その男、らっきょうが好きである。
椎名誠さんのものがたりに「ねぎ臭い男」というのが出てくる。文字通りねぎ臭い息を吐きながら、はぁはぁ言っている気持ち悪い男なのだろう。その男、実在モデルか?
そう思えるほどに、葱の仲間のものを好む。行者にんにく、にんにく、ねんぼろ(のびる)、にら、新玉葱.....
ようするに、ねぎ臭い男なのだ。葱坊主みたいなくだらない男なのだ。
しかし、その男、売り場でらっきょうのパッケージを前に、硬直している。ほとんどが中国産なのだ。喰える訳が無い。できることなら「チャイナ・フリー」であり続けたい。チャイナ・フリーとは、赤い帝国・中共で生産されたものとは無縁で暮らす、という意味である。粉ミルクにメラミンを混ぜ込む国である。そんな国で作られた食品が、喰える訳が無い。
やむなし。手ずから漬け込むしか道は無い。
こうして、その男、国産(鳥取産)の泥付生らっきょうを手に入れ、漬け込むことにした。毒も共産主義も中華思想も入り込まない、美しくピュアならっきょうを目指して....
粒の大きなものを選んだ。巧く漬かるのか。
球根の上下をカット。そして泥や余分な皮を取り去る。べとべとした汁が流れてくるので、塩をまぶして一晩放置する。
漬け込むらっきょう酢に、問題があるのだ。市販の、あんな甘くてべたべたの汁では、喰えたものではない。これがあまりに不味いので、砂糖を抑え、もっとさっぱりと漬け込もう。酢を選び、たかのつめを加え煮立てる。酢の半分は生のまま、昆布を加えて使おう。
塩漬が足りないような気がしたが、水気を絞って自作の漬け酢に浸す。一週間後の味見では明らかに塩分不足を感じたが、しばらくこのまま様子を見ることにしよう。