2012年 05月 04日

牛筋男、悶絶の休日

世の中が連休に沸き立っている。
しかしその男の手帳に、連休の二文字は無い。
小間切れの休みだけが、いくつか通り過ぎてゆく。


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牛すじ肉を買ってきた。
もちろん国産・信州牛である。
炊くのだ。


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たっぷりの湯を沸かす。ぐらぐらと。
そこへ牛すじ肉を、ぼんっと放り込む。
下茹でである。
こうして灰汁と血の臭みを抜く。

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再沸騰したら、それでいい。
流水でさらし、素材を洗う。



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ひと口に切る。
繊維を断ち切るように、それでいてこりこりした食感も少しは残したい。


最初は強火で炊く。
ふたはしない。
すじ肉の中に残された灰汁を、出し切る。

灰汁が出なくなるまで、小一時間。
付きっきりで灰汁を取り、湯を足す。


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灰汁が出なくなってから、砂糖と酒を加える。
酒は料理酒ではなくて、日本酒。
嫁とばあ様には喰わせる気がない、だから日本酒。


このあと、火を止めて、冷ましてから味噌を溶く。
できることならその後、数時間を放置する。

どこまで真実は知らぬが、味噌に潜む菌が
肉の繊維の奥まで入り込む。
そこでいくつかの作用をやらかす。
その時に蛋白質の組成が分解されて、すじ肉が柔らかくなる。

そして、濃厚なこくと旨味を、まとう。



ふたを開けると、白く脂が浮かんでいる。
冷ましたために固まったのだ。
この塊をいくつか捨てて、醤油、追加の味噌、砂糖などを。

ここはお好みで、甘くしっかり照りのある味わいにするか、
辛めでべたつかない男の肴に仕上げるか... で変わるだろう。
大切なことは、醤油なり味噌なり、
塩分のきつい調味料を一度に加えぬことだ。
せっかく柔らかくなりかかったすじ肉が、固くなってしまう。

生姜を入れる、
いや、盛りつけ後に行者大蒜(ギョウジャニンニク)のおひたしを添える、
あるいは牛蒡やこんにゃくを一緒に炊く、など、それぞれである。
僕は素直に牛筋の味わいを求めた。
このとき、オイスターソースの隠し味を、欠かせない。


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牛蒡と炊いても良かったなあ...そうひとりごちたが
庭に張ったエスパースの中、
あぐらをかいて酒を酌み、肴にしよう。
(注釈:4月末からエスパースを張って、寝ている。
 布団を与えられていないので普段からリッジレストにシュラフなのだ、
 寝床が板の間から芝生に変わっただけなんだ)




しかし、あるじが出てきて、しゃあぁ!と言う。
俺の縄張りだ、出て行け、ということか。
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その男、居場所が無い。
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by yabukogi | 2012-05-04 08:39 | 喰い物のこと


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