その男、薮の彼方に消ゆ

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2010年 07月 21日

炎天に干し上げろ。

梅雨の始めに漬け込んだ梅が、いい感じになっていた。


塩分18%。きりりとしょっぱい僕の梅干。紀州産南高梅の3Lサイズの4kgのうち2kg分、もうひとつは地元産品種失念の4kg分を干し上げるのだ。果肉の厚い南高梅は赤紫蘇なしの白梅仕立て、品種失念は赤紫蘇で赤く染め上げた。どちらも甘く香しい特有のフレイバーを放っている。

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この状態で炎天下に、さらす。強烈な夏の紫外線が梅の肌を焼く。ときおり、丁寧にひとつずつころっと裏返す。昼間、水分は蒸発して濃厚な味と香りをまとう。夕刻陽が傾くと、こいつらは自身から出た梅酢エキスに戻される。焼いた肌をひと晩、休ませるのだ。夜のあいだに梅酢をたっぷり取り戻した梅は、また数日、お陽さまに炙られる。時には屋根の下で風を受け、夜干しにされることもある。こうして日ごと夜ごと、美味くなる。







こうして梅漬けから梅干へと変化を遂げた梅たちは、ふたたび真っ暗な壺の中で、眠る。ここでも水分を少しずつ失い、ところどころに塩の結晶を付けはじめる頃、お盆が明ける。お盆が明けて数日すると、僕はパッキングを始める。この梅たちの一部も、僕の背負い慣れたMt.Daxのザックに、シュラフやテントと一緒に、詰め込まれる。



パッキングを終えた僕のザックは、或る夜半に松本から大町辺りへ移動する。カブで走ると1.5時間ぐらいだ。真夜中かまだ暗い夜明け前に、ザックごと担ぎ上げられた梅たちは、たぶん赤岩尾根を登らされる。柏原新道かも知れない。赤岩尾根の場合は、ひいこら汗をかいて呪いを吐くのはもっぱら僕の役回りで、こいつらは静かに眠っている。高千穂平までのあまりのきつさに、僕はこいつらを投げ捨てたくなるだろうか。いや、きついのを重いのを梅どもの仕業と言うことにして、またこいつらを担ぐ。柏原新道ならば、たぶん僕は梅どもを呪ったりしないだろうけど。



冷池のテン場でだろうか。それとも途中の休憩地点だろうか。こいつらは静かに眠る器からつまみ出され、【槍隊放題2010】メンバーの誰かの口に放り込まれる。うひゃあ! しょっぺぇっ! 皆にそう言ってもらえるよう、しょっぱくなるのだ、美味くなるのだ。



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ふだん会えない友達には、こっちを小分けにして贈ろう。量は充分ではないけれど、塩っけが足りないなんて、言われないように、おまえらもしょっぱくなるのだ。美味くなるのだ。








   
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by yabukogi | 2010-07-21 13:27 | 喰い物のこと


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