その男、薮の彼方に消ゆ

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2011年 01月 02日

樹霜咲く戸谷峰

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正月二日は遠見尾根をゆるゆる歩いて、鹿島槍北壁でも眺めて来ようかとたくらんでいたが、元日の祝い酒が過ぎたようだ。出発予定の時刻になってもシュラフから出る気になれず、だらけたまどろみにしがみついている。いま運転したら酒気帯びだよと理由をつけて、さらに数時間を眠る。

朝も遅く目覚めたらすっかり酒は抜けたようだ。飲み直そうと酒肴の準備をはじめる。これがその男の新年なのだ。風雪叩き付ける稜線でもない、ダイヤモンド・ダスト煌めく空の下にいるのではない、ぬくぬくとコタツから離れられないねこと同じである。

しかしこれでいいのか。数分だけ自問自答を重ね、封を切りかけた【真澄あらばしり】を冷蔵庫にもどす。パッキングは昨夜に済ませてある。着替えと、ヤカンからテルモスに湯を注ぐだけで出かけられる。とはいえ09時から北ア方面に向えるはずもなく、裏山へとカブを走らせる。







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塩カルが撒かれた国道254を少し走り、09時30分には三才山(みさやま)トンネル手前の野間沢橋に着いていた。ここから戸谷峰1,629mに這い上がる小路があるのだ。




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地面には昨夜降った雪が残る。尾根上に高度を上げて行くと、だんだんふかふかの雪が多くなってくる。




やがてピークに続く小稜線に乗ると、吹きだまりでも膝下ぐらいの雪。


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アトラスという名の朴の木に会う。彼は5月の末に葉を出すまで、こうして眠り続けている。
(初冬のアトラス、春のアトラスは>>こちら



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雪の尾根。昨日元日に歩かれたのだろうか、数人分のトレースがあるためにラッセルすることもない。今日は風もなく、音もない。樹々の枝先こずえには樹霜の針が尖る。兎の足跡が交錯する。鹿の群れも通ったようだ。誰も居ない。きゅうきゅう雪を踏む音以外、音がない。




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11時10分、誰もいない戸谷峰山頂。




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山頂の三角点柱石は掘り出すまでもなかった。




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ここには何度も訪れている場所で、西には槍と穂高が眺められるのが楽しみなのだ。この日、北ア稜線は雪雲の中。槍穂も常念も、北の鹿島槍も、見えない。




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12時05分、野間沢橋に降りて駐車位置に戻る。ラッセルも楽しみたくて一応はワカンを携えて来たけれど、背中にくくり付けたままだった。来週あたりはもう少し雪深いところに出かけてみよう。




帰路、三才山集落の一角に鎮座まします御射(みさ)神社さんの秋宮に寄る。ここは僕にとって、山の神様と向かい合う場所でもある。昨日は氏子衆が詰めていたのだろうけれど、この日はひっそりと静まり返った境内で社殿に向う。柏手を打つと、僕を驚かせるほどに響いた。
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by yabukogi | 2011-01-02 14:07 | 筑摩山地・美ヶ原


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