その男、薮の彼方に消ゆ

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2010年 04月 03日

ガス用の風防自作のこと

ガスを使う時の風防に困っていた。

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テントの前室とか避難小屋の中ならば無用のものだろうが、日帰りの中級山岳で山頂の片隅となると、どうしても風を除ける必要がある。たとえ湯を沸かす程度にしても。

僕はふだん、ありふれたシングルストーブを持つことが多いのだが、地でも153で、ガス缶の真上で火を燃やすという、ある意味思い切った構造のストーブである。これをぐるり360度包囲しまうと、缶が過剰に温められて爆発する。僕も以前にやったし、昨年は直前まで過熱した。別な理由で冬季に水を作ることを考えれば重心が低い方が好ましく、背の高いストーブは精神衛生上もよろしくない。なのだがどの分離式モデルも果てしなく重く、軽量モデルが待たれる。お世話になってる【Trek,Books&Rock'n Roll】のmobydick67さんに教えてもらったのだが、この秋?に【Primus Express Spider】が出回ればあっさり乗り換えてしまうのだけれど。






とにかく、風を除けたいけれどぐるりと覆うわけにはいかない。つまりは燃焼部分とナベ底のあたりをそっと、手のひらみたいな感じで覆ってやるのがいいだろう。一方、市販のウインドスクリーンは、なにやら基地のような大げさな仕掛けを地面から立ち上げるようでいただけない。それにあんなでかくて重いものをザックに入れる訳にもいかないのだ。唯一【Eta Express】ならば許せるのだが、そこはほれ、ワンパッケージで導入してしまうと自作の愉しみを奪うことになる。


そこで空き缶のアルミ板を切り出しあれこれ試してみたのだけれど、まったく駄目。諦めかけてたら、今回のフルメタルモデルが浮かんできたのだ。前述したが、ストーブの燃焼部分を手のひらで覆うような感じ、というコンセプトは定めた。また耐熱性能も当然。スクリーン本体となるアルミの薄板が入手できないか、ホムセンを漁る。


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様々なサイズ、厚みがあったが0.3ミリ厚で試してみよう。これは10センチx30センチサイズで150円ぐらい。


薄板をカットしてスクリーンの形状、大きさを決める。適当に手で曲げたのだが、曲げたと言うよりわずかな折り目を多数付けた感じ。カットした残りは後述する脚の部品となる。右となりに写ってしまっているのが今回の重要なパーツ、脚(きゃく)。


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脚をつくる。脚の目的と役割は、半円筒スクリーンのポジション保持。文具で【目玉クリップ】として知られているクリップを2個、アルミ板でつなぐことにする。脚の固定はPrimusのガス缶ホルダーに噛み付かせている。

ふたつのクリップをつなぎ、できれば多少はフレキシブルに動いて、軽くて、それでいて強度を備える...。このジョイントのためのアルミを切り出す訳だが、10ミリx40ミリの帯状にカットしたものを2枚重ねにしたものが、もっとも適しているように思われる。アルミの番線なども試したが、今のところはコレであろう。

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左に写っているものは試作品のひとつ。帯の形状を探る過程で作られたもの。クリップとアルミ帯板の固定には「カシメ」を用いた。ペンチでカシメたため跡が写っているが、専用工具を使えば綺麗な仕上がりが期待される。なお、カシメの穴は事務用の1穴パンチで。


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このあと、脚を90度、ねじる。カートリッジホルダーに噛み付いた状態でスクリーン保持を行うためにはこれが必要。適当に手でひねった。アルミ板の切断面には軽く爪ヤスリをかけてあるが、切り口は時として鋭利だ。爪ヤスリの持ち主と同等に注意深く扱う。


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装着した状態。どんなストーブを使うか、ゴトクを広げた大きさでRの具合が決まるだろう。ナベの選択とも関係はある。


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横から眺めた状態。ガス缶本体はむき出しのまま、覆ってはいない。すーすーに風を通して熱が回らないようになっている。手のひらでそっと覆うように、という意図は叶えられたようだ。


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ズームする。カートリッジホルダーに噛み付いた脚の端、直角曲げされたジョイント、スクリーンを噛んで保持している様子、我ながら馬鹿らしい。


おおむねよろしいようだが、重量が28グラムある。アルミを0.2ミリとしても支障はなさそうだから、軽量化にはまだ工夫の余地があるのだ。また、脚をガス缶ホルダーに噛ませるというアイディアは良かったのだろうが、もっと単純化できるはずである。脚を分離式にせず、スクリーンと合体された状態、ウチワの柄のような形も考えられるかもしれない。スクリーンがポットの中の隙間にすんなり入る上で、柄の折り畳みなのかスライドなのか、そういう機構も考えてみたい。


材料費:200円未満
工具:ペンチ、キッチン鋏、爪ヤスリ、1穴パンチ

構想半年、作業15分。こんなことしてるより、里山でも歩いてきたいのだが。

【追記】
脚を2本使った「デュアルスタンドモデル」を試したら安定感がさらに増した。でも、とってもかっこわるいので写真は載せない。


収納性について触れていなかったので、ここに記す。DUGのTEAというソロ用のクッカーに収納した状態。
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スクリーンの高さは、ポット内部の高さを意識している。脚も隙間に納まった。実際には手ぬぐいなどで養生するだろうから、ぎりぎり押し込むという感じだろう。




【追記】
PrimusのSpiderを使いはじめたら、ガス缶の上で炎を灯すという恐ろしい行いを受け入れられず、153も地も使えなくなってしまった。雪を融かす際の安定感、でかい鍋をどんと無造作に載せられる安心感、もうスパイダーonlyである。よって、この風防は現在使用される機会を与えられていない。

ガス用の風防自作をご検討の方は、わが師匠、茶柱師のこの記事をご参照ありたし。精度の高さで周囲から「うおぉ!」と驚嘆されるアイテムが紹介されている。

スパイダーなら風防が要らないのか? 
という疑念もおありだろう。あれは、ごぉぉおおおおおおおおっと真上に炎の束をロケット噴射のように吹き上げるため、多少の風は、屁でもない。
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by yabukogi | 2010-04-03 13:17 | 山の道具のこと


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