その男、薮の彼方に消ゆ

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2012年 12月 15日

その男、ごま油。

ちょっと待って。


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同情はしないでほしい。僕に居場所が無いからといって、孤独だからといって、味気ない時間を過ごしていると受け取ってほしくない。

素敵な隠れ家を、手に入れたんだ。

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裏庭の車庫の奥の片隅を、占有した。文字通り、裸電球ひとつ。




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七輪を据えて椅子を置いて、僕だけの城だ。誰にも遠慮は要らない。ばあ様は早く撤去しろって五月蝿いけれど。



秋の或る日。
町内会の行事で焼きおにぎりを焼いていたんだ。訪れた人々がよろこんでこれを味わってくれて、僕はこの世に独りじゃないと実感できた。嬉しい時間だったんだ。
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それからというもの僕は、庭の片隅で週末ごとに炭火や焚火を起こし、何かしら焼いて味わい、もちろんウイスキーを愉しみながら過ごしている。


何かしら、と言っても決して黒毛和牛の骨付きカルビとか黄金軍鶏ではなくて、秋刀魚や厚揚げだけれど。
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隠れ家が完成すると、いろんな食材を持ち込んで焼き焼きしながら、もちろん信州の冬のことだ、氷点下7度とかそういう気温の中で震えながら、いろんなものを炙りながら楽しんでいるんだ。


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なぜ、気付かなかったんだろう。
家の中に居場所が無ければ、家の外に過ごせば良い。

庭やベランダが無ければ、そのまま家を離れて野を越え尾根を上がり、ピーク手前の平坦地に幕を張れば良い。シェルターを風が揺らすけれど、鹿たちが鋭く叫ぶけれど、穏やかな夜がきっと訪れる。

さいわいにも僕には、山に向かわなくてもこの空間があった。尾根を登るまでもなく。


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独りよがりの逃避なんかじゃない。ちゃんと家族のための晩飯をこしらえながら。
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今夜は、焼鳥をこころゆくまで愉しもう。

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地鶏のもも肉とレバ、ハツを用意。レバは流水で血抜きしてから金串に刺した。

レバには、塩だ。沖縄の海で採れたという粗塩を振る。炭火に載せられてぷるぷると震えながら、味わいをまとう。
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タレ?

冒頭に掲げた写真のもも焼きは、タレに漬けたよ。
でも今夜のレバ焼きは、タレじゃない。


塩とごま油だけで味わうんだ。
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うふふ。
生きてて良かった。
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by yabukogi | 2012-12-15 21:37 | 喰い物のこと


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