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その男、薮の彼方に消ゆ

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2013年 07月 20日

峠の一夜

夏の一夜を、峠で過ごした。

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あの山の裏側にある、小さな峠に向う。そこで眠るために、僕は荷物を担いで信州まつもとを離れたのだ。





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僕を乗せた列車は、歌の文句とは違って信州から甲州路へと走る。



甲府駅では、しばらく会えずにいた友が迎えてくれた。そして可愛らしいお嬢さんも。芦安でバスに乗り換え、揺られ揺られ久々の広河原。さらに、違うバスで北沢峠へ。

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あの年、冬の小梨平で酌み交わして以来。まずは乾杯。




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すぐる年、残雪の八ヶ岳以来の乾杯。そして乾杯。また乾杯。





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晩ご飯はうどん。お揚げが乗ってるのは、松本の美味い豆腐や【田内屋】さんの筑摩揚げというものを炊いたもの。



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メインディッシュは、途中のコンビニで調達した絹豆腐。



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夜の帳(とばり)が降りて、尽きぬ話を無理矢理切り上げてテントに潜り込む。みんなグッナイ。






朝。
稜線へ、山頂へと向う仲間を見送って、僕はテントをたたんだ。装備をまとめ、山を後にする。

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またバスに揺られ、バスを乗り換え、長い時間を狭い座席で過ごし甲府駅へ。



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遠ざかっていく南アルプスの山並みを肴に、ちび、ちび。



諏訪を過ぎて松本平に入れば、今度は北アの山々に出迎えられて、ウイスキーを飲み干す。
山の神さま、ありがとう。
山の仲間に、ありがとう。




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家に帰って洗濯しながら、庭の菜園から季節の恵みを頂く。
季節の恵みと言えば、そうだ、梅を干し上げねば。



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あれ。

  あ れ れ 。

何故か、このビジュアルが......

いや、去年の梅干づくりとかそういう引っかかり方じゃない。もっと直近、昨日今日の出来事と関わってる。奇妙な既視感に捕われながら、僕は数秒で凍り付いた。










 け、今朝の、峠のテント場....






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完全に一致。

by yabukogi | 2013-07-20 13:44 | ぶらぶらと歩くこと


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