2013年 05月 25日

たたかえ悪臭番長


帰宅して自室のふすまを開ける。

むぅっという生温かい空気に包み込まれる以前に、僕の鼻孔は、あの強烈な臭いの、ダイレクトな攻撃を受ける。それこそ、すべての感覚器はもとより全身の細胞に、もの凄い臭いが突き刺さる。ただよう、香る、流れるではなく、もの凄い悪臭が突き刺さってくるのだ。



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先日、庭の行者にんにくを漬け込んだことをご報告したが、どんな巡り合わせなのか、また追加分を漬け込むことになった。


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かなりの量である。栽培ものだが、信州産の新鮮なものが届いたのだ。

醤油の在庫が足りないので、一升瓶で買い求める。蜂蜜や黒砂糖も買い足す。梅酒を漬け込むガラス瓶まで動員し、黒砂糖仕立て、蜂蜜入りなどと少しずつ味わいを変えて、ぜんぶ漬け込む。




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いちど湯がいて、と紹介されることもあるが、僕のは、生だ。おとこなら、生でゆけ。

行者にんにくたちよ。
凶暴なまでに野趣溢れる、あのもの凄い臭いを凝縮させて、瓶に眠れ。



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台所の床下に隠したが、家族たちが臭い臭いと騒ぎ立てる。やくなく自室に移し、大きなポリ袋で何重にも密閉したのだが、それでも激しく臭う。いや、すさまじく臭う。



この臭いの中で、数夜を眠った。
夢の中にまでこの臭いは容赦なく無慈悲に侵入し、幾度も幾度も、僕はうなされた。焼き肉やイタリアンを満喫した翌朝の、「しまった臭せぇ!」という感覚に数日間、悩まされた。口の中や息がにんにく臭い錯覚を覚えてしまうのだ。



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返り討ちにしてやる。

僕はこの決意を胸に、瓶のひとつを開ける。ひとすくいを小皿に盛る。
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うわ!
なにこれ美味い!




いまの僕は、臭い。はげしく臭い。猛烈に臭い。
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by yabukogi | 2013-05-25 11:38 | 喰い物のこと


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