2010年 05月 14日

美しすぎるストーブ

山道具と呼ぶには、あまりにも美しすぎる。


オリジナル・モデルでもちろんハンドメイド。個人的な意見ではあるが、その仕上りの精妙さ、そして完成度は他の追従を許さぬレベルである。愛嬌のあるフォルム。磨かれた金属のテクスチャー。どの角度から眺めても、屋外に持ち出すことが躊躇われるような美しさである。さんぽ師匠の手になるこのアルコール・ストーブが、今朝ほど届いたのだ。うれしくてたまらないのだ。

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点火したい。
湯を沸かしたい。

抑えがたい、その誘惑。



一方で永遠に未使用のまま所有したいという、歪んだ欲望。



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葛藤はやがて悶絶へと膨らみ、衝動はやがて、アルコールを注ぐだけならば使用には当たらないという解釈を生む。いや、一度アルコールを含ませたカーボンフェルトは、炎を求めるだろう。青い火を、熱を、そして仕事を欲しがるはずだ。ひとたびアルコールを注げば、点火せずにはいられないのだ。それはおのれの肉体と同じではないのか。


数時間のたわむれ。これを眺めて落ち着いているようだが、内面は沸騰している。火を点けたいのだ。燃やしたいのだ。目の前にこれを眺めるだけで、仕事も何も手に着かないことに気付かされる。置いては触り、スキュリューキャップを回し、カーボンフェルトを出し入れし、またキャップを締める。スタンド(ゴトク)を開いたり閉じたり、眺めたり。ああ、何度これを繰り返せば気が済むのだ。




細部まで工夫され尽くした機構のことにはふれるまい。どなたであれのちのち、これを手にする時に与えられるであろう無上の喜びを、僕の拙い表現で薄めてしまうことは憚られるのだ。燃料を入れたまま携行できるスクリューキャップ。火力調節のためのシンプルにして精巧な工夫と部材の選択。さらに、燃料残量を目視したい場合に備えての改造オプション。そして何よりも、屋外で使ってみたいと思わせる限りない軽さ。

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▲取説も完璧である



そしてついに、僕がこれを携えて外に出る、というおろかな妄想までが始まってしまう。

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芽吹いたばかりの広葉樹の森を歩く(妄想)。足元にはニリンソウ。鉄塔の建つコルを過ぎて小稜線に出ると、とおく穂高も、槍も眺められるではないか(妄想)。やがてたどり着くまろやかなピークは、気持ちのいい草地である。僕は咲き始めた花々を踏まないようにケツを据える(妄想)。湯を沸かして珈琲とスープの支度をしよう。ストーブに燃料を注ぐ。そっと点火すると、目には見えない青い炎が立ち昇るのだ(妄想)。


クッカーを載せる。僕は前から、この精妙なアルコール・ストーブを組み込んだセットは、黒いDUGのIポットと決めていた。本来ならば軽いチタンでセットを組むべきであろう。しかし、オールシルバーの道具たちが安らかに納まるのは、なぜだか光沢の無い黒いドームがふさわしく思えたからだ。

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あああぁ。出かけたい。

これをパックに忍ばせて、裏の丘でかまわぬから歩いてきたい。しかし、未使用のまま保管しておきたいのも、また本心である。悩ましいこと、このうえない。


■このストーブをお求めになりたい方がおられたら、ご一報ありたし。マスプロダクツではないため制作に時間を要すると思われるが、制作者のさんぽ師匠は快く応じてくださるものと思われる。


■さんぽ師匠からは生産体制をご準備いただく旨のコメントを頂戴しました。近日中に配付価格やご購入意思の受付手順などについて(ようするに窓口をどうするか)、ここにもご案内致したく思います。【2010/05/18追記】

■性能評価のようなことを何も書いておりません。近々(時間を作って)屋外で燃焼実験レポを予定しています。ご参考までに。【2010/05/18追記】




【謹告】  2010/11/13追記
さんぽ式カーボンフェルトストーブの販売が始まりました。
Moonlight Gearのサイトからお求めいただけます。軽さと美しさ、そして高機能を同時に手に入れたい方は、どうぞ!

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by yabukogi | 2010-05-14 14:34 | 山の道具のこと


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