その男、薮の彼方に消ゆ

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2009年 11月 29日

もえろ、スパイシー

我らが【純情幕営団】の幕営部長、ことkimatsuさんは、SBのわさび缶にCF(カーボンフェルト)を仕込んで、アルコールストーブ【CF Wasabi Spirit Burning Stove】として愛用しておられる。


この小さなストーブ、SideBよりは大振りで、素材もスチールだから極限に軽いということはない。しかし愛嬌があるのだ。ご想像いただきたい。ハイクの日、尾根を歩いて展望の良いピークに着く。さあ、ランチだ。ごそごそ、銘々が食い物や火器を取り出す...。


もし、あなたの仲間の誰かが、ザックから「ころん...」とS&Bのわさび缶を出してきた瞬間、あなたはこれを火器だと思うだろうか? さらに、アルコールを注いで火を点けて湯を沸かすなんて、想像できるだろうか? そう、これを目にした誰もの顔がほころぶような、魔法のようなストーブなのだ。


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▲これは部長のオリジナルではなく、僕の類似品






この【CF Wasabi Spirit Burning Stove】...。
誕生に至るまでにも、先達・先人・巨匠たちが心血を注いだ工夫の蓄積がベースになっているとのこと、詳しくは次の記事をご参照ありたい。

 >>【できるだけ山】 kimatusさんの記事へ


これを写真で見せていただいた瞬間、とにかく欲しくなった。欲しくなった次の瞬間、台所に同じ缶があることを思い出して、真似してみようと思った。ウコンやペプシは見慣れているけど、わさびとは! しかし!誤解があるといけない。オリジナルの【CF Wasabi Spirit Burning Stove】は、僕の類似品とは全く別物である。何よりもCFを芯として利用することで火力調整を可能にしたうえ、かつフタが活きているため密封が可能。そう、残った燃料を入れたまま携行できるスグレモノである。詳しくは上記リンク先を参照されたし。






僕はといえば、【TR-B25】の火力の凄まじさにたじろぐことが多く、使いこなすことができずにいる。事実、夏の終わりにHJ/ODさんご家族とピクニックを楽しんだ時のことだ。トランギアの火力に恐れをなした僕が、消化しようと被せた蓋の、たった3ミリの孔から尚も炎が吹き上がる様子に、腰を浮かせて茫然自失したものだ。


もっと低出力のストーブが欲しい。T's Stoveさんのところで求めるか、JSB師に教えを請うか、自作するか...。そこで、CFを入手しようと思っていた矢先、デスクの上のふたつの物体が、脳内合体をはじめていた。


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▲脳内合体とはこのこと

シルバーの円柱に見えるものは、100均大手Dで売っている、旅行用の化粧水ボトル50ml。素材はアルミで、スクリューキャップで密閉できるようになっている。僕はこれを、アルコール燃料の容器として使っていた。なお、30ミリ、100ミリなど他サイズは外径が異なるので注意。購入の際は、わさび缶(またはカレー粉缶/からし缶)での現場合わせが安全だろう。


これを何気なく、さかさにして【カレー粉】缶に差し込むと、おお、ジャストサイズ! 完全なシールは求むべくもないが、液漏れするかしないか、そういうレベルだ。


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アルミボトルを隔壁に使用するという前提で、口のところに小さな切り欠きを作る。ヤスリですぐに削れた。


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次にボトルをカット。高さを慎重に測り、カナノコでごりごりやる。切断後ヤスリで滑らかに仕上げた。


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元ボトルを逆さまにして押し込む。もし甘かった場合にガスケット状のモノで隙間を埋める方が良いのだろうが、良いアイディアがない。アルミホイルでも可能ではあろうが...。今回はきっちりと嵌ってくれたので、そのような処理は施していない。耐熱性の高い接着剤か充填材があれば試してみたいところだ。


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当初、カレー粉缶で進めていたのだが、気化した燃料が吹き出す孔を大きく、また多く開けすぎたために失敗。圧力が 孔から逃げてしまうのか、理想的な燃焼ができないばかりか短時間でアル欠になってしまう。そこでカレー粉缶を諦めてわさび缶でやり直すことになる。孔はプッシュピンで8カ所とした。直径は1ミリに満たない。


これで、ストーブ本体は完成である。実際に燃料を投入して燃焼させてみよう。目分量で10ccほどを注ぎ、点火。最初は中央の炉の部分が燃えている。やがて炉の熱で、隔壁内部の圧力が高まる。気化したアルコールが噴出してきたようだ。8つの青い炎は中央で合体、高さ20センチ程度の奇麗な炎となった。

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▲青い炎が静かに立ち上がる

高すぎず、広がりのない炎。クッカーまたはケトルの底だけを慎重に加熱するような、コンパクトな炎。里山でのまろやかなランチや、散歩のひとときの珈琲タイムには、これでいいのだ。


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▲消火は【薬用育毛ローション・ブローネ】で




湯を沸かそう。チタンマグに井戸水を入れて、わさび缶に点火すると数分で沸騰してくれる。

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▲奥は金麦の空き缶を加工したスクリーン

スクリーンは、いまのところ風防とゴトクを兼ねているのだが、試行錯誤中で今後どうなるのか、まだ想像できないでいる。僕の場合は里山で、日だまりの雪の上などで使うことが多そうだ。このため、4シーズン用のゴトク+風防+ストーブ台を兼ねた、シンプルで機能的な構造を研究中なのだ。



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▲左:こういう風にセットすると...、数分で、右:「ワイータ!」


その湯で淹れる珈琲の芳しく甘やかなこと、それは先人たちが重ねて来た労苦が滋味となって溢れているからに他ならない。この一杯の珈琲を、敬愛するkimatsu部長をはじめ、偉大なる先駆者たち、VagabundさんJSBさん...、そして数々のインスパイアの源泉、ハンターさんワンダーさん、そしてバードメンさんらに捧げよう。深く頭を垂れて、ありがとうございます! そして部長、このプロトタイプは零号機ということで、初号機をお送りいたします。

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▲消火フタ込みで45グラム、スチールだからね



僕は、まあ信州人である。信州人ならば、信州人ならば... いつかはこれで!

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これは、信州・善光寺さん御門前の【八幡屋礒五郎】の七味唐辛子。信州の家庭には、ほぼ100%常備されているスパイスなのだ。
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by yabukogi | 2009-11-29 15:24 | 山の道具のこと


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