魚屋の店先に、小振りの鯵が並んでいた。
ならば南蛮漬けだ。
以前にも鰯を揚げて南蛮に漬込み、
思う存分に酸を吐きまくった。毎年初夏の訪れを前に、なぜか作りたくなる南蛮漬け。季節的なものがあるだろうか、と考えてみたら、新玉葱にその答えがあるようだ。当地では安曇野・豊科が玉葱の産地なのだが、こちらのものは山国だけあって6月と遅め。とにかく八百屋に白き新玉葱を見かけると、連想して小魚の南蛮漬けへと発展していくのが、その男の思考のようだ。
余談になってしまうが、その男の新玉葱への偏愛は凄まじい。
味噌汁はもちろん。スライスはお約束。串に刺してフライに。まるのまま鍋で煮る。擦りおろしてドレッシング。小さいものは丸かじり。つまりは、エシャロットやラッキョウ、そしてノビルへの愛と同じく。
小麦をまぶして、揚げろ!
今回は頭を除らず、腹だけの処理。いつものように、ここで数尾に塩を振って味見。たまらん。
生野菜は、にんじん、新玉葱。ここへ「
悪魔のピクルス」を追加。これは昨年夏の青唐辛子をピクルス液に漬込んであるもの。
毎日、ヨメや婆さまに見つからないようにこっそり、味わう。
そして十日を経て、そろそろなくなりかけを、また愉しむ。
イニシャル(初回漬込み)時の野菜はとっくに喰ってしまったので、2回を追加している。にんじん、新玉葱、セロリ、そしてあのピクルス。ばりぼりばりぼり、しあわせは、まだ終わらない。
これでたっぷり、酢を喰らうことができた。