2011年 12月 06日

モツ煮マイライフ

写真を整理していたら、ちょうど一年前にモツを煮ている様子の記録があった。2010年12月3日のことである。



きっと、安酒に熱めの燗をつけて飲みたかったのだろう。茹で白モツを買ってきて、念のために二度茹でこぼしてから牛蒡と一緒に味噌で炊込んでいる。生モツに手を出さなかったのは、その男のふるい記憶に刻み込まれた悪夢のような体験があったのに相違ない。きっと、下拵えでやる生モツの「洗い」が足りなくて、腸の中身が放つ猛臭極臭地獄臭に巻かれて、のたうち回ったのだろう。だから一年前のこの白モツは、茹でモツから調理されている。


c0220374_16212092.jpg

茹でモツと言えども、腸壁の襞(ひだ)に残された内容物は臭みを放つものだ。あの悪夢が再現されることはあるまいが、念のために茹でこぼしておこう。たっぷりの湯でぐらぐらに煮立て、恐ろしいほどの灰汁を吹き上げながら茹で、ザルに空ける。これを流水にさらす。しかも二度繰り返す。


c0220374_16214134.jpg

さらしたのち、しっかり水気を切る。布巾で絞り上げ、さらにペーパーで包んで。これをネギと生姜とともに、純米料理酒五合を使って炊く。ことこと、出来上がるまで二時間ぐらいは炊く。灰汁はぜんぶ掬う。出なくなるまで掬う。灰汁が出なくなると手持ち無沙汰になるから、湯呑みに冷や酒を汲んで舐めながら炊く。でも熱燗は、モツが炊き上がるまで辛抱する。


c0220374_16215880.jpg

その間に、厚めの斜め小口切りにした牛蒡の灰汁抜きを行う。抜き過ぎるといけない。ざっとえぐ味がうすれたところでいい。


c0220374_16223396.jpg

頃合いを見て、モツの鍋に粉末の鶏ガラスープを投じる。牛蒡も投じる。砂糖も投じる。味加減は好みで変わる。銀杏に切った大根と人参も入れよう。このあともぐらぐらと踊らせず、静かに炊く。


c0220374_16225755.jpg

蒟蒻(こんにゃく)を忘れていた。手で千切っていちど茹ででから加える。味噌も加える。ただし味噌の全部を加えてはいけない。半分だけにする。残りは炊き上がってから、汁に溶く。あぁ、はやく食べたい。冷や酒で冷えきった胃の腑に、熱いのをすっと流し込みたい。


蒟蒻を加えて一時間ほど過ぎただろうか。もうやわらかい。臭みなど、どこにもない。残りの味噌を溶いて、器に盛って、いただく。まだ昼だというのに、これまでの冷や酒で、だいぶ出来上がっている。


c0220374_1623173.jpg


こうして一年前に、白モツはモツ煮に変じた。たいそう美味かったことだけを覚えている。困ったことに、今宵これがない。しょうがないから烏賊でも、炙る。
[PR]

by yabukogi | 2011-12-06 16:25 | 喰い物のこと


<< その風防、ミニトラ専用。      戦士の休息 >>