たりなことを言わないけれど。





グッナイ。すてきな夢を。
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by yabukogi | 2012-11-03 16:18 | 喰い物のこと
2012年 10月 22日

サーディン、愛してる。

以前に、サバ缶のことを書いた。

正しくは、サバ缶への想い、について。でも誤解しないで。サバだけじゃない。僕は光り物なら何でも好きなんだ。そう、イワシだって。

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オイル漬け、いいね。千円近いやつもあるけど、これは100円ぐらいのをまとめ買いしたんだ。

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ペルー産のイワシ。つまりははるか東太平洋で、つめたいフンボルト海流が育んだ、海の恵みだ。

昨シーズンの冬。凍てつく上高地にて吊り尾根颪(おろし)の寒風に吹かれながら、これを味わったんだ。メンバーはみんな半端じゃないセレブでグルメな人たちだったけれど、こいつにはガツンとやられたらしい。みんなその夜、テントの中でうわごとのように「サーディーン!」って叫んでたから。


僕の食べ方は、こうなんだ。
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缶を開けてストーブの上に載せる。ガスじゃダメだよ、火力が強すぎる。こんな時は、アルコールストーブに限る。本当はさんぽ師匠のカーボンフェルトストーブを使いたいのだけれど、魚臭い油にまみれてしまう。


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ニンニクをスライス。乾燥ニンニクより、ぜったい生のやつがいい。国産でね。


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油がふつふつ騒ぎ出すと、吹きこぼれる。弱火にしよう。そう、だからアルコールストーブなんだ。


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ペッパーソースは、たっぷり。自家製のペッパーソースを仕込んであるんだけれど、この日はジンを飲み過ぎてて、自家製のことを忘れていた。昼間のジンは、効くんだ。


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ぐつぐつ言ってる。たまらないね。このとき、ねこが、僕の背後に座って様子をうかがっていた。



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ウマー。ポッカレモンを数滴垂らすと、香りもいい。

小さな缶詰。ニンニクの欠片。ペッパーソース。これだけあれば、テント場で飲む酒が、いっそう美味くなる。
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by yabukogi | 2012-10-22 00:00 | 喰い物のこと
2012年 10月 14日

豚骨街道を、南へ走れ

僕が住む信州まつもと平を南北に貫くのは、国道19号線。


なぜか、この街道沿いに数件、豚骨屋の暖簾(のれん)が見られる。当地で豚骨といえば南浅間松本駅前、諏訪の【狼煙】に尽きるが、たまには浮気して慣れぬ暖簾をくぐるのも悪くないだろう。


 ■□■

松本市街地から南下を始めてすぐ、南松本エリアの高宮で【二代目丸源 松本店】の看板を見る。

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ひときわ眼を引く看板に誘われてカウンターに座ると、多様なラインナップを展開させた豪華なメニューがあった。ふむ。必ずしも豚骨専門という訳でもないようだ。ファミリーなど「とんこつは、いやぁ」というニーズにも応えているのか、味噌や醤油を使ったものもあるようだ。つまり、僕のようなガチな豚骨原理主義者をターゲットにした店ではない。

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僕は「きゃべとん」をオーダー。ボリューム感を押し出した構成、グルタミン酸の利いたスープ、これが現代的な豚骨の在り方なのだろう。また食べたいか? と問われればイエス。でも厚化粧の女、という印象は否めない。



 ■□■

さらに街道を南下すると、JR篠ノ井線を陸橋で跨ぎ、かつての善光寺街道・村井宿に近づく。街道の西側には【山岡家 松本店】
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「とんこつ」のノボリにさそわれて暖簾をくぐる。どうやらチェーン店のようだ、ラインナップは豊富だ。


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豚骨ラーメンなのに太い、それこそスパゲティーか? という麺。呆れてすすり上げ、替え玉を待つ。そう、スープの味は悪くないのだ。すると替え玉は縮れの無い極細麺、しかし黄色い。まあ、これもチェーン店、ファミリー展開の現実か。



 ■□■

国道19号、村井宿にはもう一軒の豚骨屋がある。地元・安曇野豊科に鼻息の荒い豚骨屋【きまぐれ八兵衛】の姉妹店がオープンしたらしい、という噂を聞いたのはずいぶん前のこと。ようやく訪れる機会ができた。

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松本市村井、【きまはち商店】。週末だけあって、駐車場も混んでいる。待つこと30分。


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おぉぉぉぉぉ! スペシャルなトッピングに隠されてメインキャストたちが目立たないが、正統派の「白い豚骨」のようだ。替え玉が写っているのは、混雑時には初期オーダーで「かため」を頼んでおくのがクセなのだ。


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白く、まっすぐな細麺。この星の小麦がこね伸ばされた、由緒正しき至宝ともいえる麺。スープも十分に乳化、北部九州の街のラーメン屋の換気扇から流れ出る香りと同じ香りが漂っている。これぞラーメン。これぞ豚骨。やや調味料の痕跡が強いが、味わい自体は素朴にまとめ上げられている。そのポテンシャルは、相当のものだ。


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この一杯は、僕の豚骨になった。

また来よう。



 ■□■

街道をさらに南下する。松本市から塩尻市に変わった直後。
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塩尻市広丘吉田の【博多龍神】。替え玉二つまでが無料とは!

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ややおとなしめのあっさり豚骨を背脂で補う戦法か。うん、原理主義的に異端のレッテルを貼るほどではないが、くせがなく(常人にはしっかり豚骨臭い)守備範囲の広いスープが、どんぶりにたたえられている。及第点は楽々クリアしている。うん、また来たい店だ。

【追記:2013/01/05】
一昨日この「博多龍神」前を通過したら、違う店舗に変わっていた。同じくラーメン屋ではあったが、まったく異なるコンセプトの様だったので立ち寄らず、すぐそばの「スシロー」で昼飯にした。残念なことだ。



 ■□■

国道19号線。松本から塩尻に移動するだけで、これだけの豚骨のれんをくぐらなければならない。なんと危険な街道であることか。
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by yabukogi | 2012-10-14 17:37 | 喰い物のこと
2012年 07月 01日

熱血グリーンカレー魂

またこの季節が巡って来た。


蒸し暑くなると、辛いグリーンカレーを食したくなるのだ。それも、ひとくち目から舌がびりびり震え頭蓋骨がきしむような辛さが良い。ふた匙目には食べ始めたことを後悔し、タンブラを握り砕くような、そんな辛さ。この辛さが、皮膚にまとわりつく見えない水蒸気を、消し飛ばしてくれる。だって、毛穴という毛穴から汗がほとばしり出て、もやもやした水蒸気なんて、吹き飛ばしてくれるから。



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グリーンカレー、ココナッツミルク仕立てのチキンカレー。なぜか筍が具材に加えられている。そして青唐辛子。青唐辛子で思い出した。北ア方面の小屋番時代、同僚のシェルパ族の男からこの青唐辛子の佃煮を喰わされたことがある。佃煮、と便宜上書いたが、青唐辛子を油鍋に放り込んで辛味噌かスパイスかそういったもので煮詰めたやつだ。なぜかレモンが香る。こいつはネパールでは食卓に普通に置かれてるシロモノらしいが、日本では凶器とかテロ行為といわれるたぐいの味だ。これをシェルパは従食にぶち込む。だから、飯の時間は灼熱タイムだった。小屋の全員が真っ赤な顔をして大汗をかきながら、めしをかっ喰らっている、奇妙な光景だった。




話が脱線しかけたが、グリーンカレーはつまり、熱帯の陽光と大地が育んだスパイスを溶かし込んだスープ仕立ての食べ物だ。正確にはカレー料理ではなく、いわば「鍋料理」的なカテゴリなんだろう。ココナッツミルクのまろやかさ、そんな穏やかな風貌の裏側に灼熱のスパイスを忍ばせるなんて、ちょいといかして僕のようだ。こいつを日本人向けにアレンジして【無印良品】がレトルトパックで売ってくれている。このレトルトパックは突き抜ける辛さには欠けるものがあるが、煮込まれたフクロタケとチキンの絶妙な舌触り歯ごたえそして味わいに喜悦を感じる逸品だ。冒頭の写真がそうさ、僕の大好物なんだ。




じつは近所、僕が近所と書くときは信州松本を指す訳だけど、実に近所に【メーヤウ】というカレー屋さんがある。2店舗あってそのうちひとつが、ランチタイムに「カレーバイキング」をやってる。たしか、おひとり1,260円也で、何種類かのカレーを食べ放題なんだ。何年か前に通い詰めること週に二日は下らなかった。美味いのかって? 結果は、こうさ。



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上の写真の半年前まで、28インチのリーバイスを履いていたなんて信じられるかい? だから通うのは止めた。ときどき行くだけだ。



いまでは身体を絞り上げて28インチに戻ったから、またメーヤウ通いを再開しても良い。いや、本音はそうしたいんだ。けれどもう僕は、大皿に山盛りのカレーを三杯食べる、という一種の格闘技には、疲れたんだ。誤解しないで。同じカレーを三杯じゃない。最初は大好きなグリーンカレー。お替わりはもっと辛いビーフカレー、こいつは茹で玉子が入ってる。締めは骨付きのチキンカレー。こういう風だ。もちろんご飯はジャンダルムとまではいかなくても、北穂の滝谷ドームぐらいには、盛って。そう、一回のランチに、週二回。



格闘技に疲れた僕は、無印のレトルトカレー【グリーンカレー】を在庫しておいて、裏山のピークでいただくのが大好きなんだ。ミニトランギアでご飯を炊いて、もちろんストーブはトランギア。蒸らし中にミニトラのフタの上にレトルトパックを置いておくと、ちょうど良く温まる。これで安曇野の向こうに槍から穂高までの稜線が見えていれば完全に満足なんだ。カレーを滝谷ドーム三杯なんて、もう僕には向かないのだから。

今日も、そっと家を抜け出して20分、ハイクアップで1時間、あのピークから... そう思っていたけれどこの雨だ。熱血の魂がふつふつとたぎるものだから、熱帯のモンスーンを、呼び招いてしまったようだ。
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by yabukogi | 2012-07-01 14:21 | 喰い物のこと
2012年 06月 24日

飯盛ろう日本!

先日、裏山の某ピークから安曇野を見下ろして、驚愕してしまった。


一面緑なすはずの田んぼが、茶色いタイルに置き換えられている。つまり、昨年一昨年ぐらいまでコメを作っていた農地が大麦の畑に変わってしまっていたということだ。


 いかん。
 もっと米を喰わねば。



盟友である工場長どのは、相変わらず蓼科盛りで喰らっておられよう。かつて松本城の堀端で固く手を握り合い、お互いの行く手にいかなる困難が待ち受けていようとも、たったふたりだけになろうとも、この国の大地に育まれた稔りを、ま白き豊穣を、湯気立てる白米を、「茶碗ではなくどんぶりに高々と盛り上げて喰らおう」と誓い合ったのだ。

しかし。
僕にとって、おおきなどんぶりに蓼科のごとく武甲のごとく、あるいは北穂のドームのごとく盛られた白い飯を喰らう元気が、失われてきた。ご飯は茶碗にそっとで... 


僕は敗北したのだろうか。固い誓いをやすやすと打ち捨ててまで、体型や数値を気にしているのだろうか。そう言われても、返す言葉もない。僕は敗北したまま、生ける屍として存在し続けるのだろうか。

そんな打ちひしがれた気分の中で、山下達郎さんの歌の歌詞が、脳内を流れた。

 たった一度だけの人生を
 何度でも
 立ち上がる...





僕は、負けたままでは、いない。
もう一度、立ち上がる。



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庭の山椒の樹が、実を着けていた。一昨年は成らず、そんなものかと思っていたら昨年、実をつけた。その、着けた実をいただいて佃煮にしてみたのだが、炊き方に失敗して固くなってしまい味気ない思いをしている。僕は負けない。あきらめない。松本城のお堀端の誓いが、あざやかによみがえる。工場長どのと二人、この国の農業を、守るんだ。



丁寧に時間をかけて摘んだ実を、洗う。ただし乾かしてはいけない。水を張ったボウルに放り込みながら、実を摘む。摘んで、洗う。


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下茹でして灰汁を抜く。



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水にさらす。さらし過ぎて灰汁を抜きすぎると、物足りなくなる。加減が難しい。



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つづけて黒砂糖や蜂蜜、日本酒、醤油、最後にみりん。何度にも分けて少しずつ加え、実が固くならぬように丁寧に炊く。



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うん。これでいい。



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飯を盛る。縄文の民がつくり始め、この国の胎動ともいえる時代を支え、いまなお我らが胃袋と魂を満たし続けているコメ。白状すると蓼科のようにも常念のようにも、僕には盛れない。ましてや珍しく全身に雪をまとったジャンダルムのようには。

そっとでいい。けれど、麺やパンを少し控えて、その分、これで米飯をいただこう。そして後日、イカナゴやチリメンが手に入ったら、ぐふ....ぐふ..ぐふぐふ。



飯盛ろう日本。
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by yabukogi | 2012-06-24 17:03 | 喰い物のこと
2012年 06月 23日

海の神さまがくれたもの



週末のひととき。


ハイバックチェアに背中を預け、マグのウイスキーを舐めながら古いRockを聴いている。まだ陽は高いが、もの憂げな初夏の風が流れて眠気を誘う。そうだ、つまみを....。


アーモンドかピスタチオを探したが、切れている。
せがれが持って行ったようだ。

お。魚肉ソーセージがある。これでいい。


僕はこいつを味わうとき、ソテーしていただくことが多い。この日も....

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ガーリックを仕込んだオリーブオイルでカリリと焦げ目を与え、マヨネーズとチリソースのブレンドに、カイエンペッパーを振ってある。この組み合わせは、魚肉をRockする最高のバンドメンバーなのだ。



ハタチ前後の頃に山に出かけるといえば、南アか八ツだった。交通費を考えれば、東京から北アまで足を伸ばせない。つまりは、山の中でもろくなものが喰えない。街でも山でも、僕はいつも空腹だったのだ。

そんなときでも、魚肉ソーセージだけはいつも僕を裏切ることなく、こころまで満たしてくれた。あぁ.... 北海を遊弋する助惣鱈(スケソウダラ)よ。お前たちのおかげで、僕はしあわせだ。





過去にも書き散らしたが、魚肉ソーセージには【フィッシュ・バーガー系】という異端の系統がある。

以下の写真は2009年頃のものだから現行商品にはラインナップしていないかもしれないが、あまりにも豊かで美しいこのカテゴリのことを、すこしご紹介しておきたい。

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各社からさまざまなアイテムが市場に投入されている(2009年)。


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かつてKMD氏は、このフォトを見て「ジュ、ジュリアナ....」と絶句した。たしかに、1980年代半ばから数年間、若い女性が長い髪を片側に寄せて風になびかせ、ボディラインに非常にコンシャスな薄手のウエアリング、そして手には扇子様のものをひらひらさせて「お立ち台」と呼ばれるところで踊っている光景が見られた。その際、ボディラインの形成が完了する以前に、果敢にもコンシャスにして薄すぎるウエアをまとった場合、このフィッシュバーガーのように見えたものだ。



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魚肉系は、オイル含有を減らしヘルシーを旨としているのだろうが、僕には僕のやり方がある。



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隠し味には、本物のソイソースがいちばん。減塩醤油とかじゃあ、いけない。



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各社の新製品との出会いがあるたびに、僕はこうしてテイスティングを楽しんだり。




過去ネタの採録に留まったことを申し訳なく思いながら、ふと、魚肉ソーセージの真実みたいなものを知りたくなった。Wiki等で読んでみる。戦前から戦後の食糧事情、水産加工技術、ビキニ環礁の水爆実験、保存料や添加物の問題、そして日本人の食生活の変遷。魚肉ソーセージは実にいろんなことを背景に、いま、あるのだ。


嗚呼、海の神さまからの贈り物。
また今日も僕は、この贈り物の美味しさに、陶然ととろけて恍惚となるのだろう。
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by yabukogi | 2012-06-23 14:42 | 喰い物のこと
2012年 06月 14日

この星に、サバ缶のある限り...

学生時代に独り暮らしたぼろ家は、牛込の高台に建つ、文字通りの廃屋だった。その家は薮に囲まれ、夏には蔓草が伸びて壁を覆い、緑の魔境を思わせた。腐って破れ果てた板壁の隙間からは、にょろにょろと何でも入り込んでくる。なめくじ、蔓巻く雑草、げじげじ、そしてねこ。


山道具が散乱したその家には、夕方になると茶色い虎ねこが上がり込んできて、めしをせがんだ。僕は彼に「ちゃいろくん」と名付けた。こいつ、壁の破れ目から入ってくるくせに、でかくて堂々として、食欲旺盛だった。まあ、それだけ板壁の破れが酷かった訳でもある。僕は茶色君には何を喰わせれば良いのかわからなくて、サバの水煮缶を買い置きしておいて、与えていた。与えていたと言っても、汁を少し取っておいて、ドライフードにタラリとかけるのだ。サバそのものは僕の貴重な食料で、飽きることなく、毎日のように味わっていたし、山へも担いで出かけた。


サバの水煮。200g程度の密閉空間に封じ込められた、海の幸。わずか100円程度で手に入る、この惑星の豊穣。

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当時もいまも、在庫を切らしたことがない。そして一度も、まずいと思ったことが無い。くしゅっと音がして缶が開く。ごろっと中身を、皿に載せる。ここで煮汁を飲み干してしまおうか、すこしためらって、やっぱりすする。



理由があるのだ。

煮汁はそれなりに美味なのだが、調味料を薄めてしまう。



調味料?

そう。サバの水煮を堪能するためには、調味料を探求し、吟味し、完全に満足できる仕立てを、組み合わせを手に入れなければならないのだ。


学生時代は、醤油と七味唐辛子だった。これ以外の調味料ラインナップを常時在庫することもできなかったし、また十分満足だったからだ。




ある日。学生街の居酒屋で、サバ缶をいただく機会があった。なんと、大根おろしに刻みネギが添えられていたのだ。海の幸の上に盛られた大地の恵み。辛みと爽やかな風味をまとった、官能的なまでのハーモニー。このとき、サバ缶の味わいには無限の可能性があることを、識る。醤油と七味唐辛子と言う鉄板の組み合わせが、揺らいだのだ。

僕の遍歴が始まった。
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ありとあらゆる調味料や薬味を、サバの水煮に試してみたのだ。しかしそのすべては、とても書くことができない。



■マヨネーズ
サバの魚臭さ、あるいは身の幾分ぱさぱさした食感、これをまとめあげ、包み込むのはマヨネーズに限る。七味や黒こしょう。また白胡椒や柚子胡椒を添えても風味極まり、味わいはこころの奥深くまで響くことだろう。


■ごま油
この破壊力を知ったのは、埼玉・熊谷郊外の荒川河川敷で野宿した時だ。レバ刺しをいただくに塩プラスごま油より強力なタレは無し、と信じていたから試してみたのだ。いまでも記憶によみがえる、また再び味わいたくなる、いのちに刻み付けられたような記憶なのだ。


■キムチタレ
即席キムチのタレをかけてみたことがある。言うなれば脳髄に突き込まれた味覚のハンマー。あるいは魂が叫びを上げるアジアの灼熱。しかし量が過ぎるとサバの風味が失われ、つまりは負けてしまう。ここはやはり自家製のキムチを仕込み、その浸け汁を利用すべき...。こうして試みは「キムチを漬ける」ところから始まり、結果は良好。寒くなると胃の腑が求める、そんな愉しみとなった。


■カレー
カレールー少量を湯に溶かし煮詰め、料理に使うことが多い。フライドポテトと合わせると爆発的な美味さなのだ。この残りをサバ水煮にかけてみた。嗚呼なんという背徳的なまでの味わい。濃厚にして刺激的、いつまでも余韻を響かせるその味わいは、危険な恋に例えたらいいのだろうか。そんな火遊びの経験のない僕にも、ちりりとこころがひりつくような連想をさせてくれた。


■コチジャン
もう何と言うか、好きにしてください、あなたの言うことを聞きます、と舌と胃がすすり泣くような味わいを満喫できる。コチジャンにテンメンジャンをブレンドしたり、もちろん豆板醤を混ぜたり、あるいは魚醤を忍ばせたり、エイジアン系の可能性は無限に広がる。そのむかし、長安から西域への道が、ヒマラヤやカラコルムを巻いてうねって、幾筋も続いたように。


■オリーブオイル
これには、やられた。ガーリックやバジル、オレガノなどの香辛料を加えてオイルに仕立て、垂らしたのだ。瞬間、100円の缶詰からヴェネツィアのラグーナの匂いが、漂いはじめた。あまりのマッチングに僕は段ボールでサバ缶を仕入れ、塩野七生さんの本を読みながらこの組み合わせを楽しんだほどなんだ。


■ポン酢
グレープフルーツとレモンを絞り、だし汁と合わせると自家製ポン酢を作ることができる。一時期これに凝って、当然のごとくサバ缶に試してみた。

あぁ....... ビネガーのちから。なんという奥行き。とおい過去の記憶を呼び覚ますような、懐かしさ。母は水玉のワンピースを着て、バスから降りて来た。祖父母の蜜柑林が広がるその丘に、母は僕を迎えに来た。母の向こうに、水平線。そして真っ青な空に入道雲が...。


■バルサミコ酢
もう、なにも語らない方がいいのかもしれない。眼をつぶれば思い出す。海の香りにぶどうが絡む。遠い航海を終えて、それでも忘れることができない異国の港の美しき一夜の思い出。そんな経験のない僕にまで、船乗りになりたい、と思わせてくれる味わいがそこにある。


■マヨネーズと、チリソース
僕は、過ちを犯した。もう帰ることができない。

"Bohemian Rhapsody" でフレディは歌った。

Mama, Just killed a man, 

つまり、そんな気持ちなんだ。

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by yabukogi | 2012-06-14 22:49 | 喰い物のこと
2012年 06月 03日

さあ。厚切りの人生へ。

豚バラ肉の塊が、長い旅を経て
ようやく丼に盛られるまでの、小さなものがたりだ。




幼少の頃、TVで眺めていた『はじめ人間ギャートルズ』では、分厚いマンモスのステーキがご馳走だった。凄かった。ああいった場面では、あまり肉を喰わせてもらえなかった自分にとっては、ただごくりと喉を鳴らすしかなかったのだ。

この体験は、僕のこころの傷になる。




長じてのち、僕はささやかな暮らしを、信州の片隅で、それこそ小鳥が雑木林に巣をかけて暮らすように小さな人生を送っている。そんな時、見たのだ。

成功しているビジネス・パーソンである実兄が、あるメディアでプライベートな時間を披露していた。目白のステーキ屋で厚切り肉を食べていたのだ。たしか短角和牛と書かれていた。それも娘のバイオリンの発表会の帰り、だったのだ。僕は驚愕した。バイオリンに分厚い短角和牛。次元が違う。

し、しかも、兄はメルセデスのSクラスで、僕はHONDAのリトルカブだ。

うまく言語化できないけれど、僕は、打ちのめされた。







僕が立ち上がるためには、厚切りの肉が必要だった。

けれども分厚い短角和牛なんて無理だから、信州のポークに、そのバラ肉を分けてもらうことにした。
こうして、ようやくこの物語が始まる。






初夏の兆しが、この山国にも足音を聞かせてくれるようになったある日。

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なんと言うけしからん情景だ。
Mr.ポーク、命ある時は、どんなに健やかに暮らしていたことだろう...。
君の命を、僕がいただく。たいせつに、君の命をつなごう。



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肉は、かつて命そのもであった尊きものだと思っている。
だから、これをいただく時には、こころを鎮めて、祈りを捧げて、手順を踏もう。
ありがとうMr.ポーク。ありがとう、餌になった穀物たち。




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やはり、背徳的なヴィジュアルだ。
あまりにも蠱迷的で、雄弁で、印象的な、その焼き色....。

あの夏の終わり、南の島で出会ったあの娘の...



いや。まだ火を通し切っていないし、このままいただく訳ではない。




事前に野菜のスープを作っておいた。
ニンジン、長ネギ、ニンニク、ショウガなどを炊いてあるのだ。

ここへ.....

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最初だけ、強火。
灰汁を掬って掬って、あとはとろ火でスープを濁らせないように、そっと炊く。




二時間ほどしてから、様子を見てみる。

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紹興酒。蜂蜜。ザラメ。そして野菜スープも足す。
もうしばらく煮込んだら、甜麺醤(テンメンジャン)と醤油も。







こうして完成したMr.ポークの角煮は、その後も何度か火を通された。
味を馴染ませとろみを増し、秘蔵されて。






マルチャンの【正麺・豚骨味】に盛られた、Mr.ポーク。
青ネギ、その下のキャベツ炒め、隠れてしまったキクラゲ、ニラのおひたし、白ごま、白胡椒、滑らかな麺、そして白いスープ。これらはみんな、Mr.ポークのためにバックコーラスを歌う。
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Mr.ポーク。歌うがいい。叫ぶがいい。

 " さあ!! 厚切りの人生を! "
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by yabukogi | 2012-06-03 08:56 | 喰い物のこと
2012年 05月 06日

草餅男、慟哭の日曜日


山での行動食について、ささやかな考察と実践を試みた。


行動中に口に放り込むものを、甘納豆と炒り豆と定め、長く愛用していたのだが、これだとボトルを取り出してぐびぐび流し込んでやる必要もあり、もっと滑らかなものを求めていた。そんなおり雪の上で【草餅】を味わう機会があり、なんじゃこれは、凍ってもおらぬしドリンクも不要、おまけに腹持ちよろしい、歩きながらもぐもぐできて残ったパッケージは嵩張らない。まさしくザ・キング・オブ行動食と位置づけたのだった。

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考察はさておき、実践である。

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ヨモギの若い芽をたっぷり摘んでくる。土手や田畑の角っこなど、わんこの放尿ポイントには注意したい。


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洗って洗って洗いまくって、ゴミや枯れ葉を取り除く。根っこや軸も取り去る。これを沸騰した湯に放り込み、60秒茹でる。


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茹でたあとは流水にさらして、残ったゴミを取る。手のひらに取ってしぼるしぼる、絞り上げる。


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牛刀で叩いて繊維を断ち切り、当たり鉢にあける。ごりごりごりごり。


粉の準備だ。

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米の粉ともち粉を4対1で混ぜる。こうすると、時間が経過しても固くならない。そこに熱湯を少しずつ注ぎ、混ぜる。よく言う「耳たぶの固さ」だって。


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こねた生地(まだ生である)を鶏卵大に丸め、薄くのばす。1センチ厚ぐらいか。


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こいつらを蒸し器に入れて、15分ぐらい、蒸し上げる。あまり重ならないよう、十分に熱が回るように。この時は蒸し器が塞がっていたので、ナベにざるを置いた。


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ガラスのボウルかどんぶりへ。よくつぶしたヨモギを加えて、へらなどで混ぜる。好みで砂糖と少量の塩を加えても良い。


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あら熱が取れたら...


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丸めて平たくして、小豆というかあんこを包む。今回、大豆(そい8歳)が小豆を担当、小豆(あん6歳)がきな粉(大豆)を担当。何がなんだか、わからん。


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翌朝になっても柔らかく、美味しく頂けました。




え? 連休のお山? 

もし僕が雪焼けしてるようなら、あるいは庭にテントを干しているようなら、涙を流しながら草餅を作ったりは、いたしません。
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by yabukogi | 2012-05-06 09:04 | 喰い物のこと